Nine lives
長身の小●二年生、ひでが無人のイオンモール幕張新都心で迷子になっていた。
同年代に比べて成長が早く、やや筋肉質で股間も黒いが、これでもランドセルを背負って学校に通う普通の小●生である。
殺し合いをしろと言われたものの、目の前は無人のフードコートで、ひではただうろうろするのみだった。
周りには本当に、人っ子一人いない。
時間が時間である為、無人であるのは仕方ないにしろ、どうしてこんな時間に自分がイオンに来る事になってしまったのか、ひではわからなかった。
ひでは、宿題に使うはずだった頭を使い、ここまでの経緯を考えてみる。
「うーん…やっぱりあのお兄さんもあのおじさんとグルになって、ぼくを拉致したのかなぁ?」
記憶を遡ると、帰って宿題をやろうとしていた時の事が思い出された。
彼はスキップで下校していた時に、隠れ潜んでいた何者かに膝蹴りを受け手拉致され、そのまま、この殺し合いに呼ばれたのだ。
次に目を覚ました時、彼はGOに殺し合いを強要されたのである。
ひでが、「誘拐犯の一味が殺し合いを開いた」と考えるのは自然な事だった。
ひでも、あの誘拐犯は恐ろしかった。現実に、あの誘拐犯は人を一人殺している。そして、殺し合いをさせようとしているし、小●生のひでは、体格で勝っていてもあの男に勝つ事はできないだろう。
とはいえ。
「殺し合いなんかしたらパパに怒られちゃうだろ!」
ひでは憤慨する。
彼も人の子だ。たとえ悪い誘拐犯に強制されたとしても、殺し合いをすれば父に親子の縁を切られてしまう。
小●二年生とはいえ、彼も一般的な良識を持ち合わせていた。
そこから導き出される結論は一つ。
「殺し合いとかヤダー!」
そう、殺し合いへの強い非難の気持ちだ。
と、その時、ひでの首輪が――ボン!と音を立てた。
「ああああああああああああああああああああああっっ!!!!」
ひでの断末魔がフードコート中に響く。
彼は、どうして自分がこうなってしまったのかわからなかった。
だが、忘れてはならない。
主催者のGOは、「殺し合いとかヤダー」と言ったらコロスと言った事を。
彼は全文、そっくりそのまま、声のトーンまで似せて言ってしまった事を。
そして、首輪が爆発したら必ず死ぬ事を。
しかし。
「痛い、痛い、痛いっ!!溺れるっ、溺れるっ!!!!!」
ひでも、何故か、死ぬ事はなかった。
代わりに、痛みのあまり、水際でもないのに溺れ死にそうなほどの恐怖を覚えた。
「あああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁアヅゥゥゥゥイイイイイイイイ!!!!熱いっ、アッー、熱いィィィゥワァァァァァァハァァァァァwwwww熱いーっ!!!!!」
あまりの熱さゆえだろうか。
ひではリアルな感じで大泣きを初めて叫び出した。
爆発したのは、彼の左手首にいつの間にか装着されていた腕輪である。
そこから血のシャワーが吹き出し、大量の血液を外にどぼどぼと放出している。
ちぎれた左手は知らぬ間にどこかに吹き飛んでしまった。
普通の明るいフードコートだが、こういう大事な物もどこかに転がると案外見つからなくなってしまうから困る。
「痛いんだよもう!ねぇもう嫌だもう!ねぇ痛いぃぃぃもう!痛いよ!痛いいぃっ!もうっ痛いぃっ!!痛ぁぃンだよもォォォォォォッッ!!嫌、嫌、嫌!!!イウゴドギグガラヤメデ!!」
あまりの事に、血まみれの左腕を見ながら、自分のショタ設定を忘れるひで。
一人でうずくまりながら、突然の爆発への恐怖に震える。
自分は、主催者に従うしかない事を、今思い知らされたという感じだ。
…それからしばらくして落ち着いたのか、先ほどまでそこにあった物が消失した左手の先端を見ながら、彼は泣き止んでいた。
「…はぁ…はぁ…」
「自分疲れてます」をアピールするような大袈裟な態度で、ひでは立ち上がった。
痛みは先ほどに比べて引いてきたとはいえ、まだひりひりと腕の先が痛い。
主催に対する怒りがまた小さく燃えてきた。
「ちきしょう…(小声) 痛いのに…主催者頭おかしい…(小声)」
ボン!
今度爆発したのは、右手首であった。
これもまた面白いくらいに吹き飛んでいった。
「なんなんだよもォォォォォォォォッ!!!!!!!!」
そう、彼の全身には、首輪と同様の物が装着されている。
それは、言うならば、まだ幼く、殺し合いについての理解が浅いひでへのハンディキャップであった。
彼の場合、殺し合いという状況への理解が浅く、開始早々、簡単に主催への反抗を思いっきり言葉に出し、首輪爆弾で死んでしまう虞があったのだろう。
実際、ひではGOの言った「殺し合いとかヤダー」という台詞を完コピしている。
だが、そうした極端な早期退場を回避する為、彼には首の他、身体の九か所に首輪と同様の拘束具を装着させられ、「本来なら首輪が爆発する状況」でも、それらが代わりのペナルティを彼に与えるようにしたのだ。
更に、主催側の心優しい配慮により、彼は本来なら即死級のダメージを負ったとしても、首輪が爆発しない限り死なないように制限されていた。
このように、手首から大量の血液を垂れ流し、ショック死しかねないほどの身体的・精神的なダメージを負っても、彼は簡単には死なない。
勿論、痛みは残るが…。
首輪が爆発するまで、この少年はこの殺し合いから、逃れられない…(カルマ)
【1日目 死にゃ】
【場所:イオンモール3F ライブキッチン(フードCOAT)】
【ひで@真夏の夜の淫夢シリーズ】
[状態] 痛いんだよぉ!!(マジギレ)、両手首欠損、激しい痛み
首部分の首輪が爆発しない限りどんなダメージを受けても死なない体質
[所持] 基本支給品一式
[思考] ライダー助けて!
0:逃れられない…(カルマ)
1:痛いんだよぉ!!(マジギレ)
2:この殺し合い頭おかしい…(小声)
[備考]
※参戦時期は下校中に虐待おじさんに膝蹴りを食らわされ、通行人が通り過ぎた直後。
※主催者は虐待おじさんとグルだと思っています。
※彼の支給品は、両手首、両足首、両肘関節、両膝関節、陰茎に装着された9つの首輪セットです。最初から装着されています。両手首の2つは爆発しました。
【支給品紹介:ひでの9つの首輪】
この支給品の効果で、ひでは首以外の9つの首輪全てが爆発しない限り、何をされても死なない体質になっています(ただし痛みは通常通りに感じます)。
これらの首輪は主催側で任意に爆発させる事が出来る為、弱音を吐いたり、主催者にとってムカつく行動を取ったり、ショタ設定を崩壊させるような言動を取ったり、たまたま主催者の機嫌が悪かったりした場合、まず首以外のどれか一つの首輪が爆発します。
そして、これらは首輪同様、爆発しない限り外れません。「禁止エリアに入った場合」、「過度のルール違反を行った場合」、「一定時間人を殺さなかった場合」などは、全ての首輪が同時に爆発します。
また、他の参加者が首輪を銃撃などで爆破させる事は可能です。
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