罪と罰
大伴家持は憤慨し、同時に歓喜していた。
実はあまり知られていないが彼は生まれながらの勃起不全であった。
Wikipediaに代表される後世の大伴一族の系譜を見る限り、彼には美しい妻と2人の息子が居たとされるが、それは妻の美しさ故の不倫の末に産まれたアウェイな不肖の息子たちである。
それ即ち、大伴家持は一生童貞を貫いたのである。
天寿こそ全うしたが、やはりそれは彼にとっての最大の心残りであった。
どうやら神は彼の味方をしたらしい。
実に1235年ぶりに若き姿で復活を遂げた家持にはある目標があった。
それはあの長髪の男が語った【最後まで頑張った人は何でも願いを叶えてくれる】という言葉。
彼の目標はたった1つ。勃起不全を直し、童貞を卒業する事にあったのだ。
◆
意気揚々とディバックを漁った大伴だったが、現実はそう甘くはなかった。
見つかったのは無数のポルノ雑誌と後世で最高品質のオナホールと謳われた名器『TENGA』。
1235年ぶりの女の裸体に家持は興奮するも、やはりそれが勃つ事は無かった。
絶句する家持。
そんな彼の前にある男が現れた。
◆
その男の名前は在原業平と言った。
彼は家持の死後に降臨したまさに平安屈指のプレイボーイと呼ぶに相応しい男だった。
彼が生前に肉体関係を持った女性は3733人と言われている。
どうやら現在その記録更新が行われる寸前らしい。
途方に暮れる家持を後目に彼はアヒル口のキュートな女性と関係を持とうとしていたのだ。
彼女の陰部に手をかけようとする業平。
ついに童貞大伴家持の堪忍袋の緒は真っ二つに切れてしまった。
「うおおおおおおお!!」
怒声を上げ、業平と欲情する女性に突進する家持。
しかし、彼は見てしまったのだ。よりにもよって最も見たくなかった男のシンボルを。
業平の『ソレ』は、それはそれは巨大で荘厳だった。
(こんなヤツに勝てる筈がない)
家持はそれを見た時点で戦意喪失してしまった。
その場でへたり込む家持に業平は優しく語りかける。
「どうしたんだい?」
その完膚なきまでに麗しき美声に家持は感服してしまった。
もはや彼にプライドという概念はなくなっていたのだろう。
「こんな僕を弟子にしてはもらえないだろうか…」
家持はその外見に合わない程までに、しなびた『ソレ』を業平に見せつけ懇願した。
「いいとも」
そう言い放つ業平の笑顔は、家持にとってはまるで天使の微笑のように思えた。
【南東駐車場/1日目/深夜】
【大伴家持@百人一首】
[状態]自尊心を失っている
[所持]基本支給品一式、大量のポルノ雑誌、TENGA×1
[思考]このバトルロワイアルに優勝し、自らの勃起不全を治して童貞卒業する
※在原業平に屈服しました。
【在原業平@百人一首】
[状態]イルヤと行為に及ぶ寸前
[所持]基本支給品一式、ランダム支給品0〜3
[思考]自分の思うがままに余生を謳歌する
【イルヤ@Faith/StayKaith】
[状態]在原業平と行為に及ぶ寸前
[所持]基本支給品一式、ランダム支給品0〜3
[思考]1分でも長く在原業平と過ごす
前話
目次
次話