こよみイレブン
「マジかよ……」
吸血鬼もどきの少年、阿良々木暦は学校のある教室の中で呆然と呟いた。
彼が非日常な出来事に巻き込まれたのは初めてではない。
様々な『怪異』に行き会った。それで自身が死に掛けたのも一度や二度じゃない。
目の前で人が殺されるのを見るのも初めてじゃない。
でも……
「……クソっ、あの白衣っ!?」
あんな、あっさりと人の命を刈り取って、しかもあんな風に楽しげに笑えるなんて。
僕が知ってる吸血鬼、彼女もまた、当たり前のように人を喰ってはいた。
だがあいつは、あの白衣の男は人を殺して、それをまるで面白いショーでも見たかのごとく大笑いした。
なんであいつはあんな風に笑っていられるんだ?
……いや、今考えなければならないのはそんな事じゃない。
あのふざけた男、ジェイル・スカリエッティの行動を読むのには重要な部分だろうがそれを考えるのは今じゃない。
まず考えなければならない事は……
最初はデイパックの中身を探る。
あいつは最初の組み合わせは名簿を見れば分かると言っていたが……。
「……ああ、よりにもよって」
知り合いが、或いはまったく見ず知らずの他人と組まされる可能性もあったが、こんなふざけたゲームに妹と放り込まれるとは……。
自慢にもならないが、僕の妹達は正義感が強い。強すぎると言うか正義の味方を自称している。
まずい。あんな歩く火薬庫が二人してこんな場所をうろついているとか……非常にまずい。
既に誰かと揉めている可能性だって十分にある。出来ればその誰かに保護してもらいたいと思うが……。
「考えない訳にもいかないが、ここでこれ以上考えても仕方ないよな」
強引に気を取り直して、次は支給品を調べようとする。
……薄情だって? 仕方ないだろ。
そりゃ、妹達が可愛くない訳じゃない。本当なら頭を抱えていたいくらいだ。
だが考えてみてくれ。こんなトンデモ展開に自分や家族が一緒に放り込まれる気持ちなんてラノベに書かれているそれより相当厳しいんだぞ。
とりあえず強引に今の状況を「こういう状況だから仕方ない」と今の状況に一区切りをつける。
次にあいつが支給すると言ってた武器の類はどんなものか調べよう……
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「ドクター、どうしてこんな……」
ウェンディもまた学校のある教室の中で呆然と呟いていた。
時空管理局に捕まり、チンク姉らと一緒に管理局の教育プログラムに入り、とある施設でプログラムを受けていた。
今日の研修が終わり、夜になって就寝の時間になったから眠りについて……
そう、気が付いたらあそこにいて、ドクターと馬鹿っぽいコンビがいて、それで首が……血が……
「な、なんでこんな……こんな殺すって……」
もともと彼女の生みの親であるスカリエッティが犯罪者として、マッドサイエンティストとしてえげつない行為をしていたのは薄々承知してはいた。
それでも、ナンバーズの一部を除けば可能な限り人を殺す事は避ける様、スカリエッティから言い含められていた。
それに具体的に彼が何をしているかは、ウェンディに重要な情報が明かされることは少なかった。それに彼女も特に気にはしなかった。
重要な事はすべてスカリエッティやナンバーズの上位ナンバーの姉達に任せていたし、それを疑問にも思っていなかった。
ただ、スカリエッティや姉達の言う事を聞いていればよかった。
管理局の教育プログラムに入ったのもチンク姉の勧めに従っただけ。
彼女本人の生みの親であり、同時に犯罪者でもあるスカリエッティの命令を聞く毎日に特に疑問はなかった。
まぁ、犯罪者集団として管理局から身を隠す生活に何かと不自由だったことには不満が多少あったが。
例え少々、いやかなりエキセントリックでもスカリエッティはスカリエッティなりに娘達に愛情を持っていた。
少なくともウェンディも、他のナンバーズのみんなもそう思っていた。
だから、こんなあからさまにスカリエッティが自分に危害を加えるなんて想像もできなかった。
ましてやこんな使い捨てのモルモットの様な扱い……。
「は、はははぁ、こんな、こんなの嘘かドッキリでッスよね? ドクター、意外とお茶目なんだから……」
引き攣った作り笑いを浮かべ、おそらくどこかで聞いているであろうスカリエッティに問いかける。
そうッスよ、これはタチの悪いバッドジョークッスよ。
あのドクターの事ッス、捕まったとしても管理局を出し抜いて逃げ切ることぐらいどうってことはないッス。
でもなんで、逃げ出した直後にこんな悪趣味なゲームを始めたのかは分からないッスけど、おそらく他人を使った何かの実験かテストッスよ。
そうッス、これだけの大掛かりな実験ッス。始めたついでに自分の娘を参加させる悪趣味な冗談ッスよ。
「ドクター、悪趣味にも程があるッスよ。ほら、そろそろこれはドッキリだってネタ晴らしする時ッスよ?」
そう、これは冗談、冗談ッス。
幾らドクターでも、自分の娘をこんな使い捨てのモルモットにする訳ないッス。
普段は気にしてないッスけど、自分は今までドクターの為に懸命に働いてきたッス。そんな自分を裏切るはずがないッス。
だからウェンディは何処かで自分の声を聞いているであろうスカリエッティに問い掛ける。
「ほらっ、もうネタばれしてるッスからこんな事しても無駄ッスよ。ドクター、見てるんッスよね? もう冗談はいいッスから
いくらなんでも冗談がきつ過ぎるッスよ〜。もうふざけるのは沢山ッスからそろそろそちらに帰してくださいッス〜
それともこれは何かのテストか訓練ッスか?」
「ドクター? 聞いているッスか? ウーノ姉? ドクターの傍にいるッスよね?
ウーノ姉からもドクターにそろそろ止めるように言ってくださいッス〜。
チンク姉〜、チンク姉もいるッスよね? チンク姉からも止める様に言ってくださいッスよ〜。
まさか、これってクア姉の入れ知恵ッスか? 幾らなんでも悪趣味ッス! いい加減にそちらに戻してくださいッスよ!!」
「ドクター? 聞こえてるッスか? 冗談…ですよね?。
なんで誰も答えてくれないッスかっ!? ねぇ、いるッスよね? 聞いてるッスよねっ!?
なんで、なんで誰も答えないッスかっ!? ドクター? ドクターっ!?」
「そんなっ、なんでっ、なんで誰も反応してくれないッスかっ!?
ドクターっ!? ウーノ姉っ!? チンク姉っ!? この際、クア姉でもいいッスから――」
次第に驚愕も露わに虚空へと怒鳴り散らす。
この状況下では明らかに不注意な行為。いくら常人より戦闘に優れている戦闘機人であれ、迂闊な行動である。
故に、唐突に教室の扉が開き、
「おい、何をしているんだ?」
「ヒャアッ!?」
いきなり声を掛けられ飛び上がる。
「あっ、あっ、あっ、あんたっ――」
「まず落ち着け。お前、今、頭が働いているか? 冷静なのか?」
「なっ! なんで急にそんな事言われなきゃならないッスかっ!? それよりあんた誰ッスか!?」
「僕は阿良々木暦だけど……」
「あ、ありゃ……ありゃりゃき?」
「阿良々木だって……その様子だと名簿もまだ読んでいない様だな」
「名簿……あっ」
見知らぬ少年から名簿の事を指摘されて改めて今の状況を、この状況で大声を出すのがどれだけ危険だったのか思い出す。
他人に指摘され、自分のふがいなさに内心頭を抱える。自分はよっぽど動揺していたらしい。
項垂れてるウェンディを見て、阿良々木は少し畳み掛けるように、だが相手を気遣う風に声をかけた。
「幸い近くには僕たち以外誰もいなみたいし情報交換しようか」
「はあ?情報交換?」
急にやって来て、こんな状況で初対面の相手に淀みなく交渉を開始しようとするなんて。
いや、こういう状況だからこその行動だろうがただの少年にしては度胸がありすぎる。
ウェンディはしばし躊躇したが、ハッとして
「ま、まさか、今の話を聞いてたッスかっ!?」
「はぁ? 聞いてたって……何をだよ?」
そう言うと訝しげにこちらを見てくる。
どうやら、先程の声は聞こえていなかった様だ。
ほっとした。さすがにこんなゲームを開催した男の知り合いだとばれたらやっかいどころではない。
しばらく考え込んで、ウェンディは阿良々木に言った。
「いいッスよ、こっちもちゃんと教えてくれるなら嘘は言わないッスよ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「ミッドチルダとか平行世界とか……いや、信じない訳じゃないが……信じない訳にはいかないだろうな……」
それなんてSFアニメ? いや、魔法まであるから……それなんてラノベ?
なんて言葉で片付けられたらどんなに楽だろ。あるいはウェンディの嘘か妄想ならどんなにいいだろう。
でも、自分が彼女なら嘘を付くのならもっとマシな嘘を付くだろうと思うし、絵空事として切り捨てるのは説明に妙にリアリティがあった。
幸か不幸か、この世には普通では信じられない存在や出来事が存在しているのを阿良々木は実体験で知っている。
それに……
「まぁ、普通は信じられないッスよね。でもこればっかりは信じて貰うしかないッスよ」
「まあな……それで、ウェンディはそのミッドチルダに暮してて、気が付いたらあの場所にいたって訳か?」
「そうッスよ。夜、部屋で寝ていて、気が付いたらあそこにいたッス」
ウェンディの言い分では住む世界は違うが僕と同じただの一学生でミッドチルダで普通に暮らしてきた……と本人はそう言ってる。
僕はいつもの様に学校から帰宅して、そしていつも通りに部屋で忍と会話していて……気が付いたら大勢の人と共にあそこにいた。
それから、あのふざけた物言いを聞いた後、一瞬で今度は地図にある学校の教室にいた。
魔法がどういうものか詳しくは知らないがこれだけの事が出来るのなら、今更何があっても不思議ではないけど。
「それにしてもあれが魔法だとするとジェイル・スカリエッティって言ってたあの男、ウェンディと同じ世界の人間なんだよね?」
「えっ? そ、そ、そうッス! あいつ、ミッドチルダではとんでもない悪党ッスよ!」
「ああ、その何とかの大船って物凄い兵器でテロ活動をしていたって……その時、ウェンディはよく無事だったんだな?」
「えっ、ああ、偶々ッスよ、偶々。テロがあった日、ミッドチルダにいなかったッス」
「あっ、そう。まぁ、いいけどね」
含みのある言い方で引き下がる阿良々木。それをいささかも怪訝に思わずに会話を続けるウェンディ。
「それにしてもあんたも第97管理外世界、確か地球って言うんッスよね?」
「ああ、そうだけど」
「この名簿、地球出身が多いッスけどなんでなんッスか?」
ウェンディに言われて改めて名簿を見直す。
なるほど、あの白衣が異世界の人間だとしたらずいぶん地球出身に偏った名簿だよな。
けど、なんだこれ? 名簿には地球人ぽい名前だけど外人ぽい名前が混ざっているのはまだいい。
だが、人の名前にしては親の酔狂で済まされない様な名前が多いぞ。
歴史上の英雄やら童話のキャラやら物や鉱石の名前とか……悪目立ち過ぎだぞ、おい。
考えたくないが怪異や幽霊まで考えたら歴史上の英雄やら童話のキャラもありと言えばありだが。
いや、さすがにそれは勘弁してくれ。
とりあえずその可能性もあるという程度は考えておくか。
「じゃあ、名簿で君と組んでるこのクアットロとノーヴェの二人もウェンディと同じ世界の住人?」
「そうッス。クアットロとノーヴェとは姉妹ッス。二人ともお姉さんッスよ」
うん、異世界の名前だから普通の基準が分からん。人の名前にしては変に思えるけど……
でも、こればっかりはあまり人の事を言えないか。暦や火憐や月火も十分珍しい名前だしな。
そして、二人ともお姉さん……か……
「こっちも聞いていいッスか?」
そう言うとウェンディが表情を改めて、なんだ?
「ん? どうした?」
「そっちもこの名簿に書いてある阿良々木火憐と阿良々木月火って家族ッスよね?」
「ああ、僕の妹だ」
そう、何故あの白衣が妹までさらったのか、そもそも何の為にこんな事を始めたのか分からない。
あいつは組としか言わなかったけど僕とウェンディが家族と組まされているのは偶然なのだろうか?
確かに苗字が同じ者同士、家族で組まされてる組が多いな。違うのもそれなりにいるけど。
「そこでそちらと取引がしたいッスよ」
「取引? もしかして、僕の妹を探すのを手伝うから君のお姉さんを探すのを手伝えって事か?」
「おおっ、話が早くて助かるッス。お願いッス!この哀れな美少女を助けると思ってご協力くださいッス!!」
そう言うと手を合わせて頭を下げてきた。
いや、自分で自分を美少女とか言うとかどうよ? どうして僕の知り合う女子はこんなのが多いんだ?
「頭を下げるのはいいからとりあえず頭をあげてくれ」
「じゃあ、協力してくれるッスね!?」
うっ、首だけ上目遣いで潤んだ瞳で見上げてくるとか、ツボを心得ている……。
うん、確かによく見ると……そうだな、悪くはない。
こう、髪を伸ばさずに束ねてボーイッシュと言うか、そうだな神原に微妙に似てるけどタイプが違うというか。
いやいや、何を考えているんだよ? 今考えるのはそこじゃないだろが。
「どうしたッスか?」
「いや、何でもない。僕も最初から協力を頼もうとそっちに接触しようとしていたし」
「最初から? そういえば何でここに居るって分かったッスか?」
僕は持っていた機械をウェンディに見せてみる。
「これって……」
「僕の最初の支給品はこれだった。僕らが付けてる首輪を感知する機械らしい」
「おおっ! これってけっこう凄くないッスか? これならノーヴェらを見つけ易いッス!」
「もっとも範囲がけっこう狭いが……それじゃ、他にも聞きたい事があるけどそれは追々聞くとしてもう行かないか?」
そう言うと自分のデイパックを抱えて出発の準備をする。
「行くって、まずは何処に行くッスか?」
「いや、まだ学校の外には出ない。それよりまずやらなければならない事がある」
「やらなければいけないこと? 他にもここに誰かいるッスか?」
だとするとその参加者たちとも合流するのだろうか? あるいはもしかしたらそれはノーヴェ達かもしれない。
だが阿良々木はしばらくどう相手に伝えればいいのか分からない様な表情を浮かべて黙ってウェンディを見ていたが
やがて阿良々木はウェンディの着ている服の方へと目を向ける。
「なぁ、君が異世界の人間なのは分かったし、それはそっちではそういう服が普通なのかもしれないが……」
服? ウェンディは首をかしげ、自分の今の姿を思い出しハッとする。
そう、今の自分が着込んでるのは青系の色を基調としたフィットスーツ、スカリエッティの任務中に着ている戦闘服だ。
どう見てもシ○ッカーの戦闘員の女性版です。本当にありがとうございました。
「僕の世界の人間が多い場所でその服装は、その、間違いなく初対面だと引くから着替えた方がいい」
「でも、せっかくの戦闘ふ…」
「戦闘?」
「あ、いやっ、この服はッスね、そ、そうッス! ミッドチルダの今の流行の服ッスよ! だから出来れば着替えたくないッス!」
「どうした? ずいぶん慌ててる様に見えるけど?」
「なっ、なんでもないッスよ! ほら、この体の線が出てるのがエロ可愛いくて今の女の子に人気があるッスよ」
「女の子が自分でエロ可愛いとか言うなっ! だからわざわざポーズを取るなっ! いや、どうだ?って聞かれても……こらっ、机の上に乗って足まで開くなっ!?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
最初に出会ったのが気のいいあんちゃんでよかったッス。
しっかりしてて、頼りになりそうッス。とりあえずの連れとしては悪くないッスね。
大体、急に殺し合えとか言われても普通、そんな事出来る訳ないッスよ。
この調子ならすぐノーヴェと合流できるかもしれないッスね!
ノーヴェ、喧嘩速くて空気読めないッスから早く合流した方がいいッス。
でも、クワ姉の方は嫌な予感しかしないッス。主に出会った相手の方が。
これがチンク姉なら逆に頼りになるッスが。
いや、例えここにいなくても妹をこんな場所に放り込むのを絶対止めてた筈ッス。
ドクター、なんで急にこんな事するッスか? これも何かのテストなんッスか?
殺し合いに参加させるとか普段は可能な限り殺すなって言ってたじゃないッスか。
チンク姉、そっちにいないんッスか? それともドクターの言い分を受け入れたんッスか?
あるいはチンク姉だけまだ管理局の方にいるッスか?
分からないッス、分からないッスけど、これもテストの内ッスか?
でも、今まで受けてきた訓練とはあまりにも違い過ぎて……
ああっ、ドクターの考える事なんて知らないッス!?
とりあえず今はノーヴェらと合流する事だけを考えるッスよ!
まぁ、普段の任務の延長だと考えて死なない様にすれば何とかなるッス。そう、なんとかなるッス……
あ、そう言えばギンガやスバルもこっちに来てるみたいッスけど……
ギンガはうちらが取っ捕まえて洗脳した事すらあったのに研修ではいつも優しく接してくれたッス。
スバルは面会で会話したッスけどホントにいい奴だったッス。ノーヴェは面会を拒否してたッスが話してみると悪い奴じゃなかったッス。
あの二人も今頃どうしてるッスかね……
背に腹は変えられないッスから合流できれば大助かりッスけど…。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ウェンディ、お前あれで誤魔化してるつもりか?
スカリエッティの事とか、服の事とかあの時のお前、あからさまに怪しかったぞ。嘘をつくなら目が泳ぐ癖は無くそうな。
だが、ウェンディが嘘を付かなければならない理由はなんとなく推察できた。
何故なら、ホントはお前に出会った時、何も聞いていないと言ったが本当はドア越しでも丸聞こえだったんだから。
お前があの白衣や声だけだったけど綺麗な女の人の声、ウーノや名簿にも書かれてないチンクって人にここから出してくれと懇願していたのを。
ウェンディがスカリエッティの仲間、と言うのも微妙に違うかもしれないが、何らかの関係があると見て間違いだろう。
少なくとも犯罪者と言っていた相手をピンチに頼りにする程は親しい関係。あるいは関係だった。
でも、スカリエッティは何も知らせず、そしてウェンディは事前に何も知らされず、こんなふざけた殺し合いに放り込まれた。
それもそれに協力していたウーノって人、ウェンディのお姉さんも協力していた……。
こんな殺し合いを初め、他人をあっさり殺す連中だ。ウェンディは犯罪者だと言っていたけど……でも、血を分けた同じ姉妹を平気で放り込んだのかろうか?
あの時のウェンディのスカリエッティと家族を信じている様子と、実際にこの殺し合いに放り込まれた事実、
どちらが真実だろうか?
それにどうする? 誰かと協力関係を築きたかったのは本当だけど、最初に探知機に反応した相手があの男の関係者だったなんて……
いっそう強引にでもスカリエッティの情報を聞き出すか?
でも、あの時何も知らされずにこんな場所に放り込まれた時のこいつの慌てぶりは芝居でも何でもなかった。
いや、待て。だからなんだと言うんだ? ウェンディは僕や妹たちをこの殺し合いに放り込んだ連中の一味だろ?
気にかける必要なんてないはず。
いや、違うな。僕は……仲間や姉妹に裏切られてこんな殺し合いに放り込まれたウェンディに確かに同情している。
出会ったばかりで妹たちもいるこんな状況なのに、だ。
確かにウェンディはあの連中の一味かもしれない。彼女も何らかの犯罪を犯していたのかもしれない。
でも彼女も殺し合いに、それも身内に裏切り同然で放り込まれたのも事実だ。
あいつらの仲間だったからって理由で仲間に裏切られた女の子を見捨てるのも見殺しにするのも嫌だ。
それに彼女から妹を見つけるのを協力すると言ってくれた。その言葉には嘘はなかった。
なんて言うか、うまく言えないけど、犯罪者なのに憎めないと言うか、いや、別に美少女だから優遇してる訳じゃないぞ。うん。
大体お前、人を騙すにしても、嘘を付くにしても下手すぎるぞ。
後、表情もコロコロ変わり過ぎ。あれなら子供でも動揺してるの見抜けるぞ。
見た感じ、間抜けな犯罪者と言うか、妙な所で善人で間が抜けてるんだよなコイツ。
少なくともこちらから下手に刺激しない内は大丈夫なはずだ。
でもあの連中と対決するのならいつかウェンディが持っている情報が必要になる。
どう切り出せばいいか、それにどこかで連中が聞いていると言っていたが、この殺し合いが何かの観察なら実際にあり得そうだけど。
……しばらく様子を見てからどう切り出すか決めよう。
そうして僕たちはまず学校で役に立ちそうな物を物色する事にした。
ウェンディが着替える服が見つかればいいんだが…。
【D−3/学校の教室/日中】
【ウェンディ@魔法少女リリカルなのはStrikerS@アニメ】
[状態]:良好のつもり
[服装]:ナンバーズの戦闘服
[装備]:
[道具]:支給品一式、不明支給品1〜3(未確認)
[方針・思考]
基本:できれば殺したくないし殺されたくない。
1:そんなに目立ッスかね、これ?
2:まずノーヴェと合流する。クアットロも…
3:阿良々木の妹たちを探すのを手伝う。
4:ドクターの事は考えない。考えたくないが…
5:ギンガとスバルは生き残る為なら協力し合ってもいい
[備考]
※ 参戦時期は本編終了後です
※ 自分とスカリエッティの関係は可能な限り隠そうとします
【阿良々木暦@物語シリーズ@ラノベ】
[状態]:健康
[服装]:普段着
[装備]:首輪探知機@オリジナル
[道具]:支給品一式、不明支給品0〜2(確認済み)
[方針・思考]
基本: 誰も殺させないし殺さないでゲームから脱出
1:目立ち過ぎだろ……
2:まずは学校を探索。可能ならウェンディの替えの服を見つける
3:妹たちを探す。 ウェンディの姉たちも見つける
4:ウェンディを見捨てない。今は主催の事は尋ねない
5:だがいつかは切り出すつもり。どう切り出すかは…
[備考]
※ 参戦時期は次の書き手に任せます
※ ウェンディから不完全ながらなのは世界やウェンディの事を聞きました。
所々嘘や抜けてる部分があると感じていますがある程度真実だと思っています
※ ウェンディが主催と関係があるのを知っていますが当面はしらないフリをします
【首輪探知機@オリジナル】
半径50メートル以内の参加者を光点で示す探知機。
ただし、分かるのはあくまでも首輪の位置だけです
前話
目次
次話