Sister






突然殺し合いを強要され、当然ながら私が始めに抱いた感想は憤慨であった。
この私をコーネリア・リ・ブリタニアと知っての狼藉か。
もちろんこのような不埒な行いに加担する気はさらさらないが、自らの命欲しさに他者を害する輩は出るだろう。
ならば最低限自分の身は守る必要がある。私は足元に置いてあったデイバックから支給品を確認する事にした。

まず出てきたのは…刃付きのブーメラン。
ブーメランにしてはかなり大型だが、峰の部分に握り手が付いており使いやすいよう工夫されているらしい。
説明書によるとこの武器の名は「ブーメランブレード」というらしい。
しかし獲物がブーメランでは心もとない。使えないわけではないが、出来れば剣か銃火器が欲しかった。

次に出てきたのは双眼鏡だ。期待したものが出てこなかったのは残念だが悪くはない。
それとなしに覗いてみると城の頭頂部に何者かが立っているのが見えた。
とっさに物陰に隠れ、そっと双眼鏡越しに相手を観察する。
体格から女だと分かる。それにウェットスーツのような、全身にフィットするタイプの青いスーツ。
私の見たことのない衣服だが、その格好はKMFのパイロットスーツとよく似ていた。

(ここからなら距離もある。下手に出て行き遭遇するよりも今しばらく身を隠し現状確認に努めるとしよう。)

女からは死角となる物陰に隠れたまま、私は再びデイバックに手を伸ばす。
なにより気になるのは最初に説明された「組」についてだ。
ふと頭によぎるのは、最も信頼できる我が唯一の騎士。
私のパートナーは誰だろうか?名簿をめくり、自分の名を探す。


(ルルーシュ……それに兄上まで……)


ルルーシュ・ランペルージ、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア、そしてゼロ。
私の妹、ユーフェミア・リ・ブリタニアをギアスで操り、汚名を着せた下手人。
兄上に匹敵する知略に加え、やつの絶対順守のギアスは危険過ぎる。


参加者にイレブンが多いことが気になったが、ほどなくし自分の名は見つかった。
そしてその隣にあった名前は……。


ユーフェミア・リ・ブリタニア


(ユフィ!?)

思わず声をあげそうになった口を手でふさぐ。
生きているはずがない。私の妹は確かに死んだはずだ。
だが会いたい!会って話がしたい!もう一度だけユフィと会って話がしたいっ!
もちろん偽名であるとか、この名簿がでたらめであるという可能性も考えた。
それでもユフィが、もし生きているのなら……。

―――やることは決まった。ユフィを探そう。
この名簿に載っているユーフェミアが、私の知っているユフィと違っているか否か、確かめなければ気がすまない。
そして兄上。ルルーシュは信用ならないが、兄上ならばこの状況を打破する策をきっと立てられるはずだ。

そう私が決意した瞬間だった。さっきまで私がいた位置に衝撃が走り、砂埃が舞う。
直前に頭上からの殺気を感じ、身をひるがえしていなければ殺られていた。
それほどの衝撃だったのだ。私は咄嗟にブーメランブレードを構える。

だが砂埃の中から襲撃者の拳が正確に撃ちだされ、その内の一発が私の鳩尾に沈む。
急所はブーメランブレードを構えていたお陰で防げたものの、相手の拳はその隙間をぬうように放たれていた。
砂埃で私の姿は向こうに見えず、あちらの姿も私には見えなかった。なのにどうして?
とにかく拳の射程から離れようとバックステップし距離をとる。

砂埃が晴れてくるとようやく襲撃者の姿が見えた。こいつは……城の頭頂部に立っていた女じゃないか。
あそこからここまで、即座に走って来たとしてもこんな短時間で辿り着くことなぞ出来るはずがない。
さらに奴からは死角である場所に私は隠れていたというのに。
そのまま女は私に思考する間も与えず肉薄してくる。

(くっ!なんという踏み込みの早さだっ!人間業とは思えん!)

気づけばもう目の前にあの女がいる。
ブーメランブレードを振りぬき反撃しようとするが途中でそれが止められ、同時に刃物と刃物がぶつかり合う音が聞こえる。
いや、刃物じゃない……この女、グローブの甲でブレードを受け止めている。
私が慣れない武器であるということを差し引いてもこの女の格闘技術は異常だ。
その時、私と女の視線が交差する。

その金色の瞳は殺し合いという状況に恐怖しているわけでも、戦闘に喜びを見出しているわけでもなかった。
無心――熱さも冷たさもない、なんの意思も感じられない瞳。

ガラ空きになった腹部に女の蹴りが飛び、私の体を容赦なく吹き飛ばす。
そのまま数メートル飛び、落ちた先は水の中。
なんとか手放さなかったブレードをデイバックに入れ、もがき浮きあがろうとする。
だが受けたダメージのせいか身体が思うように動かない、衣服が水を吸い重さを増す。



くそっ…私もここまでか…最後に、一度だけ……ユフィに……。





「――ターゲットロスト、これ以上の追撃は困難と判断。戦闘を終了します。」


Dr.スカリエッティに命じられた。『殺し合いをしてもらいたい』と。


「タイプゼロ・セカンド回収任務は続行――。しかし現兵装での任務達成確立、28.24%」


当作戦目的を戦闘データの収集、蓄積と判断。


「デバイス入手を第三目標に設定。また、他ナンバーズに対する念波通信は不可能。」


任務優先順位、1.『戦闘データの収集』、2.『タイプゼロ・セカンドの回収』


「損傷なし。NO.XIII(tredici)、任務続行します――――」


13番目の娘。博士のために、忠実に働くことを目的に生みだされた人造生命体。
彼女は博士と、自分の姉達に従い、完璧に任務を遂行するためだけの存在になった。
もはや管理局が遵守している法律を守る必要も無い。
全ては博士のために、『宴』成就のために。



【E-5/水辺付近/日中】
【ギンガ・ナカジマ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
 [状態]:損傷なし
 [服装]:ナンバーズの戦闘服 
 [装備]:なし
 [道具]:支給品一式、支給品1〜3(確認したかどうかは後の書き手にお任せします。)
 [方針・思考]
  基本:博士の命令通り殺しあいをする。
  1:新たなターゲットの捜索。
  2:タイプゼロ・セカンド(スバル)の回収、抵抗する場合は行動不能段階まで破壊。
  3:ブリッツキャリバーの入手。
 [備考]
  ※ 参戦時期は洗脳後、スバルとの対決前です。
  ※ 他のナンバーズへの対応は後の書き手にお任せします。

【E-4/水中/日中】
【コーネリア・リ・ブリタニア@コードギアス 反逆のルルーシュ】
 [状態]:腹部へのダメージのため行動制限。
 [服装]:皇族服 
 [装備]:なし
 [道具]:支給品一式、双眼鏡、ブーメランブレード(2)、未確認支給品(0〜1)
 [方針・思考]
  基本:自分から殺し合いに乗るつもりはないが、脱出方法がないときは…。
  1:ユフィに会いたい…。
  2:シュナイゼルの捜索。
  3:ルルーシュへの警戒感。
 [備考]
  ※ E-4方面に流されました。その後どうなったかは後の書き手にお任せします。
  ※ 参戦時期は第二期TURN15「Cの世界」から。
  ※ ギンガを危険人物として認識しました。


【双眼鏡@現実】
望遠鏡の一種。遠方のものを両眼で拡大して見れる便利な道具。

【ブーメランブレード@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
ナンバー7、セッテの固有武装。長いブーメラン状の刃。
打撃武器だが、高速回転時は切断能力を有する。
高質量とバリアブレイク性能を持ち、バリアブレイクで防御魔法を無効化して相手を叩き落す対人殲滅戦向け装備である。
手持ちで使用するほか、投擲しても運用可能。
ふたつで1セットの支給品。



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