姉妹と兄弟






「あ〜……ここはいったいどこなのですかぁ!
 外に出たいですぅ〜!……蒼星石!雛苺!真紅ぅ〜〜!どこですかぁ〜〜?」

長い通路を行ったり来たり。小さな背をめいっぱい伸ばし扉をあけ、行き止まりになってまた戻る。
もうこの過程を何度も繰り返している。どの部屋を開けても外への出口が見つからない。
オランダやベルギーの民族衣装のような、深緑のロングスカートにエプロンドレス、白いヘッドドレスを付けた可愛らしい人形。
「ローゼンメイデン」シリーズ第3ドール、翠星石は迷子になっていた。

開始時点から歩き通しで、疲れて怖くて寂しくて、今にも泣き出しそうな表情を浮かべた翠星石。
天邪鬼で計算高く高飛車で、でも実は見栄っ張りで泣き虫な、人一倍臆病な彼女の弱い面が出始めていた。

(このアリスゲームもどきは何人かの組で行われるですぅ。
となれば翠星石のパートナーは絶対に蒼星石なのですよ!
でもでも、生き残れるのが一組だけなら真紅や雛苺とも戦わなければいけないのですか?
いやいやその前に蒼星石や雛苺が他の悪い人間にやられちまうかもしれないのですぅ!
な、なら先手必勝!他の人間なんかやっちまうですぅ!)

翠星石が持つ拳銃、「インベルM911」を握る手に力がこもる。
遠い異国の地で、『猟犬』と呼ばれた鉄血メイドが使用したその拳銃は、取り立てて特徴はないものの軍用拳銃らしい無骨さと素っ気なさがある。
大きくて使いにくい武器に変りはないが、拳銃という力が翠星石に勇気を与えてくれる。

「まったくあの白い服のバカ人間!ちょっとは翠星石を飛ばす場所を考えるです!
はぁ〜ホントに、いちいちドアを開けるのも!大変!ですっ!」

一番奥の突き当たりの扉、もうこれで出口が見つからなければ閉じ込められたことになってしまう。
ぴょん、ぴょんと跳ねドアノブを掴むとやっとのことで次の扉を開ける。
中に入るとそこはテーブルがひとつに、椅子がふたつだけの『からっぽの部屋』。
入ってきたのとは別にもうひとつ扉があり、そこからまた奥に行けそうだ。もしかして出口だろうか?

「おおっ、あれは!」

さらにテーブルの上にはほかほかと温かな紅茶の入ったティーカップ。
真紅ほどではないが翠星石も紅茶は大好き。
それも歩き疲れてちょうど一息いれたいときであったのだからなおさらだ。

「これも翠星石が毎日いい子にしてるご褒美ですねぇ〜!お紅茶、お紅茶嬉しいな♪」

だが首もとに何者かの生温かい鼻息をかけられ、気味の悪い怖気が全身を駆けまわる。

「―――上機嫌のところすまないが……少しいいか?話をしたい……。」

驚き警戒し距離を取った翠星石は身構え銃を向ける。カトラスの重さと見知らぬ人間の恐怖で銃口が震えていた。
頭部をすっぽり包む、白い変な形の帽子を被った男は少女だと思っていた女の子が人間でなく、『人形』だと気づき怪訝な顔をする。

「お前は『敵』なのか?『敵』じゃないならそれをしまうんだな。」
「うるさいですっ!モコモコ人間!!お前こそ早く翠星石から離れてどっか行けですぅ!!」

(翠星石が開けたドアの後ろに隠れてやがったですか!?
この人間はいい人間ですか?悪い人間ですか?
そうです!きっとこいつ隠れて翠星石を狙ってやがったんです!
こいつは敵。こいつは敵。早く決断しなければやられるです!
このアリスゲームもどきで知らない人間に出会ったらどうするですか?
このつま先立ちで立つ変なモコモコ帽子の人間なんか信用できるわけないですっ!)

数百年の時を生きた翠星石は様々な人間に出会った。
ノリやジュンなど善良な人間も希にいたが、自分達を道具のように扱い利用しようとした悪い人間が大半だった。

「……悪いことは言わないからやめておけ。すぐに銃を、」
「翠星石から離れろおおおおおぉぉぉぉぉおおお!!!」

ついに翠星石を保っていた理性の糸が切れた。
緊張と恐怖で箍が外れ、叫びと共にM911の45ACP弾が放たれる。

「そうか……『敵』と、認識させてもらう―――。」

そして男は顕現する。自身の『ビジョン』を。己だけの法則を現実にする力を。
困難に、運命に『立ち向かう』、その精神の具現を。

「『ウェザー・リポート』ッ!」

『Stand by me(側に立つ)』。男の隣に佇む雲が人の形を成したような『像』。
ウェザー・リポート―――彼の『スタンド』の名も『ウェザー・リポート』。
能力は『天候の操作』。それの応用で『気流』を操作し、『防御壁』を作り出した。
もう二度と、銃弾がウェザー・リポートに触れることは決してないッ!

「いやああああぁぁぁぁあああああ!!!」

男に直撃するはずだった銃弾があらぬ方向に飛んでいき翠星石は驚愕する。
未知の敵の恐怖と理解不能の現象のなか生まれる混乱。
反動で転んでしまうのも構わず、M911を滅茶苦茶に連射する、がッ!

「『ウェザァァァァァ・リポートォォォォォ』ッ!」

銃弾を壁に天井に弾き返しながら一気に間合いを詰め、何十kmという風速で打たれたスタンドの拳が翠星石の体を吹き飛ばし壁に叩きつけるッ!
翠星石の身体がバラバラになってしまいそうなほどの、雲のような、気体と液体と固体の塊で殴られた衝撃ッ!

「……お前に恨みはないが、『再起不能』になってもらう。殺しはしないが、無闇矢鱈に銃を振り回されても困る。」

相手が人間ではなく、人形なら四肢をバラバラにしてやっても死にはしないだろう。
対する翠星石はギシギシと球体関節が音をたて、辛そうに立ち上がる。

「わかって……たんですぅ……。」

破壊力Aクラスのスタンド攻撃を受け、意識すら飛びかけた翠星石が言葉を紡ぐ。
まずは翠星石の両手をもごうと、ウェザー・リポートが近づいてくる。
だがウェザーの視界の端に、一条の薄緑に光る軌跡が見えた。

「モコモコ人間が最初に鉄砲をはじいた時から……、
翠星石が滅茶苦茶に撃てば近づいてくるって……わかってた、ですぅ……。
だからお陰で、周りこめたんですぅ……。」

「ッ?!!『ウェザァァァァァァァァーーーーーーリポォォォーーート!!!』」
「『スィドリーム』ッ!!!」

ウェザーの背後から、人工精霊スィドリームが綺羅星のごとく輝き突撃する。
その閃光に視界は奪われたがおおよその位置は掴んでいる。
即座に『ウェザー・リポート』を迎撃に回し、小規模の『ハリケーン』を発生させ、それの生み出す突風で『スィドリーム』を吹き飛ばす。

「そう、この『風』がいいんですよぉ……モコモコ人間、あんたのこの『風』の力ですぅ!」

吹き飛んでいたのは『スィドリーム』だけではない。
なんと翠星石は『ウェザー・リポート』の起こした『ハリケーン』の風に自ら乗り、ウェザーの真上をひとっ飛びした。
ふわふわのドレスと身軽な体躯だからこそ成せるこの軽業。
一緒に吹き飛ばされた『スィドリーム』も回収し、壁際から反対の壁際へと優雅に着地する。

「なるほど……だが俺はもう一度お前を追い詰めるだけでいい。二度も同じ手段は通じないと思うんだが?」

「いえいえ、もうおめぇは翠星石を『追い詰める』なんてできないんですぅ。右足を見てみろ!ですぅ。」

翠星石の言葉を無視し『ウェザー・リポート』が確実にラッシュを叩き込める射程にまで接近しようとする。
だが右足が、なにかに引っ張られている。いや、なにかに『固定』されている?
これは……俺の右足に絡み付いているのは、植物のツタ……?

「まったく、ちょっぴりしかお水をあげれなかったからこーんなに時間かかっちまったですぅー。」

翠星石のもうひとつの支給品、『庭師の如雨露』。
『スィドリーム』でウェザーの目を眩ませた隙に、少しだけ水を壁に与えゆっくりとだが植物を成長させた。
すべてはこの時を作るため、完璧な隙を突くため。

「――わざと俺に接近させたのも、あの目眩ましも、全てはこのためか……。」

「もう遅いですぅ!それっ!健やかにィ〜 のびやかにィ〜 緑の葉っぱを キラキラ広げて。」

運良く本来の使い手に渡ったその如雨露の甘い水が植物たちに活力を与え、ツタがさらに太く強靭にウェザーを拘束していく。
ツタは壁どころか足元からも生え出している。このツタを破壊しようと『ウェザー・リポート』の拳を打てば、衝撃で自身の足も砕けかねない。

「どんな方法かは翠星石も知るわけねぇですがモコモコ人間、お前の『風』の力なんかじゃしっかり根を張った植物を吹き飛ばせるわけねぇですぅ!
本当はここで蒼星石が『庭師の鋏』で切り刻めば完璧、ですがないものねだりしても仕方ねーです。
そうです、いいこと思いついたですぅ……。翠星石にお痛した罰にこのままミノムシみたいにしてやるですぅ!覚悟しろですぅ!」

一瞬の虚を突き、ウェザーの動きを封ずることには成功した。
だが、翠星石を重大な思い違いをしている。
『風』を操ることは、『ウェザー・リポート』の能力のひとつにすぎないッ!
『ウェザー・リポート』の能力は『天候を操作』することッ!

そして今、ウェザーの周囲に形成されたのは『積乱雲』ッ!
その中で轟くのは、確かに『雷鳴』ッ!『風』の衝撃が使えないのなら、『電撃』でツタを焼ききるッ!

「な、なな……っ!ずりーですぅ!『風』に『雷』も使えるなんてルール違反ですぅ!」
「―――いい加減にしろ。お前と俺の『ウェザー・リポート』では力の差がありすぎる。諦めろ……。」

あんな痛い思いをしてようやく育てることのできた植物が容易に焼き切られた。
だが翠星石はこのような状況も想定し、二段構えの作戦をとっていた。
『庭師の如雨露』による植物攻撃が有効ならそのまま拘束。
それが出来なかった場合の二段目の作戦、たったひとつ残された策。

  「そ、そうですねぇ、では翠星石はお前に負けてやるのを諦めてやるです……。一昨日きやがれですぅ!」

『逃げるんだよォ!スモーキーーーーッ!! 』
『わあ〜ッ!!なんだこの男ーッ』
『戦略的撤退かしらー!?』

たったひとつ最後に残された策、それは『逃げる』!
かのジョースター一族や、自称『ローゼンメイデン一の頭脳派』も愛用したとされる高等な戦術の一種である。

「クッ…ククッ、なるほど……その発想はなかったな……。」
間違った捨て台詞を残し、入ってきたドアから出て行った翠星石にウェザー・リポートは苦笑した。
だが、逃がすつもりは毛頭ない。





ウェザー・リポートと遭遇した『からっぽの部屋』を脱出し、翠星石は追撃の手から逃れようと駆ける。
あのモコモコ帽子の人間が走る速さはどれくらいだろう?歩幅の大きさ故引き離すことはできない。
なんでもいいから、あいつを倒せるような対抗策を。


(しかし困ったですぅ……翠星石が今出てきたのは翠星石が入ってきた扉。
つまり翠星石はただ戻ってきただけですぅ。翠星石はあっちに行きたいのにあのモコモコ帽子の人間が邪魔するですぅ…。
そうです!もう一度他の部屋を回って役に立ちそうな物を探すです!そうして今度こそあのモコモコ人間をけっちょんけっちょんにしてやるですぅ!)


あのモコモコ帽子をペタンコにしてやることを考えながら、廊下を駆ける。
だが考え事をしていると、周囲への注意が散漫になるのは人形も人間も変わらない。

ゴツンッ!!

曲がり角で誰かと額と額をぶつけてしまった。
お互い尻餅をつき、まったく同じ動作でぶつけた所をさする。

「痛い……のだわ……。」
「お前どこに目ェ付けてるですかー!!っててて真紅ぅーーー!!真紅ですぅ!よかったです会えたですぅ!」
「えっ?翠星石?翠星石じゃないっ!よかった…無事だったのね…。本当によかった…。」

薔薇乙女のなかで最も気高く、桜田家に住む薔薇乙女達のなかで最も頼りになる第5ドール、真紅。
姉妹達の殺し合いであるアリスゲームでの、姉妹達が争いあうことのない終わりを模索し続けてきた彼女なら、
きっとこの異質なアリスゲームも終わらせてくれる。だってあの水銀燈とだって互角に戦える強さと、優しさを持った妹なのだから。

「そうです!真紅聞いてください!モコモコ帽子が『風』だけかと思ったら『雷』まで使ってきたんです!それで翠星石の邪魔をしてきたんですぅー!」

「ええっと……ごめんなさい、状況がよく飲み込めないわ……。もう一度、深呼吸して、落ち着いて説明してちょうだい。」

すぅーはぁー、すぅーはぁー。
そうです、まずは落ち着くです。
真紅と力をあわせればきっと生き延びれる、あのモコモコ帽子の人間も怖くない。
しかし、ここで翠星石はある『違和感』に気づいた。

「あれ?し、真紅?どこから、ここに入ってきたですか……?」

そう、翠星石が走ってきたこの通路は『からっぽの部屋』に入る前に翠星石がすべての扉を開け、『出口』がないか調べた通路。
『出口』があると思われるのは『からっぽの部屋』の、ウェザーに邪魔され調べられなかったもうひとつの扉。

この通路に広がる各部屋、各通路に『出口』はない。ヘトヘトになるまで歩いて調べたのだから。
では真紅は、『出口』がないのにいったい、どの『入口』からこのフロアに入って来たのだ?

「翠星石?いったいなにを言っているの?」

おかしい。絶対におかしい。つじつまが合わない。
それになぜあのモコモコ帽子の人間は追ってこない?
もう追いつかれてもおかしくない時間がたった。
振り向いてもウェザーの姿はない、誰もいない。何事もなかったように『からっぽの部屋』の扉が閉まっているだけ。
ぞわぞわと、『謎』という恐怖が翠星石を襲う。

「ち、違うです……!おかしいですぅ!変ですぅ!!真紅がここにいるがわけないですぅーーーっ!!!」

そもそもあの部屋にあった『紅茶』は誰が煎れた?いったい誰が?
怪しい、あの『紅茶』がなにか怪しい!





――ひとつの答えに至った時、翠星石の視点が切り替わった。
翠星石は『からっぽの部屋』で倒れていた。そして部屋全体が、椅子もテーブルもドロドロに溶けてきている。
起きなければ。逃げなければ。だが猛烈に眠い。まぶたをあけていられない。


「スデニ、出来テイタナ……。イツモヨリ少々時間ガ掛カッタガ……。」


僅かに残った意識で、オッドアイの眼球に捉えたのはマスクを被り、全身に『GACT』という文字の入った白い人間の形をした化物。
それがゆっくりとこちらに歩いて来る。
『ウェザー・リポート』も『真紅』も……最初からいなかった。
この部屋に入ったときから眠らされ、『夢』を見せられていたのだから。


(どーりで……都合のいいことばっかり起きるわけですぅ……。)


ゆっくりと……大蛇の胃袋のなかに飲み込まれたみたいに、時間をかけ溶かされていた……。
服がところどころ溶けかけてきている。だけど指一本動かす元気もない。

「モラッタゾッ!コレガワタシノ『ホワイトスネイク』ノ能力ッ――!」

化物の手がずぶずぶと翠星石の頭に埋まっていく。
もうそこで、翠星石の意識は途切れた。





グリーン・ドルフィン・ストリート刑務所を出た直後……こんな面倒な『ゲーム』なぞに巻き込まれたときは頭を抱えた。
だが私のよく知るGD.st刑務所の、『面会室』によく似たこの部屋を張っておいて本当によかった。
動く人形に驚き、『自動攻撃型』のスタンドかと思ったがたいしたこともなかった。
ためしに触れてみたが、精巧に出来てはいるものの実体のある人形だ。
人形が動く?たいていの人間は気味悪がる話だろうが、『スタンド能力』という超能力は現実に存在する。
本物の少女のように動く人形があってもなにもおかしくはない。

「差し詰め『人形に魂を吹き込むことのできる能力』だろうか?
優れた画家や彫刻家は自身の『魂』を目に見える形にできると言うが。
――なるほど、興味深い。」

あの人形……翠星石から『精神DISC』と『記憶DISC』を取り出した。
ここでこいつを叩き潰すのは簡単だが――このローゼンメイデンという人形達は利用できる。
私のスタンド『ホワイトスネイク』は確かに強力だが、一般人だけでなく得体の知れない人形達まで参加しているこの戦いを無為無策で戦うのは自殺行為だろう。
このゲームの主催者であるスカリエッティに…ウーノ、ルーテシアという彼に協力する者。
間違いなく彼らもスタンド使いだろう。恐らく複数の能力を組み合わせ、このバカバカしいゲームの運営を行っている。

「そのまま眠っていろ翠星石。――そういえば、記憶のない者が『夢』など見るだろうか?
ふふっ……そもそも人形が『夢』を見るなど、おかしな話か。」

『精神DISC』を戻し、翠星石は刑務所内の牢屋に鍵を掛け放りこんでおいた。
『魂』はあっても、『記憶』がなければ死人同然。
このエリアが禁止エリアに指定された場合は利益と不利益を天秤にかけ、救うか否かを決めればいい。


「問題はウェザー・リポートだ。私が奴の位置を感じているように、奴も私の位置を感じているだろう。
動けば他の参加者に発見される確率が上がり、動かねばいづれウェザー・リポートが私に追いつく。」

『ウェザー・リポート』の能力は分かっている。だが徐倫の時のように、他者と組まれると面倒になる可能性がある。
しかし奴には『記憶』がない。『記憶』のない人間に誰が着いて行く?
他の『スタンド使い』との戦いで野垂れ死にするの待つという手もある。
そうなれば翠星石と『組になる』という手もあるか……。





牢には美しい人形が一体、装飾の施された如雨露を抱え無表情に座っていた。
かつて彼女を『乙女』たらしめていた華のような笑顔も、小悪魔のような表情も見ることは叶わない。
『記憶』を抜き取られ、なぜここにいるのか、なぜ自分は生きているのか、そもそも自分が何者なのか?
『存在理由』とも言うべき全ての記憶と思い出をなくし、唯一残ったのは如雨露への執着。

「…………。」

感情を失い、『ジャンク』となった薔薇乙女を救うのは天国を目指す神父なのか、それとも――――。

       リタイヤ
【翠星石『再起不能』】           
(ただし翠星石の記憶DISCを取り戻せば再起『可能』)


  /└────────┬┐
 < To Be Continued...     | |
  \┌────────┴┘


【B-8/刑務所内牢屋/午後】

 【翠星石@ローゼンメイデン】
 [状態]:記憶喪失。言葉すら失い死人同然。
 [服装]:いつもの服(ボロボロ)
 [装備]:なし
 [道具]:庭師の如雨露
 [方針・思考]
  基本:………。
  1:………。
  2:………。
  3:………。
 [備考]
  ※ 参戦時期はアニメ本編終了後です。
  ※ 『ホワイトスネイク』の姿は目撃しましたが、プッチ神父本人の姿は見ていません。
  ※ ウェザー・リポートは自分の夢が生み出した、真紅と同じありもしない幻覚だと思っています。
  ※ 庭師の如雨露はゴミだと思いプッチ神父が翠星石と一緒に牢屋に入れておきました。
  ※ 翠星石が囚われている牢屋には鍵が掛かっていますが、超人レベルの腕力を持つ人間なら壊せるかもしれません。


【庭師の如雨露】
翠星石が持っている道具。どうやら植物を操る事が出来るらしい。
他にも人の夢の中に存在する「心の樹」の手入れをする事も出来る。
だが一般人は恐らくその能力を使う事が出来ないと思われる。


【B-8/刑務所内/午後】

 【エンリコ・プッチ@@ジョジョの奇妙な冒険 Part6 ストーンオーシャン】
 [状態]:健康
 [服装]:神父服
 [装備]:なし
 [道具]:支給品一式、支給品1〜3(本人確認済)、インベルM911(残弾7発)、翠星石の牢屋の鍵、翠星石の記憶DISC
 [方針・思考]
  基本:必ずや生き残り、DIOの求めた天国へと到達する。
  1:さて、動くべきが動かざるべきか…。
  2:翠星石の記憶DISCを餌にローゼンメイデン達をなんとか利用したい。
  3:なるべくウェザー・リポートとの対決は避ける。だが始末する機会があれば容赦はしない。
 [備考]
  ※ 参戦時期は11巻でGD.st刑務所を出た直後です。
  ※ 翠星石に『ホワイトスネイク』を見られたことに気がついていません。
  ※ 主催者とその仲間がスタンド使いであり、複数の能力を組み合わせているのではないかと推測しています。
  ※ ローゼンメイデンの製作者はスタンド使いなのでは?と推測しています。
  ※ 他の参加者の中にスタンド使いがいるのではないかと推測しています。
  ※ 『翠星石の記憶DISC』の一部からローゼンメイデン世界の情報を得ました。
    (ただし翠星石の記憶全てを見たわけではありません)
  ※ 『緑色の赤ん坊』と合体した影響でウェザーの位置を感じ取れるようになっています。
    (ただし「近くにいる」「遠くにいる」などのおおまかなことしか分かりません)


【ホワイトスネイク】
破壊力 - ? / スピード - D / 射程距離 - ?
持続力 - A / 精密動作性 - ? / 成長性 - ?

人の記憶と精神を「ディスク」化させて奪い取ったり読んだりすることができるスタンド能力。
射程距離は半径20mの遠隔操作型だが、近距離では100%のパワーとスピードが使える。
またDISCはぶよぶよとしたゴムのような感触であり、けっして壊れることがない。
劇中では少ないが、プッチ神父の命令に返答する場面もあり、自意識を持っていると思われる。

DISC化の方法は以下の2通り。

1.スタンドから一定の範囲にいる者に都合のいい『幻覚』を見せ、その間に対象者の心と肉体を『溶かす』ことによってDISCを得る。

2.プッチ神父が対象者に直接触れた場合は心を溶かす必要がなく、手刀一振りで記憶と精神をDISC化して抜き取ることができる。
 ただし、こちらは正体を知られたり、本体が攻撃を受ける危険がある。


【インベルM911@ブラック・ラグーン】
ブラジル軍の元制式拳銃。ラブレス家のメイド、ロベルタが使用。
ガバメントのクローン商品であり45口径、45ACP弾使用。
装弾数が少ない以外には特徴のない拳銃。


【翠星石の記憶DISC】
翠星石の記憶をホワイトスネイクの能力でDISC化したもの。
頭に差し込むことができ、誰でも翠星石の記憶を見ることができる。
翠星石本人に戻せば記憶を取り戻し復活する。





カジノの駐車場に男が蹲っていた。
彼の名はウェザー・リポート――彼も知らないが、真の名前を「ドメニコ・プッチ」という。
赤ん坊の頃にすり替えられ、「ウェス・ブルーマリン」として育てられた彼は16歳のとき恋をした。
相手の名は「ペルラ・プッチ」。エンリコ・プッチ神父の実の妹であり、「ドメニコ」にとって妹にあたる女性だった。

「ウェス」も「ペルラ」も知らなかった。
付き合っている相手が実の兄だと、血のつながった妹であるということを。

「ウェス」の母親の、教会の告解室での懺悔からその事実を知ったプッチ神父は妹を傷つけさせないため、ゴロツキにウェスを脅させそれとなく別れさせようとした。
ただのそれだけだ……なにも知らせず……妹が味わうのは誰もが経験するただの失恋……。
だがプッチ神父も知らなかった。
依頼したそのゴロツキが、100年前には法律として存在した社会にとって最悪のしきたりを受け継いでいた者だということを。

1972年当時「ウェス」の母親は、都会で黒人と結婚していた。
ゴロツキたちは仲間を呼び、たちまち白い頭巾を被り『彼ら』となるとウェスを襲った。


――愛は最悪の事態を引き起こした。
ウェスは崖の上の木にロープで吊るされ、彼の母親の家には火が放たれた。
ペルラはまだウェスにかすかに脈があることも知らずに、崖の下の湖に身を投げ死んだ。


結末はいったい誰の罪なのか――?
赤ん坊をとりかえたウェスの母親か?
妹を傷つけさせまいとしたプッチ神父か?
恋をした妹か?
何も知らないウェザー・リポートか?


ウェザーは怒りに満ちていた。
自分をこんなめにあわせた世の中のやつらに、自分が生きていることに。
そしてペルラを死なせてしまった自分自身に。

「プウウウゥゥゥゥウウウウーーーッチィィィイイイ!!!」

なくしたはずの記憶を取り戻し、あの時の絶望の怒りが蘇る。
ウェザーの感情の爆発のままに彼の『スタンド』がゴロゴロと積乱雲を発生させ、その放電が側にあった車を包む。


  どっごおおおおおおんっ!


かなり派手な音をたて、車が爆発した。
だがその吹き飛ぶ破片も爆発の火炎もウェザーを傷つけることはない。
轟々と燃え盛る車に背を向け、振り返りもせずウェザーは歩き出す。

……奴はこの近くにはいない。なぜか知らないがそれだけは分かる。
同じ島にはいるものの、ここからはかなり遠い場所にいるはずだ。
それに『虹』が出ていない……あれはオレの無意識の部分が発動させていた能力のはず。オレのスタンドに妙な手が加えられているのか?
しかし兄貴をブッ殺す機会が与えられたのはいいが、他のヤツと『組』を作らならければいけないってルールは妙だ。
奴との組なぞさっさと解消したいが、奴を殺す前にオレが死ぬことだけはごめんだな。


【G-1/カジノ駐車場/日中】

 【ウェザー・リポート@ジョジョの奇妙な冒険 Part6 ストーンオーシャン】
 [状態]:健康
 [服装]:私服
 [装備]:なし
 [道具]:支給品一式、不明支給品1〜3(未確認)
 [方針・思考]
  基本:プッチを殺し、ヤツとの決着をつける。
  1:まずは中央に向かい、プッチを探す。
  2:さっさとプッチとの組を解消したい。
  3:プッチを殺すまでは死ねない。
 [備考]
  ※ 周辺に車の爆発音が聞こえた可能性があります。
  ※ 参戦時期は封印された過去の記憶が戻った直後です。
  ※ プッチが『緑色の赤ん坊』と合体した影響でプッチの位置を感じ取れるようになっています。
    (ただし「近くにいる」「遠くにいる」などのおおまかなことしか分かりません)
  ※『ヘビー・ウェザー』の能力が封印されていることに気がついています。

【ウェザー・リポート】
破壊力 - A / スピード - B / 射程距離 - C
持続力 - A / 精密動作性 - E / 成長性 - A

天候や空気を広範囲に操れるスタンド。
幅広い応用力をもち、近距離戦・遠距離戦・集団戦いずれも得意とする強力なスタンド能力である。

【ヘビー・ウェザー】
物語終盤においてウェザーが記憶を取り戻した事により発現したウェザー・リポートの隠された能力。
当ロワでは制限対象であり使用できない状態となっている。



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