クラッシュ 〜戦慄〜






「〜〜〜〜〜〜!!」

砂浜にて一体の人形が悶絶していた。
人形の名は金糸雀。ローゼンメイデンの第2ドールである。
ただの人形に見えるが、彼女の首には他の参加者と同じように首輪が巻かれていた。
紛れもなく彼女がこの殺し合いの参加者である証であった。
彼女が悶絶しているのは、先程確認のため取り出した3つの支給品のうちの1つが原因であった。


黒いウサギのぬいぐるみ。
ウリボウ。
虹色のパンの詰め合わせとジャム。


以上が彼女の支給品である。
ぬいぐるみは見た目通りただのぬいぐるみであった。
ウリボウは出した途端にどこかに行ってしまった。
ここまではいい。

問題は3つ目の支給品である虹色のパンとジャムであった。
『ハイパーレインボーパンの詰め合わせ&謎ジャム』という名称のようで、パンの詰め合わせとジャムを合わせて1つの支給品の扱いのようであった。
ハイパーレインボーパンは文字通り虹色に輝くパンで、彼女がこれまで見たことも無いような代物であった。
どんな味なのか気になった彼女は早速ジャムをつけて1つ食べてみたが……

「〜〜〜〜〜〜!!」

この世の物とは思えないあんまりな味に声にならない叫びをあげることとなった。

「〜〜〜〜〜〜!!」

お前に、レインボー。

▽ ▼ ▽ ▼

「ひ、酷い目にあったのかしら……」

しばらく悶絶したところでようやく喋れるくらいに回復した。
現在は砂浜を出て陸地に移動中である。

「誰なのかしら、あんな物を作ったのは……」

先程食したあのおぞましいパンとジャムのことを思い出す。
今まで一度も口にしたことが無いような酷い味のする代物であった。
あれを作った人は何を考えて作ったのだろうか?
まぁ、これは食べられるものではないと思い砂浜に捨ててきたのでもう見ることも食べることも無いだろう。

それよりも、名簿を確認したところ自分を含めたドールが全員集まっていたことが気になる。
これはアリスゲームに何か関係があることなのだろうか?
彼女は名簿を見た時に人気の無い所で待機して参加者が減るのを待っているという作戦を立てた。
アリスゲームに関係があることなら真紅達が弱った時に叩けばいい……そう判断したのだ。

「ふふ……我ながら恐ろしい作戦なのかしら。このローゼンメイデン一の頭脳派、金糸雀が楽してずるしていただきかしら!」

彼女がそう口癖を言って意気込むと、背後に何かが落ちる音がした。
背後といえば先程から誰かに後をつけられているような気がする。
まあ気がするだけなので多分気のせいだろ。
何の音か確かめるため振り向いて音の発信源を確かめようとすると―――


―――突然爆発が起きて原型すら残さずに彼女はこの世から消滅した。



【金糸雀@ローゼンメイデン 死亡】
【残り55人】




▽ ▼ ▽ ▼ ▽ ▼



一人の少女が、自転車を漕いで陸地を移動していた。
この自転車は彼女の支給品の1つである。他には先程1つ使用した手榴弾と何故か楽器のベースが支給されていた。
手榴弾以外の武器が無いので他の武器が必要だ。
そのためにはどこかから調達する必要がある。
ひとまず一番近場で武器がありそうな住宅街で武器を調達するつもりである。
自転車を漕ぎながら、彼女は思考する。


さっき手榴弾を投げた相手……あれはどう見ても人形であった。
あの人形の後をしばらくつけていたが、最初は奇妙な仕掛けかなにかだと思った。喋る人形なんているわけないし。
しかし、あの人形は明らかに明確な意思を持っていた。そうでなければ作戦が云々なんて言葉は出てこない。
それに自分達と同じようにデイパックを持っていた。
遠目からだったのでよく確認はしていないが、首輪もついていたように見えた。
それにあの人形……確か金糸雀と言ったか。ギリギリ聞こえた独り言で自分の名前を言っていた。
名簿に載っていた名前だ。とするとあの人形は間違いなく参加者であったのだろう。
もしかしたら他にもあの人形のような明らかに人では無い参加者がいるのかもしれない。

彼女はそこまで考えたところで気付いた。
いつの間にか自転車を漕ぐ足が止まっていることに。



―――殺した。
相手は人形だったとはいえ、何の罪も無い者をこの手で……
この手で、自分が、殺した。

何故?
どうして?
なんで?
何のために?
こんなことをした?
そんなこと、決まっている。

―――ハルのため。

自分がこの世で、一番好きな兄のため。
その兄を生き残らせるため。
その兄が無事に帰れるように。
そのために、この島にいるやつはみな殺す。
ハルさえ生きて帰せば、それで良い。
他のことなんて、どうでもいい。


ねえ?私の大好きな

「ハル―――――」


 【D-1/陸地/日中】

 【春日野穹@ヨスガノソラ】
 [状態]:健康
 [服装]:私服
 [装備]:ファナたん号@俺の妹がこんなに可愛いわけがない
 [道具]:手榴弾(4/5)@めだかボックス、エリザベス@けいおん!
 [方針・思考]
  基本:ハルを生き残らせるために皆殺す
  1:ハル―――――
  2:ハルを探す
  3:手榴弾以外の武器が欲しいので住宅街に向かう
 [備考]
  ※ 参戦時期は穹編で悠と体を重ねてからです
  ※ 手榴弾@めだかボックスは残り4つです
  ※ 人形などの人外の参加者が何名かいると思っています
  ※ D-1の砂浜にハイパーレインボーパンの詰め合わせ&謎ジャム@CLANNADが放置されています
  ※ 金糸雀のデイパックやローザミスティカがどうなったかは次の書き手に任せます


▽ ▼ ▽ ▼ ▽ ▼


砂浜を一人の少女が走っていた。
彼女の名は張飛、真名を鈴々という。
あの惨劇の後、彼女は気付いたらこの砂浜にいた。

「あいつは悪い奴なのだ!こんな酷いことをするなんて許せないのだ!」

現状を理解すると、根が単純な彼女は『殺し合いなんて馬鹿なことをやらせる奴は悪い奴に違いない』とスカリエッティを悪人だと判断して憤っていた。

もちろん殺し合いなんてするつもりは無い。
このわけのわからない殺し合いを止めてスカリエッティをこらしめるつもりだ。
幸いあの場には自分と姉妹の契りを結んだ愛紗がいた。
愛紗は強いから心配は無いと思うが一向も早く合流したい。
そうと決まれば彼女の行動は早かった。

「こうしちゃいられないのだ!」

彼女は愛紗を探すため一目散に駆け出した。
砂浜だろうとお構い無しに全速力であった。
すると、途中でこちらに向かって走ってくる茶色の生き物が見えた。

「ぷひぷひ〜」

それは小柄で丸い猪であった。
金糸雀のデイパックから逃げてきたウリボウのボタンである。

「……か、可愛いのだ」
「ぷひ〜ぷひ〜」

ボタンが鈴々に体を寄せてきた。どうやら彼女はボタンに気に入られたようだ。

「……鈴々と一緒にいたいのか?」
「ぷひっ!ぷひっ!」
「わかったのだ!じゃあ鈴々と一緒にいるのだ!」

すっかりボタンのことを気に入った彼女は、ボタンを頭に乗せて戯れていた。

すると、突然爆発音が聞こえてきた。

「な、なんなのだ今の音は!」
「ぷひっ!」
「何かが爆発するような音だったのだ……もしかしたら愛紗かもしれないし、行ってみるのだ!」

爆発音の原因を確かめにいくため、ボタンを頭に乗せたまま彼女は再び走り出した。


 【E-1/砂浜/日中】

 【張飛@真・恋姫†無双】
 [状態]:健康
 [服装]:私服
 [装備]:ボタン@CLANNAD
 [道具]:支給品一式、不明支給品1〜3(未確認)
 [方針・思考]
  基本:殺し合いを止めてスカリエッティを懲らしめる
  1:あの爆発はなんなのだ?
  2:愛紗と合流したい
  3:今の爆発が起きた場所に行く
 [備考]
  ※ 参戦時期は次の書き手に任せます
  ※ 名簿を確認していません。関羽@真・恋姫†無双が会場にいることは気付いています



【ファナたん号@俺の妹がこんなに可愛いわけがない】
三浦絃之介が所持している痛自転車。キャラがプリントされていること以外は普通の自転車となんら変わりない。


【ハイパーレインボーパンの詰め合わせ&謎ジャム@CLANNAD】
古河早苗の作った虹色に輝くパンの詰め合わせと、雪国に住んでいると思われる早苗の友人から貰ったという究極のジャムのセット。その破壊力は絶大。


【エリザベス@けいおん!】
秋山澪の使用するレフティベース。エリザベスとは澪自身が命名した名前である。


【ボタン@CLANNAD】
藤林杏が飼っているウリボウ。ある程度の知能があり人語を理解することが出来る。
いくつかの芸を仕込まれており、特定のキーワードを言えばその通りの状態になる。



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