三原日記 第二報
またこんにちは、三原梢です。前回ゴンザレスという怖い人に出会った私ですが、誤解だったみたいです。
言葉はちゃんと通じるし、背中のネコがとってもキュート。やり取りも見てて飽きません。
渋谷の女王になったとか、スケートの女王になったとか、嘘でも面白い話をしてくれます。
二時間くらい歩いたところで、海のすぐ近くまでやってきました。いい天気でいい波です。
せっかくなら銃じゃなくてサーフボードが欲しかったなあ。などという考えも浮かんできます。
「…ム、誰かいるゾ」
海を気をとられている私にララが話しかけてきます。進行方向を眺めると、
確かにウチの制服を着た誰かが……もしかして冴子?…ってあれ結城さんじゃん!倒れてるけど大丈夫?
「オイ、しっかりシロ!オイ!」
ララとあわててかけよって声をかけます。やっぱり結城さんだ。もしかして…と思ったけれど、大丈夫。
ちゃんと息はしています。こんなところで倒れて、どうしたんだろう?ああ、揺すっちゃだめでしょララ。
とりあえずこんな太陽の照りつける場所はやめて、涼しそうなところに移動しないと。
ララのなんとパワフルなこと。両手で簡単に抱きかかえて運んでいます。
背中のネコちゃんも、心配そうに覗き込んでいました。
やがて、結城さんは目を覚ましました。とろんとした瞳と眼鏡の相乗効果がとてもかわいらしく、
男の子の一人や二人は落とせるかも。けれど、意識がはっきりしてきたとたん取り乱して…
どんな目にあったんだろう。なだめるのに一苦労。「オチツケ!」と叫ぶララが力強くて頼もしい。
「三原さん、ララさん……ありがとう…」
「いいっていいって。…それより、どうしたの?何があったの?」
「ここにはだれもイナイ。安心して話セ!イチ・ジョーのトモダチ!」
結城さんによると、2-Dの大きな体をした怖い人(ララがてんのーじカ?といってたのでそうだろうけど)
がこの先で死んでるんだって。それで驚いて、ここまで海岸沿いに走ってきたんだとか。
でも足がもう限界で(小さい頃の交通事故で、元々強くないらしい)そのまま倒れてばたんきゅー。
そして何と何と!その天王寺君を殺したのは、播磨君らしいのです!なんてこと!
「ニャー!」
突然ネコちゃんが叫びだしました。どうしたんだろう?リュックの中でジタバタと暴れてます。
「え?え?なんでネコがいるの?」
「どうしタ、ベントウ!安心しロ、ハリー・マッケンジーもハリマケンジも怖くないゾ!」
「ニャー!」
「ベ、ベントウって……ララさん、この猫ちゃん食べるの?」
ハリー君に続いて播磨君まで殺し合いをやってるらしいです。ああもう最悪。
名前が似てると行動も似るのかしら?やっぱり銃は手放せそうにないみたい。
南に向かうと播磨君に出会っちゃうかもしれないから、戻ったほうがいいのかな?
でも北には誰もいないのは、これまで歩いてきた自分がよく知ってる。安全といえば安全だけど。
結城さんは少なくとも南には行きたくないみたい。そりゃそうだ。
で、ララは来た道を戻りたくないとか。どないせいっちゅうねん。
ネコちゃんに聞いてみよう。北?『……』南?『ニャー!』言葉、もしかしてわかってる?
しょうがない。もう大分太陽が落ちてきてるし、夜になっちゃう前に移動しよう。
西にはお寺があるみたいだし、そこなら二人とも賛成してくれた。
結城さんがちょっとふらついたので、ララがお姫様ダッコで持ち上げている。かっこいー
ネコちゃんはリュックの中から顔を出し、ずっと南のほうを見ていた。
何がそんなに気になるんだろう。動物的(『的』?)カンって奴?…ダメダメ、怖い人がいるんだから。
それとも……南のほうにご主人様がいたりして?なんてね。ああ冴子に今鳥君、どこにいるのかな…
【午後:16〜18時】
【三原梢】
【現在位置:F-09】
[状態]:健康
[道具]:支給品一式 ベレッタM92(残弾16発)
[行動方針] :無学寺へ移動。冴子、今鳥を探す
[備考] :ハリー、播磨を警戒。伊織がちょっと気になる
【ララ・ゴンザレス】
【現在位置:F-09】
[状態]:健康
[道具]:支給品一式 伊織(リュックから顔だけ出してます)
[行動方針]:無学寺へ移動。一条を探す
[備考]:ハリー、播磨を警戒
【結城つむぎ】
【現在位置:F-09】
[状態]:やや落ち着き、体力消耗大。ララにお姫様ダッコ
[道具]:支給品一式 アイテム不明
[行動方針] :無学寺へ移動
[備考]:南(G-09)には行きたくない。ハリー、播磨を警戒
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