双褐色






こんにちは、三原梢です。今回私達は何か知らないけどどっかの島で絃子先生達に殺し合いをしろって言われました。
そんなこんなでゲームが始まってからというもの、みんな散り散りバラバラ。島は意外と広いです。
ちなみに私、こう見えて拳銃を支給されました。でも結構重いし、正直使いたくないんでスカートに挟んでます。
で、今私は冴子とか今鳥君を探してトンネルに入ってたんですが…トンネルの向こうは、不思議の外人でした。
「げっ、あいつ2-Dの…!」
やばっ、思わず声に出しちゃった。げっ、こっち見てるよあの人…絶対気付かれたよあれは!
「おい、オマエ!イチ・ジョーはドコだ!?」
うわー…完璧に絡まれちゃった。しかもよりによって一条さん?知る訳ないでしょうが私が!
「あ、ごめんね、私向こうから来たんだけど…一条さんは見なかったな」
よ、よーし!いくら相手が野蛮な奴でも我ながらナイスな応対!
大体あの人…ララ・ゴンザレスだっけ?名前からしてゴツイ!ゴンザレスって何か強そうだし。
しかもあの人、うちのクラスに乱入してきて暴れてる記憶しかないんだけど…あ、あとは体育祭で暴れてたっけ。
いや、ほんとに暴れてる所しか思い出せない。今鳥君殴ったり、今鳥君にフォーク刺したり、今鳥君の頭掴んで
投げたり…
うん、それじゃあ私はこのまま退散しよう。こんな人だともしゲームに乗ってたら洒落に…
いや待てよ。こんなヤバイ人がこんなバイオレンスなゲームに招待されたらどうするの?しかもご丁寧にゲスト待遇だったし…
絃子(三原妄想)「わはははは、行け、殺人マシーンララよ!」
ララ(三原妄想)「うおー!イチ・ジョー!」
やばい。これもう今すぐでも走って逃げた方がいいんじゃないの?何かあの人さっきから考え込んだままだし…
「あ、あの、私友達と遊ぶ約束あるから、もう帰るね?」
嘘臭っ!…いや、理由なんて何でもいいんだ。大事なのは今この場から逃げる事。私はリレーの代表にもなったんだし、死ぬ気で走ればきっと…
「こら、ベントウ!勝手に出てきちゃダメだろう!?」
は?弁当?ひょっとしてそれ私?


と思ったら、あの人突然リュックを地面に降ろして口を閉め始めた。中にあるのは…猫?額に十字の傷があるけど…
「ニャー!」
「なんダ?ベントウが名前だと嫌なのか!?じゃあ、バンゴハンはどうダ!?」
「ニャー!」
「嫌なのか!?じゃあ、ヒジョウショクはどうダ!?」
「ニャー!」
「嫌なのか!?じゃあ、やっぱりベントウだ!」
「ニャー!」
…あの人趣味は一人漫才?猫は小道具じゃなくて本物っぽいけど…
けどまあ、ひょっとしてこの人悪い人じゃないんじゃないかと思えてきた。ってか猫と格闘してるなんてかわいすぎ!
「あ、あのさあ。完全にリュックの中に閉じ込めるときついだろうし、頭だけでも出してあげたら…どうかな?」
「ン?なんだオマエ、苦しかったのか?…ごめんな」
おお、リュックから黒猫が頭だけ出してる…!何気にリュックを背負えば前後に死角なしじゃん!冬木君、写真撮ってよ!
「あの、あなたは向こうの方から来たんだよね?冴子…音篠さんとか、今鳥君見なかった?」
「イマドリ?知らん!私はまだ誰にも会ってないゾ!」
あ、ちょっと不機嫌そう。やっぱり今鳥君の事嫌いなのかな…でも、別に悪い人じゃなさそうだし…
「あのさ、私が来た方にも誰もいなかったんだ。よかったら、二人でまだ行ってない方に行かない?」
地図を広げて説得説得、と。えー、今のE-08から道沿いに南下しようって魂胆です。
普段ならちょっと無理かもしれないけど、こんなゲームじゃあ強い人とは組んどかないと恐いし…
「よし、早速行くゾ!…待て、お前の名前は何だ?」
「あ、私?三原梢。梢でいいよ」
「よし!コズエ、ベントウ、行くぞ!」
うーん、まさかこんな二人組み+一匹が出来るなんて夢にも思わなかったな…


「ああ、そうだ…」
「何?ララ…さん」
「ララでいいゾ。…ハリー・マッケンジーを知ってるか?」
ああ、知ってる知ってる。割とイケてるよね、あの人。名前聞いた時は播磨くんそっくりだったから爆笑しちゃったけど。
「…アイツには気を付けた方がいい。何だか嫌な感じがした…」
なるほど、ララが出発する時最後まで一緒にいたのがハリー君で、その時の彼の顔は完全に殺る気モードでした、と。恐っ!
…やっぱ、拳銃持って歩こうかな…

【午後:14〜15時】

【三原梢】
【現在位置:E-08】
[状態]:健康 
[道具]:支給品一式 ベレッタM92(残弾16発)
[行動方針] :冴子、今鳥を探す
[備考] :ハリーを警戒

【ララ・ゴンザレス】
【現在位置:E-08】
[状態]:健康 
[道具]:支給品一式 伊織(リュックから顔だけ出してます)
[行動方針] :一条を探す
[備考] :ハリーを警戒



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