無題






「何してんだあの人……?」
レーダーをたどり、地図を照合した上のマーダーは、「相手から見無くて自分からは見える岩の影」
からPを眺めていた。
結構に絶叫してるため考えてることはよく分かるが……
「錯乱とはちょっと違うかなぁ?」
まぁ、接触するしかないか。しかし、リアルでムスカと呼ばれている俺がこんな柄にも合わないことをする
羽目になるなんて……
もうちょっと(中学生くらい)若けりゃ普通にかわいいしストライクゾーンだったのだが……女子大生くらいか。
「待て!自殺なんてよくない!こんなことで命を棒に振るうなんてことしないでくれ!!」
直接近づいて声をかけると錯乱からあのツメで攻撃される恐れがあることから距離を取った位置から
声をかける。
「な…なにいったいッ!?誰!?」
あえて近づかず、説得を続ける。
「俺はスパロワからの参加者で、ムスカと言う。このロワからの脱出を試みているものだ」
「ム、ムスカ?脱出たって……?どうするの?」
「ここから全て俺の推論だが、聞いて欲しい。おそらくあの主催者の口ぶりなら、ここに集められた人間は
全員さまざまなロワの関係者だ。アンタはどうだ?違うか?」
「……!そう、そうよ。あたしはジャンプロワの書き手。」
「そして奴もあの七色光線を使った。奴も何らかの関係者だ。ここから分かることがある。」
いったんここで言葉を区切る。そして重々しく勿体つけて話し出した。
「まず、相手もロワの裏技絡め手正攻法をよく知っていると言うこと。当然だよな、架空世界の文の中だけ
とはいえ、たくさんの書き手が知恵を絞って案を出しあってたんだからな。
さらにここから2つの可能性が見える」
「二つ?」
向こうの女性もいつのまにか落ち着き、こちらの話に食いついている。これならさらにいけるだろう。
「向こうが知識を総動員し、あらゆる脱出の可能性をつぶしている可能性と……
ゲームの盛り上げのため、あえて穴を作っている場合だ。これもある意味当然だよな、色々な人間の
色々な動きや感情を首輪などで盗聴し楽しむのが主催者の楽しみ方だ。

それをあえて可能性のひとつをつぶす意味が無い、というよりロワのおもむきを知るものなら
これに穴をあけておき、脱出したと思わせて無駄で絶望させるとか遊び方は無限大だ。」
「そっか…どうなるか分からないけど、どうにかなるかもしれないってこと?」
「紙のように可能性が薄いのは架空世界と同じだが……
まだ恣意的な穴が存在するかもしれないだけましだ。必然引くための紙の薄さともいえるものだからな。
だから、ここで死んじゃ駄目だ。あきらめて死んだら終わりだが、あがく限りまだ可能性があるかもしれない」
「なら、これからどうするの?」
よし完全に食い付いた。上のマーダーが心の奥でほくそえむ。
「仲間を集めて、対策を練る。そのために、いっしょに行動してくれないか?」
「え……?は、はい、喜んで!」
こうして、2人は行動をともにすることとなり、情報を交換し合った。

「なるほど…ジャンプ出身でPというのか。で、武器が…ベアクロー?」
「ちょ、これのどこがベアクロ―なんですか!?どう見たってドラクエの鉄のツメでしょ!?」
「あ、ゴメン、よく分からないからその辺勘弁してくれ。で、そのツメは使いこなせるのか?」
「わわ、振ったら腕まで流され~」
「あぶねぇ!クールダウンだクールダウン!」
突っ込みと絶叫を繰り返してはいたが。結局、
「どうにか俺なら振り回せるかな?…使いこなす自身は無いけど。」
鉄のツメはムスカがもち、レーダーもムスカが持つことになった。本来ならここでPを殺害してもよかったが…
(弱い女性と行動をともにすることは、さも俺に危険はないように見える。それに、器量は悪くないんだ。
消すにしたって一発犯ってからでもいいだろう。)
内部でドス黒いオーラを発しながら、ムスカはやさしくPに話し掛ける。
「さぁ行こう!脱出の仲間探しに!」

【一日目/2:30/A1】
【P@ジャンプ】
【状態】健康
【荷物】荷物一式、
【思考】ややポジティブ

【上のマーダー(ムスカ)/A1/一日目2:30】
【荷物】レーダー 、荷物一式、鉄の爪@DQ
【状態】健康
【思考】1:クズと合流、利用



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