頭脳で勝負だ!
「そんな無茶な!」
ディグダグに渡された紙の束を一通り読んでエルナーは叫んでいた。
「まぁ、割と無茶だわなー」
ディグダグが笑う。だが、目は真剣そのものだ。
「だからいいのさ。まともにやって勝てるわけないんだから、奇襲しかねーじゃん」
「・・・でも・・・」
「俺は銃の撃ち方も知らない。剣の扱い方も知らない。
生き残りたかったら頭を使うしかなかった。そうやって生きてきた。
だから、俺は自分の頭脳を信じる。この作戦で絶対に勝つ」
「・・・」
「マジになりすぎだな。ちょっとお使い頼むよ。二人の気が変わってないか確認してくれ」
「・・・わかりました。もし失敗したら、この先ずっとあなたを恨みますよ?」
「もし成功したら、この先ずっと俺に感謝しろよ?」
ディグダグの言葉に頷くとエルナーは飛び立った。
「さてと・・・おさらい、おさらい」
ディグダグは自分の書いた計画書を再読し始めた。
【「ディグタグ」 ディグダグ 生存(手配中)】
賽は投げられた
「ここまでだ」
「!」
ボンバーマンの言葉に、ユナは「来るべきものが来た」と直感した。
ボンバーマンから紙の束を見せられた時は驚いた。
そこにはとてつもない作戦が書かれていたからだ。
よく言えば大胆。悪く言えば無茶。そんな作戦だった。
だが、そんな計画書がユナを安心させたのは、所々に注釈があったからだ。
注釈には、各ステップが何を意味するのか詳細に書かれていたのである。
口頭ではなく紙で渡されたのは「盗聴されてるだろうから」ということだった。
ただ、誰が考えたものなのか教えてくれなかったことだけが不安だった。
「俺が面倒を見るのはここまでだ。次に会ったら容赦しない。お前でもな」
「・・・ありがとう。ここまで一緒にいてくれて」
ユナは精一杯の芝居をした。
これでもアイドルだ。芝居は苦手ではなかった。
実はこのやりとりすらも作戦である。
計画書の注釈によると、組んでると思わせないようにするための
カモフラージュということらしい。
この後は合図があるまで単独行動しなければならない。
ここから先はしばらく誰も助けてくれない。覚悟を決めるしかないのだ。
踏み出した一歩が妙に重かった。
【「銀河お嬢様伝説ユナ」ユナ エルナー所持 生存、「ボンバーマン」 ボンバーマン 生存 】
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