定時放送 -ソニックの場合-






ゲーム開始以来、ひたすら走っていたソニック。
さすがに疲れが出たため、少し休憩していた。
いくらか酷い目にもあったが、概ね順調と言っていいだろう。
白い服の若者に投げられた時に身体を捻られ、その痛みが残っていたが他には怪我もない。

「後はあのヒゲ野郎を追い詰めるだけか・・・」

自分が一番になるのを邪魔した男、マリオを探し出し、この手で殺す。
そして最後まで生き残り、もう一度ゲーム界で名を上げる。
それがソニックの目標だった。

『え〜・・・現在の脱落者は・・・』

島中に設置されたスピーカーから放送が流れてきていた。
間抜けどもめ。俺はそうはならないぜ。ソニックはそう思いながら聞いていた。

『マリオ君』

それまで聞き流していたソニックの表情が変わった。

「・・・奴が・・・死んだだと?」

バカな。そんなあっけない男だったのか?
自分が追ってきた男はそんなつまらない男だったのか?
自分の手で討たなければ意味がないと思っていたソニックにはあまりにショックな出来事だった。
それでも、一番憎い相手が消えたのだ。喜ぶべきだ。そう、これは喜ぶべきことなのだ。

「・・・クソッ・・・なのに・・・なのに、何だこの気分は!?」

ソニックの苛立ちはしばらく続きそうだった。

【「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」 ソニック 生存】



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