優子の憂鬱






―――――――終わったのかしら?

灯台に身を潜めていた麻生優子は静かになったようなので、外を見下ろしてみた。
暗くてよくわからないが、少なくとも人の気配はしない。
先程まで何人かの言い争うような声が聞こえていたので、
複数の参加者が戦っていたことは間違いないだろう。

「何故、こんなことに・・・」

悲しそうに呟く。
元々、争いごとは好きではない。
元の世界でも戦士として戦ってはいたが、簡単に割り切れたわけじゃない。
このゲームの中でも、割り切るには時間がかかりそうだ。
暗くてまったくわからなかったので灯台の外に出てみる。
一番見たくない光景が広がっていることを覚悟したが、
意外なことに、死体の一つも見当たらなかった。
みんな、逃げたのだろうか?
疑問に思った優子は、付近の様子を調べることにした。

【「夢幻戦士ヴァリス」 麻生優子 生存】



前話   目次   次話