問いかけ






焚き火を囲んでいるユナ(とエルナー)とボンバーマン。
ディグダグの死から一言も話そうとしないボンバーマンとは対照的に
ユナはこれまでに起きたことを休むことなく話し続けていた。
ゲームが始まってからずっと寂しかったこと。
突然の襲撃者。
力を発揮できないライトスーツ。
姿すら確認できなかったが、その襲撃から自分を助けてくれた人。
一通り、ユナが話し終わったところでようやくボンバーマンが口を開いた。

「・・・それで、これからどうしたいんだ?」

じっとユナの目を見るボンバーマン。
ロボットである彼の目に、人間しか陥らないはずの暗い光が宿っているように見える。

「・・・あたしは」

その時だった。

『あ〜、皆さん、元気に殺しあってますか〜?お待ちかね、脱落者の発表で〜す』

たけしの定時放送が聞こえてきた。
先程の取り乱しぶりはすっかり収まっているようだ。

「答えろ。俺は既に一人殺している。俺の他にもそういう奴がいる。この放送を聞けばわかるな?
そんな俺を、他の敵を前に、おまえはどうする?」

そんなユナをボンバーマンはさらに問い詰めるのだった。


ユナの選択



「・・・あれは、仕方がなかったじゃないですか」

ユナの代わりにエルナーが答えた。

「お前じゃない。俺はユナに訊いている」

ボンバーマンは冷たく言い放った。

「・・・わかんないよ。何で、こんなことしなきゃいけないの?嫌だよ、こんなの・・・」
「嫌なら、どうする?そうやって膝を抱えて泣いてるつもりか?」
「何でそんな冷たいこと言うの?」
「お前が心配だからだ」

ユナは顔を上げた。

「お前次第だ。お前次第でどうにでもしてやる」
「・・・あたし・・・殺し合いなんかしたくないよ・・・」
「じゃあ、俺と来い」
「・・・」
「お前だけでも、このゲームから帰してやる」
「そんなの、嫌だよ」
「・・・」
「・・・」
「わかったよ、俺も一緒に帰る。それでいいんだろ?」
「・・・うん!」
「決まりだ。そろそろ行くか。ちょっと休みすぎた」


再出発



焚き火を消し、出発の準備をする一行。

「焚き火なんてしてよかったんですかね?こっちの位置バレません?」
「真夜中なんだ、わかりゃしないさ」

ボンバーマンは少し余裕を取り戻しているように見えた。
それぞれ、自分のデイパックを背負う。

「で、どっちに行くの?」
「さぁな。女の勘に任せる・・・が少し待ってくれ」

ボンバーマンが向った先は、ディグダグを葬った穴だった。
その穴に対し、拝むような姿勢をとっている。
短い間でも、相棒だった男への最後の挨拶なのか。

「さぁ、行こう」

振り返ったボンバーマンは先頭に立って歩き出した。後にユナが続く。
だが、エルナーは違った。逆に、穴の中に飛び込んだのだ。
ボンバーマンがその穴に、丸めた紙を落しているのを見ていたからだ。

そんなエルナーの動きに、ボンバーマンは気が付いていた。

【「銀河お嬢様伝説ユナ」ユナ エルナー所持 生存、「ボンバーマン」 ボンバーマン 生存 】



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