One Little Thing






「次ー。『ドラゴンクエスト3』勇者ロト君」

武器支給はそろそろ終わろうとしていた。
厳しい目で参加者達を監視してきた兵士達も
心なしか緊張感が薄れてきたようだ。
『あること』に気が付いた1名を除いては。

「・・・ん?どうした?」

たけしの側に1人の兵士が駆け寄った。
緊張と困惑の両方を浮かべ耳打ちする兵士。。

「・・・実は・・・の・・・が・・・」
「何?」

兵士の耳打ちを聞いたたけしの表情が一瞬変わり、
すぐに元に戻った。

「まぁ、いいんじゃないか?片付けてなかったのはこっちだからなぁ」
「よろしいのですか?」

訊き返す兵士に、たけしはニヤリと笑って答えた。

「誰の仕業かもわからんのだぞ?別に全員吹っ飛ばしてもいいがな」

顔色の変わる残りの参加者。

「ハハハ、冗談だ冗談。先生がそんなことするわけないだろう。じゃ、次・・・」

何事もなかったかのように武器支給は再開された。



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