「旧友の天秤」






「でなァ、タケちゃん・・・
 コレいったい、どないしはりまんねん」

分校の奥に隠されたモニタルームにて、痩躯の男がわめくように聞いた

「バカだなおまえ、そりゃバランス取りに使うに決まってるだろ!
 ・・・こいつめっ!こいつめっ!」

思うようにGAMEが進まない焦りか、たけしは愛用のピコピコハンマーで
目の前の出っ歯の男を乱打した

もっとも、たけしには怒りも殺気もなく、旧友とじゃれあっているに過ぎない

「へへへ、そーやろうと思って、ワテもちこっと使わせてもろたんや
ワテ、苦労人好っきゃさかい・・・な、タケちゃん」

目の前で口を挟む隙もないくらいに喧しくまくし立てる“さんま”を無視するように
遠くへ視線をやりつつ、独り言のようにつぶやいた。

「一時の夢を見させてやるのもいいだろう・・・」

その奥に置かれた巨大な装置には
『バランス取りの為』と称されて各参加者から没収された
“能力値”が蓄えられていた

【「さんまの名探偵」さんま 登場・未参戦? 】


「不測の力」



あ〜ん、もうっ いったいなんだっていうのよぉ
えーえー、そりゃ仕事を選んでられないって状況は、十二分に解ってますって・・・

あ、きっと「ドッキり」とかゆー企画ものだなぁ?
いーでしょ、ノッてあげましょ
あたしだって、いちおーグラビアアイドルまがいの仕事だってこなしてるんだし
このテの企画は登竜門だってくらい解ってるわよっ
だいたいこの企画だって読めてるわよ、
大方仕掛け人のあーちゃんが例のコスチュームで襲い掛かってくるってトコじゃないの?
まかせてよ、曲りなりにもあたしも舞台女優の端くれ…絵になるリアクションで番組盛り上げてあげよーじゃない
TVデビューに向けて、モモ、一世一代の演技といきますかぁ…

 − 何もないまま、日が暮れかかってきた・・・ − 

でもね、いくらなんでもこの状況はひどいんじゃないの?
ひょっとして、このまま放っておかれるわけ?
いくらなんでも、それはないよね
そりゃ、舞台の上では気丈な台詞もはくけど…あれは演技よ
実際の私は、何の力もない 舞台女優(のタマゴ?)よ…
なのな、こんな所に一人きりで…
あぁ、せめて本当に変身でもできたなら・・・

…こう、くるくるくるっと…
…………………?……?!…………!!!……………うわぁぁぁ〜〜〜〜〜っ


【 「ワンダーモモ」モモ 変身 生存 】
※“あーちゃん”は、アマゾーナ役の同僚ということで…



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