神社にて






「・・・で、明日から首位攻防戦だから帰らないわけに行かないんですよ」
「はぁ」
「僕が一番を務めなきゃ始まらないんですよ、ウチのチームは」
「そうなんですか」
「えぇ、だから・・・っと、ん、こっちはこんなものですかね」
「あぁ、大分楽になりました」
「よかったね、ギル」

ここは古い神社。
カインの襲撃から逃れたギルとカイが辿り着いたところ、
赤いユニフォームに身を包んだぴのがいたのである。
始めは警戒した二人だったが、ギルの負傷に気付いたぴのが
手当てを申し出てくれたのだった。

「本当に助かりましたよ」
「いやぁ、僕もプロスポーツ選手なんで。テーピングの真似くらいは出来るんですよ」

ぴのは胸を張ってみせた。
しかし、すぐに表情が暗くなる。

「・・・で、僕はこれからどうしたらいいんでしょう?」

二人は何も言えなかった。自分達もどうしたらいいかわからないのだから。
ぴのの自己紹介によると、彼は『野球』という競技の選手であり
リーグトップの俊足選手らしい。
このゲームで生き残るための技術は何一つないらしい。

「とりあえず、帰る方法を探すしかないんじゃないですか?」
「探しに行くのはいいですけ、怖い人ばっかりじゃないですか、この島」
「・・・確かに・・・」

二人はあの竜騎士のことを思い出した。

「ギル、この人、助けてあげられないかしら?」

カイの言葉にギルは考え込んだ。殺し合いなどしたくないし、脱出したいのは自分達も同じだ。
それならば、一緒に行動した方がいいかもしれない。

「わかりました、ぴのさん。僕達と一緒に行きましょう。僕なら少しは怖い人の相手も出来ます」
「いいんですか?」
「その代わり、生きて帰れたらぴのさんの試合を見せてください」
「いくらでも招待しますよ!よろしくお願いします」

少しだけ、ぴのの表情が明るくなった。

【「ドルアーガの塔」ギル 生存(負傷)、「カイの冒険」カイ 生存
「ファミリースタジアム」 ぴの 生存】【残り41名】



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