ハンティング






クレーターの中心部。
その一番窪んでいる部分がゆっくりともりあがり始めた。
しばらくするとその中心部から丸いボールのようなものが飛び出し
光り輝きながら人の形をかたどる。
(一体何が起こった・・・?)
彼女、サムスは何が起こったのかわからなかった。

数刻前の出来事である・・・

少し離れた所で、人の争うような音が聞こえ
そこから足音が彼女の方に近づいてきた。
(獲物だ・・・!)
サムスは音もなく木の上に飛び乗り気配のする方向に照準を合わせる。

そこに現れたのは赤い帽子を被った少年だった・・・


見えざる力



―油断は死を招く・・・

今までの任務でもそうだったが、彼女がこの島に来て一番に思った事である。
(せめて苦しまないように一撃で仕留めてやろう・・・)
そして、彼女のサイコガンが火を噴いた!

しかし、そのビームはサムスの思う通りにはならなかった・・・

「!!?」
彼女は目の前の現象が信じられなかった。
少年の頭を撃ち抜くべく放たれたビームはその目前で四散した!
(何かの力場に守られているのか・・・?)
しかしその状況を確認する間もなく思いがけない反撃が来た。
見えない力が彼女を軽々と吹き飛ばす!
そして彼女もさきほどのロックマンのように受身も取れずに木に叩き付けられる!
「あうっ!!」
なんとか立ち上がった彼女の左手はスーツが破け赤い血が流れていた・・・


敗北



無差別に放たれる衝撃波を
痛みをこらえながらもボールになりころがりながらかわした。

しかし・・・・・・
不幸にも彼女がころがった先にその少年も走りこんでいた。


突然目の前に現れた丸い物体に怯えと恐怖感を表したネスは
肥大する力をボール一点に集中させる!!

そして・・・
避ける間もなくサムスは地面に叩き付けられていた・・・

一瞬ブラックアウトする意識・・・
意識が戻った時には最初の恐怖を思い出させるような
真っ暗な土の中だった・・・

彼女はまたも絶望を感じたが
幸いにもあまり硬くない地面だった為自力でも上がれそうだった。


手負いの虎



(一体何が起こった・・・?)
一連の出来事を思い出してみてもわからなかった・・・
しかし・・・これだけはわかっていた。
―二度も獲物を取り逃がした・・・―
そして左手は動きそうになかった。

彼女の心は屈辱感で一杯だった。

(赤い帽子の少年・・・かならず仕留める!!)

まるで行き先がわかっているかのようにネスとロックマンの進んだ方向へと
歩き始めた・・・
憎悪を胸に秘めながら・・・

少年と少年ロボットはそのことを知らない・・・

【「メトロイド」サムス(左手負傷)生存・追跡中 】



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