尋ね人
「おう、おっさん」
声のした方を見上げると、木の上に妙な生物がいた。
「おっさんとはワシのことか?」
「他に誰かいるか、ここに?」
「ふん。で、何用だ?」
「ヒゲの中年を探してる。どこに行ったか知らねぇか?」
「・・・ワシに喧嘩を売っているのか?」
アーサーは木の上にいる青い生物を睨み付けた。
全身を針のような毛で覆われた、目つきの鋭い生物だ。
「・・・何だ。よく見りゃそっちもヒゲの中年かよ」
「やかましい!好きで老けてる訳じゃないわい!」
「とりあえず質問に答えろ。チョビヒゲで中年太りしたおっさんだ」
「そんなヤツ知るか!降りて来い、この無礼者がー!」
「知らないか・・・しょうがねぇな」
その生物―――――ソニックはため息をついた。
「悪かったな・・・侘びと言っちゃ何だが、苦しめずに殺ってやらぁ」
音速の復讐鬼
「・・・何?」
アーサーが問い返した時、ソニックは既に跳んでいた。
空中で全身を丸め、回転しながらアーサーに突進する。
次の瞬間、その身を弾丸と化したソニックはアーサーの胸を貫いていた。
そのまま、振り返ることなくさらなる獲物を求めて走っていく。
「あのヒゲ野郎をブッ潰すチャンスなんてそうそうねぇからな・・・」
ソニックはあの赤い作業服の配管工のことを考えていた。
常にゲーム界のトップに立ち続けたあの中年のことを。
「アイツのせいで俺はゲーム界のトップに立ち損ねたんだ・・・
絶対に楽には死なせねぇからな・・・他の邪魔するやつらも同罪だ、
この際、徹底的に潰してもう一度ゲーム界で名乗りを上げてやる!
これは神が与えてくれた復讐のチャンスだ!」
ソニックは走り続ける。
毎度の事ながら
「・・・行ったようだな」
アーサーは立ち上がった。
ソニックが激突する瞬間、鎧を脱ぎ捨てて身を伏せていたのだ。
昔からの特技である。
悪魔たちの攻撃が当たりそうになったら鎧だけを残して逃げ、
勝ったと勘違いした悪魔に反撃する。
得意のパターンだったのだが、今回は敵に逃げられてしまった。
逃げたと言うより、気付かずに去ったというべきか。
「しかし、ワシはここでもパンツ一枚なのか・・・ックシュン!」
無事帰れたら鎧の下はもう少し服を着込んでおこうと思うアーサーだった。
パンツ一枚では、さすがに寒い。
【「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」ソニック生存、「魔界村」アーサー生存】
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