目指すべきもの・・・






追われている・・・
明らかに自分に対して向けられている殺気に
アリーナは辺りを見回した。
しかし、それがどこから向けられているものなのかわからない……
「クリフト、ブライ・・・私、どうすればいいの・・・」
彼女は今、激しい焦燥感に苛まされていた。
最強の格闘家を目指していたアリーナにとって、
先ほどの胴着の男・リュウとの出会いは、自らの指針となりうるものだった。
しかし、その男も銃弾の前には無力だった……
「ねぇ、私・・・どうしたらいいの・・・」
無気力に歩くアリーナの顔には
いつもの明るい笑顔はない・・・・・・


呼吸を読むんだ!



彼女に向けられた殺気はしだいに、近づきつつあった。
なるべく争いは避けたかったアリーナはできるだけ気配を殺して
木々のあいだをジグザグに歩いたりしていたのだが
その殺気の主はまっすぐにアリーナを捉えていた。
「撒けない・・・か・・・」
逃げる事を諦めた彼女は森を抜け、硬い地面の上で立ち止まった。
アリーナが立ち止まったのに気付かないのか、
そいつは気配を消すどころか森の中から勢いよく飛び出してきた!!

「キヒヒヒヒ!」

それは大きなハサミをもった不気味な男だった。
硫酸でも浴びたのだろうか?顔半分が焼け爛れている…

間合いを取りながら身構えたアリーナに対し、
シザーマンは大バサミを広げながら、アリーナ目掛けて突進してきた!

その一撃を大きく飛び上がりかわすと、呼吸を整えて構えを解いた。
(呼吸を読むんだ。呼吸を読み取れば隙が見える。)
あの男の声が頭の中で繰り返される・・・
アリーナが観念したと思ったのか、改めて突進をするシザーマン!

そして!!
それは一瞬だった・・・。


笑顔!



アリーナの飛び上がりながらのケリがシザーマンの顎に見事にヒットしていた。
「ギィシャァ!」
無様に吹き飛び、シザーマンは動かなくなった・・・

「私・・・今、呼吸を読んだ・・・?」
今までにない自分の動きに驚きを隠せなかった。
ディパックに入ったボウガンを見つめ、フッとため息を漏らす・・・
(どうやら、あなたに助けられたみたいね・・・)

シザーマンの持っていた大バサミを森の中に隠し、
さらにシザーマンのポケットに入っていたトランシーバーのようなものを
手にとると
その場を立ち去った・・・

「クリフト、ブライ!もっともっと強くなって、かならず帰るからね!!」
今、彼女の顔には少しだが笑顔がもどっていた・・・

【「ドラゴンクエスト4」アリーナ生存、鉄の爪・ボウガン・探知機(使い方がわからない)所持
「クロックタワー」シザーマン生存(気絶中)所持品なし】



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