In the dark






暗い。ここはどこだ?
全く覚えがない気もするし、何度も見てきたような気もする。
暗いことは暗いが、真っ暗ではない。
わずかに光があるようだ。
前だ。前に光が見える。
ここは一体どこなのだろう?自分は何をしているのだろう?
何かやらねばならかったはずだが?
任務は何だ?何の途中だ?そもそもここはどこだ?
思い出せない、思い出せない、思い出せない・・・。

「・・・!?」
「・・・!」

声だ。前の光の方から声が聞こえる。
誰だ?いや、誰でもいい。教えてくれ。ここはどこだ?

「・・・」

声が遠ざかっていく。
待ってくれ。お願いだ、待ってくれ。ああ、なぜ声が出せない?
光が消えていく?違う。光が消えているんじゃない。
何かが閉じていこうとしている。何だ?
閉じているのは・・・壁?壁そのものが閉じている!
行かなければ。このままでは閉じ込められる。行かなければ。
足が動かない?なぜだ?足が、壁の中に埋もれている?
足だけじゃない、腕が、身体が、埋もれていく!
誰か!誰か!誰か・・・


Awaking



「生命ノ安全ヲ確認。維持装置解除」プシューッ!

気が付くと、彼女は暗い穴の中に倒れていた。

「・・・今のは夢か・・・」

ここは洞窟ではないようだ。誰かが掘ったトンネルのようだ。
なぜこうなったのか、記憶を辿ってみる。

突然の睡眠ガス。
謎の島。
教師と名乗る男。
殺し合いという名のゲーム。
ヘルメットの男と縞のマントの男。
穴。
迫る・・・壁?

「・・・・・・っ!」

全てを思い出した。あれは夢じゃなかった。殺されかけたのだ。生き埋めという残酷な方法で。
スーツの生命維持装置がなかったら本当に死んでいた。彼女はその恐怖に震え上がった。
殺さなければ殺される。一瞬たりとも甘さを見せたら殺されてしまう!
かつて戦ったあの宇宙生物のように、徹底的に殺し尽くさねば!

「全て・・・殺す、殺す、殺す、殺す、殺す・・・!」

彼女――――サムスは暗いトンネルの中を歩き出した。


知らぬが仏



「相棒」
「何だい、ボンちゃん」

相変わらずトンネルを掘りながら移動中のディグダグとボンバーマンである。
もう「ボンちゃん」と呼ばれることには諦めのついたボンバーマンだった。

「さっきのボールは放っておいて良かったのか?」
「あの玉っころかー。何だかわかんないけど、地底は変なモンが多いからなぁ。
いちいち気にしてたらやってられないよー」
「そんなものなのか、穴掘り人ってのは」

ボンバーマンのいうボールは、正確には何だかわかっていなかった。
ただ、トンネルを掘っていたら突然出てきたのだ。
突っついても何の反応もないのでそのまま捨ててきたのである。

「それよりさー、眠くない?俺ちょっと眠たいんだよなー」
「俺はロボットだから眠くはならないな」
「何だよ、つまんねーの」
「ここで寝ればいい。寝てる間に爆破したりはしないさ」
「マジ頼むよ?寝てる間に死んじゃったなんて洒落にならないからさ」
「お前にはまだまだ世話になりそうだからな。きっちり見張っておいてやる」
「そっか、じゃ、よろしくー」

そういうとディグダグは寝袋を広げ始めた。
1人の狩人を目覚めさせていたなどとは、知る由もない。

【「メトロイド」 サムス・アラン 死亡→蘇生
「ディグダグ」 ディグダグ 生存、「ボンバーマン」 ボンバーマン 生存】
【残り42人】



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