武器支給






「……次、『風来のシレン』シレン君!」
名前を呼ばれたシレンは、床に置いた三度笠をかぶって立ち上がった。
さっきまで分校の教室内にひしめき合っていたキャラ達も
シレンが名前を呼ばれる頃には、およそ半分ほどにその数を減らしていた。

プログラム進行係の兵士から乱暴に投げ付けられたデイパックを、
シレンは軽く上下に揺すぶって中身を確かめた。
シレンの前に名前を呼ばれた参加者の中には、震える手でデイパックを取り落とし、
怯えながら出て行くキャラがいる一方で、無表情に荷物を受け取って出て行くキャラもいた。
平静を装っているだけなのか、それともキャラ同士の殺し合いなどは日常茶飯事の連中なのか。
そんな事を考えながら兵士をぼんやりと見つめていると、早く出ろというように肩を強く小突かれた。
旅の神クロンの追い風を心に祈りつつ、シレンは教室を後にした。

暗い廊下を通り抜けて校舎を後にすると、夜のグラウンドが目の前に広がっていた。
幸いにも月明かりのお蔭で、周囲の地形を確かめるのに不自由はしない。
シレンは校舎裏に回り込むと、兵士から渡されたデイパックの中身を改めた。
試験監督の説明によれば、デイパックの中身は三つ、食料、地図、装備品らしい。
地図には大まかな施設の場所や島の形が記されているものの、細かい地形までは分からない。
どうせいつもの事だ。シレンは気にしないことにした。
地図の下に入っていたのは、それで一日分の食料らしい、大きなパンだった。
パンよりおにぎりの方がいいんだがなあ、と愚痴をこぼしつつ、更にデイパックの底を探る。
シレンに支給されたデイパックに入っていた装備は――三枚の白紙の巻物だった。

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