無題






住宅街の中のとある一軒の家の台所に一人の少女が怯えながら体を丸めていた。
少女ージェニファー は出発後地図にあった住宅街に逃げ込むと
その中の一軒の玄関を無理やり開けて中に入るとずっと台所でうずくまっていたのだ。 

先程の放送で大量の参加者が死んでいる。そのことによってどこにでもいる普通の少女の精神は追い詰められていた。
そして・・・
ガラガラガラ
「誰かが入ってきた!!」
ジェニファーは玄関に鍵をかけ忘れたのだ。
足音はだんだん近づいてくる。ジェニファーは逃げようと思い慎重に移動したが・・・
ガタッ!!
「誰なの?そこにいるのは」少女の声が聞こえた。
見つかった!!
ジェニファーはこうなったら殺すしかないと考え、支給された武器のナイフを構えた。
しかし現れた少女は自分の姿を見つけると突然バックを落とし、泣き出したのだ。
「よかった。あなたなら大丈夫よね?」
少女のその言葉を聞いて「この少女は大丈夫だ」とジェニファーは感じた。
すると、同時に気が緩んだのかジェニファーも泣き始め、先程殺そうと考えたことを恥じた。
ジェニファーはその少女に抱きつくと、殺そうと思ったことを謝罪しようとした。
「ワタシ、あなたのことを殺そうと考えちゃったのよ」
「いいのよ。だって・・・」
ジェニファーは突然首輪の上の辺りがものすごく熱いと感じた。
そしてその感覚を最期にジェニファーの意識は闇の中へ消えた。 

「だって。ワタシもあなたのことを殺そうと思ったから。まあ実際やっちゃたけれど・・・」
少女ーヨヨーは笑いながらそうつぶやくと自分の支給武器であるカマを死体から抜いた。
そしてジェニファーのナイフと荷物を奪うとその場を去っていった。

ヨヨにとって泣くことは簡単なことだった。こうすれは人間はすぐに引っかかってくれる。
この泣き真似で多くの男を騙しまくったのだ。
普通の少女であったジェニファーにはヨヨのそれを見破るのは不可能であった。



【『クロックタワー』ジェニファー死亡】
【『バハムートラグーン』ヨヨ生存 持ち物カマ ナイフその他ライアンたちから奪ったもの】



前話   目次   次話