無題






同じ素手での勝負だった―ナイフも棍もブーメランもない―条件は同じ
妖術を操る敵の対処も分かっていた
隙を突き懐に飛び込んでしゃがみ、ぱんち
勝算は十分にあったはずだった

「こんなところで負けるわけには・・・!」

大気を揺らし襲い来る相手の攻撃をかわし飛び込む
・・・が、またしても撃ち落される
体力は限界に近い
息は上がり、心臓も破裂寸前だった
だが奴は、この闘いが始ってから一歩もその場から動いてはいなかった
冷静に、確実にこちらの動きを見切り、逃げ道を封じていた

(落ち着け、動きを見ろ隙は必ずあるはずだ)

奴が攻撃態勢に入る
空気が震える
草木を薙ぎ払い光弾が迫る

(待っていては駄目だ
それだけ奴に余裕を与えることになる
また迎撃される・・・それなら)

当たれば立ち上がることはできないだろう
死の恐怖が躊躇させる

「シルビア、俺に勇気を!!」

駆ける
肌が焼きつく
光弾が鼻先にまできたその瞬間、地を蹴った
半円を描き懐にはいる
後のことは考えない
ただ目の前の男を倒す

「くらえぇぇッ!!」

しゃがんで――


ガ ス ッ !

!!
ガード・・・した!?
そんな夢のような事が・・・

呆然とする俺にやつは言った

「俺より強い奴に会いに行く」

ゥワッハッハッハッハハハ、ゥワッハッハッハッハハハ・・・
癇に障る笑い声が当たりに響く
支給品は笑い袋だった・・・

【「スパルタンX」 トーマス K・O負け】
【「ストリートファイター」 リュウ なにぃリュウがいない】



前話   目次   次話