無題






ふと気付けば僕は何もない平野にいた。
あたりを見渡しても取り立てて変化のない風景ばかり。
「ここはどこなんだ…?」
何が起きたのか分からない。なんの前触れもなくここに立たされているなんて。
「誰かいませんか〜!?」
当たり前のことだろうけれど返事はない。僕はだんだん寂しくなってきた。
と、その時草むらからピンク色の固まりが飛び出してきた。
「!?き、君は…」 
言い終わる前にソイツはタイヤのような姿に変わり、僕に向かって突進してきた!
「うわっ!」 すんでの所でかわすことが出来たが、ヤツは方向をかえて追撃してくる。
コイツから身を守るためには…戦わなければ!
僕には武器など無い。だが一つだけ戦う手段がある−超能力だ。
猛スピードで突撃してくるヤツに向かって手をかざし、ESPを集中させる。
「さいこぼーる!!」
小さな、しかし凝縮されたESPの固まりがヤツに命中し、爆発を起こす。
…!そんな!アイツには傷一つすら付いていないなんて!
再びヤツはタイヤに姿を変え、唸りをあげて襲いかかってきた。
……逃げなければ!コイツには敵いそうもない!
「て、てれぽーと!」
敵から逃げ出す唯一の能力。この力を使った瞬間、周りの景色が歪んでいった。
僕は安堵した。このまま安全なところに隠れよう。
歪んだ景色がだんだん元に戻っていく。テレポート完了だ。
だが次の瞬間、安堵は消え、違和感が僕を襲った。
「…あれ、ここは…?」 
この風景には見覚えがある。
何もない平野。見渡しても取り立てて変化のない風景。
ここは…そうだ、最初に僕が立っていたところ、
つまり僕はほとんど動いていなかったんだ!
ということは…真後ろから聞こえてくる轟音に振り返るが、もう遅い。
僕の視界をタイヤが覆い尽くしていた。

【「星のカービィ」 カービィ(ホイール) 生存】
【「星をみるひと」 みなみ 死亡】



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