無題
私は全てを失った。
帰る場所も。守るべきものも。愛する者も。
信じられるものさえも。
私はどうしたらいい?親友を殺し、愛する者を目の前で失い・・・気がついたらこんな場所に一人、ポツンと立っていた。
身近にあったものといえば、今にも折れそうなボロボロの剣が一本だけだ。
ここは何処なんだ?ひょっとして、地獄というやつか?
ガサガサッ
・・・誰だ!?
「助けに来てくれたのね、有り難うデニム」
グサッ
ふと、我に帰ると私の脇腹に一本の短刀が突き刺さっていた。
まさか・・・この目の前にいる女性が?油断したとはいえ・・・この私が・・・
だが、目の前にいる女性の表情は絶望に満ちていた。
「手に入らないのならいっそ・・・ククク・・・ハハハ・・・」
彼女は乾いた笑いを上げ、そのまま何処かへ走り去って行った。
そして、私はその場に崩れ落ちた。
私はここで死ぬのか?
・・・ここで最期を迎えるのも悪くはないか。
ルクレチアの人間が私に対してそう接しようと・・・私は人間を嫌いになりたくない。
ウラヌスが言っていた、人を信じる心というものを・・・私は失いたくない。
私は、ここで死ぬべき運命だったのだ・・・そう信じよう。
願わくば・・・私を刺したあの女性にも幸が在らん事を・・・
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