無題






ドンキーコングは孤島に打ち上げられていた一隻の船に辿りついた。
「ふん、めぼしいものはないか…。しかし、ここに居ると思い出す。
あの男と戦った時の事を。」
そこは一つの廃墟だった。マストは折れ、甲板には穴があき、そして山のような樽があった。
まさに彼があの男―マリオ―と戦った場所を思わせた。
「しばらくここに立て篭もるか。どうせ支給された武器など俺には使えん。」
そう言うと彼は支給されていたナイフを投げ捨てた。彼には樽が最大の武器なのだ。
ナイフが着水した時、ドンキーはその音とは別の音を聞いた。
(足音…!)
森の方から近づいてくる。足音から察するにそれほど大きな者ではない。
彼は身構えた。近くにあった樽を持ち上げる。彼は赤い色を見た。
(まさか、あの男、マリオなのか!?)
体が沸き立つのを感じる。しかしすぐに、その期待は裏切られた。
森から出てきたのは一人の老人だった。白い髭をたっぷり蓄えており、その目はあくまで温和だ。
「爺さんか…。悪く思うなよ。」
彼はそう呟くと、老人に向かって樽を投げつけた。彼は黙祷を捧げるように目を閉じた。だが、
 パァーン!
樽の壊れる音がした。
「何!」
老人は持っていたハンマーで樽を破壊していた。ドンキーは目の前の光景が信じられなかった。
二つ目の樽を投げる。老人は再び破壊する。三つ目、四つ目、ドンキーは投げ続けたがことごとく破壊されていった。
老人はドンキーの目の前まで迫った。そしてこう言った。
「あなたに恨みがあるわけではないが、すまぬ。」
次の瞬間、ドンキーの頭蓋骨は破壊されていた。

【「ドンドコドン」 主人公 生存】
【「ドンキーコング」 ドンキーコング 死亡】



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