無題
落下してきた巨大な岩の前で、青年は緊張のために荒くなった呼吸を整えた。
背後からの攻撃を警戒して崖のそばを歩いていたが、崖の上から俺を狙っている奴がいる…!
石を使った術は得意技だが、あいにく彼はその術を攻撃に使うことはできないのだ。
しかし、その術のほかにも彼には秘策があった。崖の上だろうと、地面がつながってさえいえれば…
彼の武器は「マンダの壺」、恐るべき射程とスピードを誇り、何より地形に沿って
相手に向かって飛んでいく…何者かは崖の下から攻撃されることはないと思っているだろうが
それが裏目に出たのだ!
「くらえ!」
炎の玉が崖をのぼって行く。数秒後には炎の玉が得体の知れない敵を焼き払ってくれるだろう…
そう思った瞬間、彼は背中に何か軽いものが当たったような気がした。
そして、強烈な睡魔に襲われた。
遠のく意識の中で、彼は自分におきたことを把握しようとした。
…一体この攻撃は何だ?崖の上の奴の攻撃だろうか?それならば、なぜ俺の攻撃があたらなかったのだ?
何より、なぜ背中から攻撃があたるのだ?崖の上の奴以外は、この近くにはだれもいないはずだ…
眠気がどんどん強くなっていく。地面に倒れる直前、彼はそばに転がっている物を見た。
「…そ、そんな…?…なぜ…?」
それは、小さなきのこだった。
数秒後、彼の体の上に巨大な岩が落ちてきた。無論、即死だ。
壮絶な、だが、一瞬の苦痛もない、彼の最期だった。
【「フラッピー」フラッピー生存】
【「ソロモンの鍵」ダーナ死亡】
前話
目次
次話