無題






「まてーーー」
鬱蒼と茂った森の中で、背中から天使の羽を生やした少年が
後ろから短刀を絶え間なく投げてくる男から逃げ回っていた。
少年は弓矢を持ってはいたが、初期状態なのでリーチに差がありすぎた。
少年には逃げる事しかできなかったのだ。

突如、森が途切れ谷にかかる橋が見えた。
迂回ルートは見当たらない。
少年は意を決してつり橋を駆け抜ける。
橋の真ん中まで来ただろうか。
背後から聞こえてくる、短剣の風を切る音に少年は思わずうんこ座りをした。
一発…二発…三発…。
頭上を短剣が通り過ぎていくのを確認し、少年は再び駆け出そうとした。

しかし、それはできなかった。
少年の体は橋をすり抜け、うんこ座りのまま谷底へと吸い込まれていく。

アーサーは、ただ呆然と少年がいたはずの橋の真ん中を呆然と見つめていた。

ヤラレチャッタ


【『魔界村』アーサー生存】
【『パルテナの鏡』主人公死亡】



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