無題






少年と少女の二人組が先ほどの轟音を聞き海岸の近くへと駆けつけていた。
二人は海岸の傍の樹林に身を隠しながら様子をうかがっていた。
すると、焼け焦げた瓦礫の山の傍に転がっている影を見つけた。
「ポポ…なに…あれ…?」
「ここからじゃ見えないよ…。」
「もしかして…誰か倒れてるんじゃ…。」
「…僕。ちょっと見てくる。」
ポポと呼ばれた少年は警戒しながらおそるおそる影に近づく。
その影が何であるかを確認すると少年はしりもちをついた。
「あ…ああ…。」
その様子を見て少女が少年へと近づく。
「どうしたの…ポポ?……!!」
少女は影を見て声を漏らした。
「ネ…ネス…それに…リンクさん…。」
二人が見つけたもの…それはエックスによって焼かれたネスとリンクの亡骸であった。
その亡骸は無残な状態だった。
全身は焼け焦げていて皮膚は焼け爛れている。
近くに彼らのトレードマークであった緑の帽子と黄色いリュックがなければ本人だと確証をもてなかっただろう。
「そんな…そんなうそ…。」
この二人もネスとリンクと同様にかつてスマッシュブラザーズという舞台に共演していた。
別にネスやリンクとタッグを組んでいたわけでもなかった。
しかし知人の死体を目の当たりにするのはショックが大きいものだ。
「…ナナ?」
ナナと呼ばれた少女はその場に泣き崩れた。
「ネス…リンクさん…どうして…どうして…。」
その時目の前が光に包まれ閃光が少女の頬をかすめた。
かすめた閃光は二人の後ろにある樹木に命中し炎を上げる。
「アハッ、外しちゃった。」
金色の鎧に輝く少年が瓦礫の傍から姿を現す。
「あ…あなたは…!?」
「僕?僕はエックス。よろしくね。」
ポポは自己紹介をする金色の少年の右腕を見た。
「…バスター?まさか…ネスとリンクさんは…。」
「ん?そこの二人?ハハッ、壊しちゃった。ごめんごめん知り合いだった?」
「!!お前が…お前が…。」
「感動の再開に涙が止まらないってか?死体だけどねぇーーー!キャハハハハハハ!」
エックスの目はすでに狂気じみていた。
「うわああああ!!!」
ポポは自分の支給品である金属製のハンマーを取り出しエックスに向かって振り下ろした。
木槌で巨大な氷塊を砕く怪力を持つポポの一撃がエックスの頭に炸裂する。
だが…エックスは表情一つ変えることなく笑いつづけている。
「アーハハハハハハハ!!」
「え…?な…なんで?」
エックスは困惑するポポの眼前にバスターを突きつけてエネルギーを蓄積する。
「ポポ!」
ナナはエックスに向かって氷の塊を投げつけた。その氷を両腕で掴むエックス。

ピキィィィィィィン!

するとエックスの両腕が氷に包まれた。
ナナが投げた氷の塊…それはナナに支給された当たったものを凍結させる「フリーザー」というアイテムだった。
「ヒャハハ!手が凍り付いて離れないぞぉ〜。」
エックスは狂ったように凍りついた自分の両腕を振り回している。
「ポポ!逃げるのよ!」
「なんで!?こいつは…ネスとリンクさんを殺した奴なんだぞ!」
「だからよ!ネスとリンクさんを殺すような奴なのよ!私たちがかなうわけないじゃない!」
「うう…。」
確かにポポの渾身の一撃もエックスには通じなかった。
今はバスターを使えないとはいえポポではエックスに万に一つも勝ち目はない。
「アイツをこのままにしとくのは私も嫌…でもポポが死んじゃうのはもっと嫌なの!…だから…お願い。」
「………。」
ポポはゆっくりうなづくとナナの手を引き、駆け出した。
エックスはその様子に気づくことなく両腕を振りつづけていた。

しばらくかけつづけた後。
二人は更にエックスとの距離をおくためにプテラノドンを呼び、それにつかまって海岸の反対側へと飛んでいった。

【アイスクライマー ポポ ナナ 生存】
【ロックマンXシリーズ エックス 生存】



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