無題
ビュウは突如強い殺気を感じた。その瞬間ビュウは自らの体を回転させると持っていた剣を一閃させた。
背後に立っていた影が持っていた拳銃にその一閃は当たり、足元に落ちた。
ビュウは剣をそのまま影に向けると見た。その影―自分が探していたヨヨ―を
「ビュウ!!会いたかった。なんで剣をむけるの?私は話し掛けようとしたのよ!お願い!助けて」
ビュウは何も言わずに、落ちた拳銃を拾うと、銃把先にしてヨヨに差し出した。
「信じてくれたの?ありがとう!!」ヨヨがおずおずと手を差し出した。
その瞬間、拳銃はビュウの手の中で一回転すると,ビュウの手に握られた。―ヨヨの額に向けられてー
「もういいんだヨヨ。君が5人殺したと言う放送が漏れたのを聞いたんだ。」
ビュウはとても優しい―この場に似つかしくないほどのー笑みを浮かべた。
「ち、違うの。私相手が襲い掛かってきて、ついアレキサンダーを召喚しちゃったのよ!!だからあたし―」
「君がどんな女かは俺が一番知っているよ。君は悪女だ。それに返り血がドレスのすそに残っているよ
あとアレキサンダーはもう召喚できないよ。さっきバハムートに封じてもらったから」
ヨヨはその言葉聞くと怯えた表情を辞めて、悪女の顔に戻った。
「やっぱりビュウは騙せないわね。」
「お前は俺を裏切った憎い女だ。絶対殺してやると誓ったんだ。」
「だったら、どうして撃たないの?」
ビュウはその言葉にめまいがしそうになった。
―あんなに殺したいと憎んでいたのになんで殺せないんだ―
「なんで―お前は平気で人を裏切れるんだ!!」
「わかんないでも強いてあげると、そうね、たぶん=」
「私、グランベロスに囚われた後、これはサウザーもパルパレオスも知らないことよ。
あのグドルフとか言う禿じじいやその部下の気持ち悪い声で喋るやつや、筋肉質の男に
―何度も犯されたのよー
あなたと同じ男がやったことよ。敵の将軍だったけれど。
あたし抵抗したわ。でも男の人にはかなわなかったわ。
そうそう、私が泣き叫んだら、ますます興奮してたわ。そのときに泣き真似を覚えたのよ。」
ビュウはその告白に打ちのめされた。
―嘘だろ、そんなヨヨ―
その直後、ヨヨは黒い缶のようなものを投げると逃げだした。ビュウはヨヨを追おうとしたが―
黒い缶―閃光弾―(ライアンの支給武器)が強い光を発し、ビュウの視界かさえぎられた。
見えるようになったころにはヨヨはだいぶ離れ―奇妙な羽を投げると消え去ってしまった。
ビュウは立ちながら考えた。
もちろんあの告白は作り話かもしれない。だがビュウにはそうは思えなかった。
あの攫われる前のヨヨはとても純真で優しい娘だったのを自分は誰よりも知っているからだ。
ビュウは拳銃をバックの中へしまうとその場を去っていった。
―ヨヨを殺すことに迷いを持ちながら―
【『バハムート ラグ―ン』 ビュウ 生存 双剣 拳銃所持】
【『バハムート ラグーン』 王女ヨヨ 生存 カマ ナイフ 所持】
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