無題






参ったな。とりあえずは武器を探さないと・・・・・・」
腕に一風変わった機械を付けている青年は木陰に身を潜めながら呟いた。
彼の名はアレフ。唯一神の分霊であるツァバト、シャダイ、エロヒムを倒
し、サタンを倒し、今まさに唯一神YHVHに挑もうとした矢先にこのゲームに巻き込まれたのだった。
神と戦うどころか数多の神々を自らの下僕として使役し、そして自身もそ
れ以上の戦闘力を誇るアレフからすればこのゲームの参加者など赤子同然
にしか見えない。彼に支給された武器はアームターミナル。その中には元
の世界で彼が使役していた悪魔が中に入っており、その面子たるやルシフ
ァー、シヴァ、カーリー、ベルゼブブ等そうそうたるものである。アレフ
はこのゲームの優勝候補の最右翼と呼べる・・・・・・はずだった。

しかし、彼に支給されたのはアームターミナルのみ。マッカがなくては悪
魔を召喚することはできないため彼のアームターミナルは強力無比な武器
ではなくただのガラクタと化していた。そして、真女神転生Uの主人公で
あるアレフはSWORDもGUNも無い状態では相手を攻撃することすらできない
という制約を持っていた。かくして、神に匹敵する力を持った男は一転し
て敵から逃げ回ることしか許されない存在となった。
「マッカもマグネタイトも手に入らない世界じゃアームターミナルなんて
なんの意味もないじゃないか。これならアタックナイフが支給された方が
まだマシだったよ。。。。。。」
愚痴を言っていても始まらないため、彼はとりあえず武器を探して回るこ
とにした。既にリタイアした他の参加者の死体から何か使えるものがあれ
ばそれでいい。剣・ナイフ・刀・槍・銃と一通りの武器を使いこなせるの
も彼の強みの一つだった。

途中で他の参加者から狙われることもあったが、全てかすり傷を負った程
度に逃げることができた。丸腰で攻撃ができないとはいえ神に匹敵する男。
防具を付けていなくとも逃げに回った彼に致命傷を与えることができるも
のなどそうはいなかった。

「お、あそこに倒れている男がいるな。手に持っているのはチェーンソー
か?カオスルートを進んでいて助かったぜ。属性がカオスじゃないとチェ
ーンソーは使えないからな。」
アレフはチェーンソーを取ろうと死体に近寄ったそのとき

ド ガ ガ ガ ガ ガ ガ ガ ! ! ! ! !
起き上がった男のチェーンソーによってアレフは一瞬で身体をバラバラにさ
れてしまった。
「どうだい、神をも一撃で殺すチェーンソーの威力は?」
そう言って死体、いや、死んだふりをしていた男は立ち去っていった。
【魔界塔士Saga 人間男 生存】
【真女神転生U アレフ 死亡】



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