無題






二人の女性が対峙していた。
その二人とは、みすずとヨヨ。

(なんて酷い顔なの…あんな顔じゃ、人を騙すことなんてできやしないわ。
こういう時、自分の顔が美しいことに改めて喜びを感じられるわ)

「ちょっと…あんた…」
(うわ、何よ…気安く話しかけるのはやめてよ)

なんとも言えない雰囲気が辺りに漂う。

(こんなブス、さっさと殺してしまいたいんだけどなー)
「あんた、その表情、あたしに喧嘩売ってんの?!」
「カチン…あなたの顔を見ていれば、誰だって嫌になるのがわからないの!!」

まさに一触即発の状態である。
おもわず口を滑らせてしまったヨヨだが、周囲に味方がいない状態でみすずを相手にするのは、心苦しいものであった。

(あ〜、いっちゃったわ。どうしよう、こんなブサイクには殺されたくないし〜)
「もう許さないよ、あんた!! ボコボコにしてやる!!」

ガサッ

「ハッハー、この島は『俺が法律』だからな。ここは、俺が公平に裁いてやろう」

二人の間にシェリフが現れた。
突然のシェリフの登場に、二人は沈黙を保ったままだった。
シェリフは一呼吸置いた後、口を開いた。
「いいか二人とも、よく聞け……」

パンッ!!

「ブスは死刑だ」

シェリフの容赦無い銃弾が、みすずの頭を貫いた。
おかげで運良く危機を脱することができたヨヨだが、
あまりの予想外の展開に、天性の魔性の女と言えど驚きを隠せなかった。

(こ、この男、危険だわ…でも、ここで上手く騙せれば、良い駒になってくれるかも…)
「あ、危ないところをありがとうございます! 私はヨヨ、突然こんなところに連れ来られてしまって…」

純粋無垢な少女を演じながら、ヨヨはシェリフに近づこうとした。が…
「悪いが、ションベン臭いガキは興味無いのさ、じゃあな!」
シェリフはそう言うと、何食わぬ顔で去っていた。

(ショ、ションベン臭いガキ…あのオヤジ、絶対許さない。今度会ったら必ず殺してやる…!!)
命こそ助かったが、ヨヨのプライドはズタズタにされた。
その瞳の奥には、魔性とは別の狂気を孕んでいた。

【LOW OF THE WEST〜西部の掟〜 保安官 生存】
【バハムートラグーン ヨヨ 生存】
【熱血硬派くにおくん みすず 死亡】



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