無題






「おいアーク、武器を持ってきたぜ。これで少しはマシになったな」
カインとの遭遇戦を終えたヨミが少年に話し掛ける。
「なあヨミ…世界は正常に戻ったんだろ?なのになんでこんな事になったんだ?
俺はクリスタルホルムに帰れるんじゃなかったのか?」
アークと呼ばれたその少年は、突然この場所に放り出された。
ヨミのお陰でここが何処か、何があったのかについては
大体理解したが、それがアークを苦しめた。
一日。彼に残された時間はたった一日しか無かった。
「そんな顔するなよ。それよりどうやってここを出るか考えようぜ」
少年はヨミの言葉など上の空といった感じで、ただぼんやりとしていた。
「なあアーク、お前エルの事考えてただろ?おいおい頼むよ。
あのカインって奴がまだ近くにいるかも知れないんだぜ!
さっき教えただろ、アイツの事!」
「いいだろ別に。もう俺の役目は終ったんだ…
けど…最後にもう一度だけ、エルに会いたいんだ」
(こりゃ相当だな〜。悪い方に作用しなきゃいいけど)
「はいはい、でも座っててもどうにもならないだろ」
ヨミに押され、アークはふらふらと歩き出した。
【アーク・ヨミ移動開始。所持:トライデント、エルのマント】



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