無題
シザーマンは深い闇から目覚めた。なぜか体中ボロボロであり体中が痛む。
だんだんとシザーマンの意識はハッキリしてきた。そして思い出した
―そうか自分はあの男の技により突き落とされたのだ―
おそらくあの男は取り逃がしたのだろう。シザーマンは残念に思った。
だが新たな獲物を探せばいい。そう思ったシザーマンは
先程の戦闘で血が付いた自分の支給武器―愛用の巨大鋏―を持つと再び歩き出した。
―全身が妙に痛むが気にしないことにしよう―
しばらく歩くと目の前に、すごく肥った中年の人間の男が現れた。
男は自分の姿を見て錯乱したのか、ただひたすら足踏みをしていた。
シザーマンは喜んだ。こいつなら先程の男のように逃げられずに殺すことができるだろう。
そう考えると、シザーマンは一歩、また一歩と男に近づいた。
男はまったく逃げようともしないで先程と同じく足踏をしていた。
― 後一歩近づけば相手の目の前だ。そうすれば相手を刺し殺せるぞ―
狂気の笑みを浮かべながらシザーマンは最期の一歩を歩いた。
その瞬間!!シザーマンはまったく動けなくなった。
―なにが起こったのだ―
そう考えている間に目の前の男はどこからともなく取り出した、細長い剣を持つと
シザーマンに切りかかった。
最期まで、なにが起こったか判らずにシザーマンは死んだ。
―シザーマンが敗北した理由は4つある―
一つは相手に不用意に近づきすぎたことだ。
相手が、何をもっているのか判らずに、近づくのは危険な行為である。
2つ目は相手の力量を低く見たことだ。
男は、見かけによらず多くの戦いを経験しているのだ。
3つ目は自分の状態である。シザーマンは先程崖から落ちた時点で重傷だったのだ。
あと一撃で死ぬと言う状況である自分に気づいていなかったのだ。
そして4つめは・・・・
トルネコはたった今起こった戦いのことを考えた。
仲間とはぐれた時、逃げるのが早かったのか、軽傷しか負わなかったトルネコは
自分の腹の肉の間に隠していた―ハラヘラズの腕輪―をつけると、傷を直す為に足踏みをしていたのだ。
しかし、奇妙な男が目の前に現れ、このままではやられると判断したトルネコは
ある法則が自分に残っていることを期待してそれを実行した。 その法則とは―
ー不思議のダンジョンで学んだ、相手の前に移動するのに、一行動を消費すると
相手が動き終わるまで動けなくなり、一方的に攻撃されるーと言うものだ。
この法則によりトルネコの前に移動したシザーマンは一方的に攻撃されたのである。
「他の皆さんは無事でしょうか。それにしても、この渡された武器ー天の村雲と言う剣は
とても貴重で強く、値段はつけれそうにありませんね。」
そうつぶやくと男の持っていた鋏は重いので放置して、トルネコは仲間を探しに歩き始めた。
【「ドラゴンクエストW」トルネコ 生存 装備天の村雲 】
【「クロックタワー」シザーマン 死亡 巨大鋏→放置 】
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