無題






破壊、破壊、破壊。
全てを、壊し尽くさなければ。
ゼネフを名乗る男が、このアーマーを与えてくれると共にその事を教えてくれた。
でも何故、破壊がみんなを救う事になるんだったっけ?
まあいい、忘れてしまった。
「あんたは、誰だ?」
突然、背後から声が聞こえた。振り返ると、二人の少年と一人の少女がいた。
「あんたは、このゲームに乗り気なのか?」
ゲーム?何の事だったか…。そのゲームというのがどんなものにせよ、
彼らのような少年達こそ、救われねばならない存在だろう。
バスターにエネルギーを集中させる。そして、放つ。
「の、乗り気みたいだな」
三人とも避けていた。ただの純粋な子供達かと思っていたが、違うようだ。
「や、やるしかない?」
「当然でしょ…」
「いくぞ!」
青っぽい格好をした少年が僕に向かって剣を振りかぶる。並のレプリロイドに比べれば速いが、
どうということは無い。
「灼熱の閃光よ、敵を焼き尽くせ!」
「怒れる炎の魔人よ、悪しき者を消し去れ!」
少年と少女がそんな言葉を発したかと思うと、僕に閃光と爆発が襲いかかってきた。
さすがにこれには僕も油断していたようで、吹き飛ばされてしまった。だが幸い、傷は無い。
体を払いながら立ち上がる。

「そんな…、嘘でしょ!? ベギラマとイオナズンの直撃を受けて無傷なんて!」
「くそっ、くらえ!」
剣の少年が、今度は突きを放ってきた。
「なっ…!」
剣の切っ先を握ってとめる。相手は驚いているようだ。そのまま剣を握り砕いた。
「もう、終りにしよう」
彼らに呼びかけ、再びバスターにエネルギーを注ぎ込む。
「アンナ、もょもと、出来るだけ遠くに逃げて!」
「すけさん!」
「くっ…、すまない…。アンナ逃げよう!」
緑の服の少年が僕の前に立ちふさがる。
「我が命と引き換えに、眼前の魔性を滅せよ!」
凄まじいまでの衝撃が僕の体を包みこんだ。

「すけさん…。すまなかった…」
もょもと達は逃げながらメガンテの閃光を確認した。
「…あれは?」
光の中、立ち上がる人影。すけさんであってくれ、そんな願いはすぐに打ち消された。
「今のは痛かったな、さすがに」
立ちあがったのは、エックスだった。
「ちっくしょう!」
あいつと、相打ちになってでも殺したい。
勇者の血を引く少年と少女にはそんな思いがよぎったが、今はただ、逃げるしかなかった。

 【「ドラゴンクエスト2」もょもと、アンナ 生存】
 【「ロックマンX」エックス 生存】
 【すけさん(サマル)死亡】



前話   目次   次話