無題






マクラーレンF1を駆る男がいる。
彼に支給された道具は音声ナビゲーター。
文字通り、音声で情報を伝えてくれる優れものだ。
敵の場所を確認しては、愛車で轢き殺すという戦法で生き残ってきた。
『テキ、セッキンチュウ。テキ、セッキンチュウ』
音声ナビゲーターが反応する。
「また獲物がやってきたか…」
新しい獲物を前に、アクセルを踏むのにも力が入る。
「ナビゲーター!!敵はどこにいるんだ!?」

『くお〜!!ぶつかる〜!!ここでアクセル全開、インド人を右に!』

「は?」
予想外の反応に、彼はただ唖然とした。
「インド人…? 右? な、なんのことだ…?」
状況を飲みこめない彼は、とりあえず右側を確認した。


インド人がいた。


「い、インド人がいるぅぅぅ!!! インド人を右にぃぃぃぃ!!!」
キィィィィィィィィッッッ!!!
ドンッ!! グチャッ!! バキッ!!
ドゥゥゥゥゥゥゥゥン……………!!!
気が動転した彼に、もはやマクラーレンを運転できるほどの精神など残ってはいなかった。
マクラーレンは、インド人を巻き込んで壮大に爆発した。

【スカッドレース 主人公 死亡】
【マハラジャ 主人公 死亡】
【スーパーアラビアン 主人公 死亡】
【真・女神転生 ナンディさん 死亡】




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