無題
海岸の船に小さな人影が近づいていた。
船内ではハイラルの勇者リンクが寝息を立てている。
無理もない。この緊張感の中ただでさえ体力を使うというのに彼は大量に魔力を消費するボンバーまで一度使っている。
疲労のあまり危険だとわかりながらつい眠ってしまったのだろう。
だがそれゆえに近づいてくる人間の気配に気づかないのは致命的だった。
小さな人影がリンクに向けて飛び出す。その手には一本のバット。
リンクはようやく人影に気づいた―――だが遅かった。
人影がバットをリンクの額に振り下ろした―――。
リンクは自分の死を覚悟した。だがそのバットがリンクの額の前で止まっていた。
そして…
「……リンク?」と人影が言葉を発した。
「……君は…ネスか!」
小さな人影の正体…それはエブラーナの忍者エッジを仕留めた超能力少年ネスであった。
リンクとネスはかつてスマッシュブラザーズという舞台に共演していた。
その際雄行われたタッグ戦…そのときにリンクのパートナーとなったのは彼。ネスであった。
元の出演作品や年齢は違うものの彼らは戦地を共にした仲間だったのだ。
この再開は二人の今までの緊張感。不安感を取り除いた。
「ごめん…リンクだと気づかなくて。危ないところだったよ。」
「いや、かまわないさ。うっかり眠っていた僕も悪いんだし。」
謝るネスに気をかけるリンク。
「それよりネス…手をくまないか?このゲームは一人よりも二人のほうがぐっと生き残れる可能性があがる。それに君がいてくれると心強い。」
「うんそうだね。僕もリンクがいると心強いよ。いっしょにいこ。」
二人の間に握手がかわされた。
【ゼルダの伝説 リンク MOTHER2 ネス 同盟】
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