無題
ゼロは逃げた。修羅、いや破壊神そのものと化した親友から。
(エックスまでもがああなってしまうなんて)
(俺にはこのゲームを覆す事はできないのか?)
(武装を取り上げられたはずなのに何故アーマーを纏っていた?)
(そもそもこのゲームの主催者はなにを考えてこんな事をしている?)
彼の頭に、いくつもの考え、疑問が浮かんでゆく。
どれくらい走っただろうか。彼は今、川のほとりにいる。
「くそ…どうすりゃいいんだ…」
彼は、自分が次に何をすべきか分からなくなっていた。
その時、空から一人の女性が降りてきた。銀色のロングヘアーに
褐色の肌をした美しい女性だ。しかし、その体はひどく傷ついている。もはや虫の息である。
ゼロは彼女を放っておく事も出来たが、そうはしなかった。
イレギュラーハンターとしての経験をいかして、彼女に手当てを施した。
彼は、誰かを救いたかったのだ。
夜が完全に明けた頃、彼女は目を覚ました。
「目、覚めたみたいだな。」
ゼロが彼女に話しかける。女性のほうはまだ体が傷むようだったが、
こう言った。
「ここは…?そしてあなたは?」
「ここがドコだかは俺も詳しく知らん。俺はゼロという名だ。で、あんたは?」
「私はミネアといいます。攻撃をされ、逃げたのですが、仲間とはぐれてしまいました。
お世話になって、すみません」
「そうか。だがあんた、その傷で動けるのか?」
「ええ、大丈夫です」
そういうとミネアは何か小声で呟いた。そして、光がミネアの体を包んだかと思うと
彼女の体についていた傷は全て癒えていたのである。ゼロは少し驚いた。
「へえ、大したもんだな」
「私はこれから、仲間を探しに行きます。あなたは?」
「…あんたの手伝いをやってやってもいい」
「助かります。ですが、貴方にもやるべきことがあるのでは?」
ミネアはゼロに問い掛ける。
「構わない」
それから、間を置いて、こう付け加えた。
「何をすべきか、分からなくなった」
【「ロックマンXシリーズ」ゼロ 「ドラゴンクエスト4」ミネアと合流】
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