無題
1
――その人物。
ポケモン学者のオーソリティ。
ポケモントレーナーなら知らない奴なんて居るか? ――それ位、有名な。
大木戸直之(おおきど・なおゆき)博士。
何故大木戸博士が?
「よくわかりません」
その時、玉虫市の白川エリカ(女 六番)が声を上げた。
(レッドはポケモンで戦った事があった。一回あっさり負けて、二回目でなんとか勝った。まあとにかく)
何か感じていたのか、張り詰めた様な感じだったが、それでもエリカらしくはっきりした様子で喋った。
辺りが一瞬、ざわめいたが、大木戸の顔がその瞬間引き攣ったので、直ぐに静かになった。
一体、何のつもりなのだろうか?
「いいかー? 大東亜共和国の国防はすっかり駄目になってしまいましたー。そこで」
大木戸は一呼吸おいてから、そして言った。
「これから皆さんにちょっと殺し合いをしてもらいまーす。反則はありませーん」
レッド、いや、他の人々もたった今から、恐らく頭の中である”単語”を探った筈だ。
これは、いや、まさか――
「皆さんはプログラムの対象に選ばれましたー」
レッドは、焦躁した。
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