くそろぼテクニック






「う〜〜スケさんスケさん」

今、知り合いの姿を求めて全力疾走している僕は 武装組織に所属しているごく一般的な男の子。
強いて違うところをあげるとすれば 人間じゃなくてのロボットであるってとこかナ――。
名前はトニオ。正式名称は自立兵器1020型。
そんなわけでラボへの帰り道に、この殺し合いの舞台につれてこられたのだ。
ふとみると、ベンチに一人の若い男が座っていた

ウホッ! いい科学者……。

そう思っていると突然その男は僕の見ている目の前でリュックのの中からドリルを取り出し始めたのだ……!

「――――――やらないか?」

そういえば、この会場は様々な支給品が配られていることで有名なところだった。
いいドリルに弱い僕は、誘われるままホイホイと民家の一室について行っちゃったのだ
彼――ちょっと忍者っぽいマッドサイエンティストで、天草道四郎と名乗った。
ロボットの改良もやりなれているらしく、民家に入るなり僕はハッチをむかれてしまった。

「よかったのか、ホイホイついてきて。俺はノンケだって構わないで改造しちまう人間なんだぜ?」
「こんなこと初めてだけどいいんです……僕……天草さんみたいな人、好きですから…………」
「嬉しいこと言ってくれるじゃないの。それじゃあ、とことん喜ばせてやるからな」

言葉どおりに、彼は素晴らしいテクニシャンだった。
僕はというと改造部に与えられる快感の波に身を震わせて悶えていた。
しかし、その時予期せぬ出来事が……。
僕の体に一瞬寒気が走った。

「うっ…………き、切れそう(燃料的な意味で)」
「ん? もうかい? 意外に早いんだな」

「ち、ちがう……実はさっきから燃料補給がしたかったんです……市街地に来たのもそのためで……」
「そうか。いいこと思いついた。お前、動力部を蒸気機関に改造しろ」
「えーっ!? 動力部をですかァ!?」
「男は度胸!何でも試してみるのさ。きっといい気持ちだぜ。
 ……ほら、遠慮しないで入れてみろよ」

彼はそういうと、自分の支給品の中から逞しいスチームエンジンを僕の前に突き出した。

(自分の支給品を惜しげもなく僕に組み込んでいくだなんて、なんて人なんだろう……)

しかし、堅く引き締まったエンジンを見ているうちにそんな変態じみたことを試してみたい欲望が…………。

「それじゃあ……やります……」

僕は躊躇いつつも自分の動力部に続くハッチを開き、スチームエンジンをそこに押し入れた。

「は、入りました……」
「あぁ……次は機動させるんだ……」
「それじゃぁ……動かします…………」

起動したスチームエンジンは今まで溜まっていた、白い蒸気を余すことなく放出した。

「いいぞ……エネルギーがどんどん溜まっていくが見てて分かるよ。
 ……しっかり連結部のボルトを締めとかないとな」

彼はその逞しいレンチで僕のモノを力強く締め付けた。

「くうっ! 気持ちいぃ…………!」

この初めての体験は、オイルでは知ることの無かった絶頂感を僕にもたらした。
あまりに激しい出力に、エンジンの起動がし切ると同時に僕の出力はあっけなく当社比150%に強化されてしまった。

「あ、あぁっ!!」
「この分だと、相当強化できたみたいだな。エネルギーメータがパンパンだぜ」
「……ハァ……ハァ」
「どうした?」
「あんまり……気持ちよくて……こんなことしたの……初めてだから……」
「だろうな。俺も初めてだよ。
 ……ところで、俺の火遁の術を見てくれ。こいつをどう思う?」
「すごく……大きいです(火力的な意味で)」
「大きいはいいからさ、このままじゃおさまりがつかないんだよな」

そう言うと天草は、僕の足を持ち上げ自らの術の秘伝を尻の火炎放射器へ組み込んでいった。

「今度は俺の番だろ?」
「アッー!!」

僕は快感に身をよじらせ、声にならない声を上げることしか出来なかった。

「いいぞ……よく馴染んで吸い付いてきやがる……!」
「き、切れる……」
「なんだァ? 今補充したばかりなのにまた切れるってのか? 意外に燃費が悪いんだな」
「ちっ、違う……!」
「なにィ!? 今度は演算機能ォ!?
 お前俺を修理工場と間違えてんじゃねぇのか!?」
「しーましェーン!!」
「しょうがねぇなぁ、いいよ、いいよ、俺が修理しといてやるからこのまま出しちまえ。油まみれになりまくるのもいいかもしれないしな」
「えーっ!?」

――と、こんなわけで僕の初めてのバトルロワイアル体験はくそろぼな結果に終わったのでした…………。


【一日目・深夜/5-D 民家】
【トニオ@仮想SF世界】
【状態】健康、出力強化、両手ドリル、火力UP
【装備】スチームエンジ@スチームパンク江戸時代、ドリル@仮想SF世界
【道具】支給品一式、不明支給品1〜3
【思考】
1:知り合いと合流したい

【天草道四郎@スチームパンク江戸時代】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】支給品一式
【思考】
1:トニオを改造する



【名前】トニオ(正式名称:自立兵器1020型)
【性別】男性型(外見20歳程)
【年齢】製造より5年
【職業】武装組織所属
【身体的特徴】銀髪、硝子製の目、肌はメタリックブルー
【性格】正義感が強いが空回り気味、若干変態
【趣味】自分の改造、ナンパ
【特技】機械操作、演算処理
【経歴】事件現場で失敗して廃棄されかけた事あり
【好きなもの・こと】女性、ドリル、質のいいオイル
【苦手なもの・こと】犯罪、犬、嘘
【特殊能力】目に赤外線センサー、右腕にドリル内蔵、火炎放射機(ただし尻から出る)
【出身世界】仮想SF世界
【備考】
武装組織所属のロボット。バグで人間らしい性格が発生した
本来は演算処理やバックアップ用だが、自分で中途半端に武装を付けている
過去に廃棄処分になるのを助けてもらったので、ケイスケを「スケさん」と呼び慕っている

【名前】天草道四郎(あまくさ どうしろう)
【性別】男
【年齢】21
【職業】科学者
【身体的特徴】長い黒髪、細面の少女の様な美貌、白い水干
【性格】マッドサイエンティスト
【趣味】学問、研究
【特技】蒸気機関への深い造詣、忍術
【経歴】元伊賀忍者。江戸に出て源内から科学の知識を得る
【好きなもの・こと】研究、自分
【苦手なもの・こと】特になし
【特殊能力】伊賀忍者
【出身世界】スチームパンク江戸時代
【備考】
伊賀出身の天才忍者にして科学者。
国抜けをし、江戸の平賀源内の助手に収まる。
科学技術と忍法を融合させ、全く新しい技術体系を打ち立てる。
銃器の改良にも才能を見せ、ガトリング砲などの開発に成功する。
現在、源内に元を離れ、さる反幕府の大名の下で、巨大蒸気駆動戦車「破軍丸」を開発中。



【支給品名】スチームエンジン
【出身世界】スチームパンク江戸時代
【外見】エンジン
【効力】四角いエンジン。起動中は蒸気を放っているため非常に熱い。
【備考】
平賀源内が開発した蒸気動力機関。
これ一つで小さな工場一つくらいはまかなえる代物。
主にカラクリロボなどの動力として使用されている。

【支給品名】ドリル
【出身世界】仮想SF+ロボット世界
【外見】ドリルとしかいいようがない
【効力】トニオが腕に装着しているドリルの予備。モーターで動く
【備考】男のロマン



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