交錯する思惑
「悪いが預かれない」
一言の元に、プリンを預かってほしいという二人の願いは却下された。
それどころか、彼女達は、葉月が背負う少女を持っていけというのだ。
左にエレン、小次郎と並び、その後ろにプリンと呼ばれる名無しの少女がいる。
対して、右側には蔵女が一歩前に出、隣に葉月がアルを背負い、横に乃絵美がいる。
「此方の荷物は増やすというのかしら?」
多少怒りが混じりながらエレンが口開いた。
「荷物ではない」
全てを見通している蔵女の表情。
それが人を馬鹿にしているかのように見える。
「意味を理解しかねるわ……、そんな条件受け入れられないわ」
エレンの口からため息が漏れる。
「せっかく便利なアイテムを渡してやろうと思ったのにな」
意地悪くクスクスと笑いながら蔵女が言う。
「蔵女、いい加減にしないか」
一歩引いた所で見ていた葉月がぐいと前に出てくる。
「君達に引き渡したいこの少女だけど、彼女は人じゃない」
人を茶化す蔵女に代わって、葉月がそのまま説明を始めた。
「どういうことだ?」
「彼女は人の形をしたアイテム……古の魔法道具」
二人は、まさかという顔をしたが、蔵女の能力。
そして今ままでの状況から、心の中では否定しなかった。
「それに見ても解るように、僕たちもこの娘を保護しないといけない」
確かに葉月の後ろには、何の変哲もない少女がいる。
「悪いけど、今の僕たちにその少女を預かる事は無理だ。
その代わり、この娘を渡すからそれでやりくりしてほしい。
きっと強い戦力になるはずだ」
葉月の後ろで蔵女がふんと勝ち誇ったような顔をしていた。
彼女達が交渉をしている最中。
少し離れた木陰から、彼女らを覗く人物がいた。
「獲物を見つけたのがいいが……、あの人数はちょっと厄介だな。
それに……」
赤い着物を纏った少女。
彼女からは、自分と同じ異質なる力を感じる。
「あのまま合流するなら見逃すしかないか……」
彼女達が動いた。
どうやら赤い着物の少女達の方が、意識を失った少女を預け、また別々に行動するようだ。
ここに来るまでにどこまでできるかの試しはしてきた。
どうやら彼女達に戻る気はないようだ。
「早速、実践に移させてもらうとするか……」
「蔵女」
彼女達はアルをエレン達に引渡し、逆方向へと歩き始める。
しばらく歩いて、葉月が蔵女に話し掛けた。
「気付いた?」
「今さっきな、そちらもだろう?」
蔵女は、にやりと笑うが引き返そうという意思はない。
むしろ、どんどんエレン達から離れて行く。
「あのネクロノミコンを使いこなすいい機会だ」
「そう……」
【無影@二重影 (狩) 状態:○(回復) 装備:日本刀(籠釣瓶妙法村正)メガラスの指輪(敏捷力上昇) 行動方針:魔力なしの駆除】
【アル・アジフ@斬魔大聖デモンベイン(ニトロプラス) 招 状態×(気絶) 装備品 ネクロノミコン(自分自身)】
【エレン@ファントムオブインフェルノ(ニトロプラス)招 状態○ 装備品 ベレッタM92Fx2 ナイフ 結界装置の設計図】
【天城小次郎@EVE〜bursterror(シーズウェア)狩 状態○(右腕が多少痛む) 装備品 食料 水 医薬品 地図 通信機
カセットレコーダー(無影とケルヴァンの会話及び魔道学会員Bとの会話録音)】
【プリン(名無しの少女)@銀色(ねこねこソフト)? 状態△(片足の腱が切れている) 装備品 赤い糸の髪留め 双眼鏡】
【伊藤乃絵美@With You〜見つめていたい(カクテルソフト) 狩 状態○ 装備品 ナイフ】
【蔵女@腐り姫(ライアーソフト) 招 状態△(力半減。左肩銃創、呪詛返しの影響で傷口拡大) 装備品(能力)赤い爪、通信機】
【葉月@ヤミと帽子と本の旅人(オービット) 招 状態○(力半減) 装備品 日本刀】
【表層の士後】
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