Swordsman
ランスと五十六に対峙するは、リック、ミュラ。
そして逆側にはライセン。
どちらとも出方を伺い、そう簡単に前へ出ようとはしない。
「チッ、どうやら全て見越して俺達を狙ってるみたいだな」
三人から発せられる殺気を感じ取るランス。
「五十六、話は後だ。まずはこいつらを何とかするぞ。
お前はあっちのでっかい斧もったのを頼む」
「解りました……」
ランスと五十六が背中合わせに打ち合わせをする。
「しばらく抑えてくれりゃいい。その間に俺様がランスアタックであの野郎をしとめる。
そしてかわいこちゃんは両方ともGetよ、ガハハハハハハハハ!!」
「それでこそ我がランス王……頼みますよ」
五十六は弓を、ランスはリーザス聖剣を構える。
「どうするのリック?」
「この状況なら、敵は2:1、1:1を作り出すと思う。
3:2だとあっちは弓と剣だからな。そっちの方が不利になる。
「逆はライセンに任せるしかないわね」
「そうだ。だからこっちの俺たちが速攻でしとめないとダメだぜ」
「どうやらあの男の方がこっちに来るみたいね」
自分達の方を向いて構えたランスを見てミュラがリックにささやいた。
「弓使いか……いかにして距離を詰めるかだな」
こちらに向けて弓を構える五十六を見たライセンが呟く。
「頼むぞ、リック、ミュラ」
「大人しく降参すれば、かわいこちゃんは可愛がってやるぜ」
ガハハハと下品な笑い声をさせながら、ランスはミュラに言った。
「生憎だけど間に合ってるわ」
「そうか……ならきついお仕置きが必要だな!!」
距離がつまると同時にランスがミュラに向かって剣を繰り出す。
「おっと、俺を忘れてもらっちゃ困るぜ!」
すかさずミュラが後ろに下がり、後方からリックの長剣がランスの目の前に飛び出る。
「とっとっと。あぶねーじゃねーか!
男に用はねーんだ! 消えてもらおうか!」
パイロードを聖剣で撥ね退けるランス。
「くっ!! 結構力強いじゃないか!」
下がるリックに代わり、再びミュラが前へ出てランスと斬り合う。
遅れてリックも態勢を整えて、再び戦列に参加する。
「くそ!! こいつら結構強いじゃねーか。俺様が防戦一方だと!?」
リックとミュラの猛攻の前に受けにでるばかりで、ランスは中々最初のように攻めに出れない。
「こいつ、あんな最低野郎のくせに強い!!」
こちらの方が圧倒的に有利な状況であるのに、中々思うように剣を当てる事のできない二人。
(気のせいかしら、あの男、まるでリックの太刀筋が前もって解るような防ぎ方をしてる……)
まるで予知能力でもあるかのように、ランスはリックの剣が繰り出される前に的確な受けに出る。
(この太刀筋……見慣れてる気がする、誰の剣だったかな)
ランスの後方ではライセンと五十六が睨み合いを続けていた。
うかつに前へでれば五十六の矢が。
うかつに弓を放てばその隙を狙ってライセンが前に。
二人は互いにどちらから動くわけにも行かずに睨み合いを続けていた。
(私の疾風点破を相手が耐えれるかどうかが勝負の鍵!)
「しぶとい!! それなら!! ミュラ頼む!」
リックが少し下がり目に隊列を取る。
「!? わかったわ!」
すぐさまリックの言葉を理解したミュラが一歩前に出てランスの相手をする。
「何を企んでるか知らないが、チャンスだ!!」
今のうちにミュラを仕留めようとランスが前に出て攻撃に転じる。
「残念!!」
ランスが前に出た頃合を見計らって、ミュラは即座に斜め後ろへ下がる。
それと同時にミュラの後ろから、死角になっていた部分からリックが飛び出る。
「バイラ・ウェイ!!」
「なっ!? こいつの太刀筋、この剣、そしてこの技、思い出した!!」
あまりにもの速さに剣が赤い残像の軌跡を描くリックの超音速剣がランスに向かって発動された。
次の瞬間、ミュラの目には信じられない光景が映っていた。
「そんな……リックのバイラ・ウェイが……破られるなんて!!」
赤い残像が軌跡を描くはずの音速剣が――――破られたのだ。
リックがバイラ・ウェイの二振り目を放った時、軌道を読んだランスが力いっぱい弾いたのだ。
衝撃すぎる映像にリックもミュラも一瞬時が止まってしまった。
その隙を見逃すランスではない。
「俺様の勝ちだな!!」
ランスの握るリーザス聖剣に気が集まり始め輝きだす。
「リック!!」
ミュラとライセンが叫び、やっとリックは自分の必殺技が破られたのを認識した。
「まずいわ!!」
ミュラがリックを救おうと飛び出そうとするも間に合いそうにない。
「くたばれ!! ラァァァァァァンスアタァァァァァァァック!!」
すさまじい威力の一撃がリックに向かって繰り出される。
だがリックも常人を超えた反応ですかさずパイロードで受け止める。
「無駄だぁ!!」
ランスとリックの剣がぶつかり合った時、リックのパイロードにヒビが入った。
(まずい!! このままだと!?)
一瞬のうちに考えを決めると、すぐさまあがらうのを止めて力に押されるまま後方へと身を任せた。
「リック、大丈夫!?」
ミュラが弾き飛ばされたリックの元に駆け寄り声をかける。
「ああ、こいつのおかげで何とか無事だ」
多少衝撃の余波を食らったもののリックは事無きを得た。
「チッ、そのまま受け止めてくれれば良かったのによ。
だが、その剣じゃもう戦えないな?」
ランスの口元がニヤリと勝利を確信した笑みを浮かべる。
今のぶつかり合いに耐え切れなかったパイロードは根元から折れてしまっていた。
「それでもその剣じゃなかったらしとめれたんだけどな。
感謝するんだな。パイロードの丈夫さに」
「パイロードを知っている事といい、リックの太刀筋を読み、
なおかつバイラ・ウェイまで防いだ……あなた一体何者なの!?」
「簡単な事だ。パイロードを持ってその剣でバイラ・ウェイを使う一流の剣士が俺様の部下にいるからよ。
名はリックって言うんだけどな。リーザスの赤い死神とまで呼ばれている男だ」
「そんな!?」
ミュラが、ライセンが、リックが驚愕した。
今ここにいるリックと全く同じ剣を振るう剣士がいるというのだ。
しかも彼の部下で名も同じくリックという。
「さて、そろそろ観念してもらうぜ!!」
ゆっくりと二人に向かってランスが近づいてくる。
「ミュラ!! リック!!」
業を煮やしたライセンだが五十六の矢が立ちはばかり前へ出ようとする事ができない。
うかつに前へ出れば、弓矢の餌食となる。
「逃げるぞ!!」
叫ぶと同時にミュラの腕を引っ張り、リックは後方へ走り始める。
「ライセン、打ち合わせた場所で落ち合おう!」
リックの走り去る姿と響く言葉と共にライセンも走り始める。
「逃がすか!?」
五十六がライセンに向かって矢を放つ。
だが、ライセンは上手い具合に木を背中にして走っていくため、矢が虚しくも幹を刺す。
「くそ!! 待ちやがれ!!」
「お待ち下さいランス王!! 今ここで二手に別れては余計に奴等の思う壺。
ここはどちらかに絞った方が得策と思われます」
目の前の獲物に逃げられたランスが怒り狂って追いかけようとするのをなだめる五十六。
「むむむ、そうか。なら追いかけるなら一人になったいかつい斧持ったねーちゃんだな」
「はい、できれば合流される前に急いだ方がよろしいかと……」
「よし、ではさっそく追いかけるとするか!」
ランスはライセンの逃げた方へと足取りを向かわせる。
「ランス王」
後を追いついてくる五十六が彼の名を呼んだ。
「今は直ぐにとは言いません。ですが先ほどの答えもお忘れないで下さい」
「わかった……」
彼に似合わない真面目な表情をしてランスは五十六の問に答えるのだった。
【ランス@ランスシリーズ (鬼(但し下克上の野望あり)) 状態:○ 装備:リーザス聖剣】
【山本五十六@鬼畜王ランス (招) 状態:○ 装備:弓矢(弓残量16本)】
【ミュラ@ママトト (狩) 状態:○ 装備:長剣】
【ライセン@ママトト (狩) 状態:○ 装備:戦斧】
【リック@ママトト (狩) 状態:○】
幹に刺さった矢は回収しました。
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