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殺し合いとかなんとか言われても俺にはとんとわかんなかったが、だがここまで町の連中がバタバタしているとなると俺にも少しは事情が飲み込めてくるってえもんだ。
だれそれが死んだとか、だれだれがどこのだれに殺されたとか、そんなこたあ、俺にとっちゃあ正直たいしたことじゃあねえ。

随分な冷血漢じゃねえかってえ? まあそうさね、あんたらにはそう思われても、まあしょうがねえってとこだな。
だけど、ちょっと考えて見てくんねえか。
例えばあんたは道端で虫が死んでても、悲しく思ったりするかい?
あるいは川の中で魚がいっぱい死んでても、取り乱したりはしねえだろ?
こんなこと言ってる俺だってもちろん、魚を食うときに罪悪感なんざ感じたりはしねえ。

生きものってのはそういうもんじゃねえか。同情できるのはあくまでも自分と同格な相手だけよ。
もっともこないだ死んだ俺の仲間の一人は、そういう考えじゃなかったみてえだけどな。まあそりゃそいつの勝手ってもんだ。

俺にとってそれよりも危急的な問題は、もうここ何日もその魚を食ってねえってことだ。
今までは魚が食いたくなったらあの家に行けばよかったんだが、流石にこうなっちゃあそういうわけにもいかねえ。
俺だってその程度の空気くらいは読めるってもんだからな。
もっともメシには苦労していねえ。奇特な奴がいて、この殺し合いのドタバタの中でずっと宿無しだった俺を家に招きいれてくれた。もちろんメシと昼寝つき。
こいつが何を考えてんだかはさっぱりわかんねえが、まあどうでもいいさ。
それに俺にはこいつらの考えなんかさっぱりわかんねえからな。あんたが虫の考えを理解できないのと同じことだな。

今俺は、この家の主人であるそいつの隣でいつものようにウトウトしている。
周りにはそいつの娘だという女の子と、もう一人別の帽子を被った女の子、それに中年くらいの男がいる。
いかにも神経質そうな中年男は、隣に座った帽子を被った女の子の胸やら尻やらに手を伸ばそうとしてはひっぱたかれている。いつものことだ。
どうもこの男はこのくらいの歳の女が好みのようだな。もっとも、同い年くらいのもう一人の娘には目もくれてないが。

その時、主人の机の上の電話が鳴った。
主人はすぐに受話器を取って、なにやら話し込んでいた。声のトーンからしたら随分深刻な話みてえだな。内容はわかんねえが。
受話器を置いた後、即座に男は言った。

「岡島さん、中島くん、ちょっと頼みたいことがある」

おーおー精が出ますなあ。でも俺まで巻き込まれるのはゴメンだから、俺は「にゃあ」とあくびをすると、机の上から飛び降りてさっさと退散した。


【六日目・午後十二時】
【駅前・がんこ亭店内】

【花沢花之丞】
状態:健康
装備:支給品一式
武装:毒薬
思考: 基本・ 殺し合いの中で不動産を売りさばいて利益を上げる
1・中島と岡島を動かす
2・花子の命は最優先で守る

【中島】
状態:健康 女装
装備:支給品一式
武装:ナタ
思考:基本・カツオ以外を皆殺しにし、カツオを優勝させる
1:岡島を体で操って人殺しをさせる

【岡島さん】
状態:健康
装備:支給品一式
武装:不明
思考:中島タンハアハア

【花沢花子】
状態:健康
装備:支給品一式
武装:毒薬
思考:
基本・恋敵は殺す。他の人間は未定

【お魚咥えたドラ猫】
状態:健康
装備:支給品一式
武装:なし
思考:花沢父の傘下で大人しくしておく
※花沢陣営の一員です



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