「サインをくれないか?」
デズモンド・タイニーと名乗った謎の老人による殺し合いの会場、その中央にあるラクーンシティーに酷似した。あるいは本物のラクーンシティーなのか…詳しくはわからないが、その会場内のラクーンシティーにあるカフェテリアに、一人の男がいた。
短い金髪に、イケメンの類に入るであろう顔の優男、首にはこの殺し合いの参加者の証である首輪がついている。
イケメンの優男、彼を詳しく知らない人間なら、ほぼそれだけの印象を受けるだろうが、それは違う。
彼は、「ゾンビ召喚能力」と言う地獄から魔王サタンの力を借り、死者を召喚し、不死身の手下として戦わせるゾンビ召喚者で構成されたギャング団のボスなのだ。
ゾンビ使いとしての素質を持つ者は、生まれつきか後天的に体に、大抵は手のひらに特徴的な星のマークが現れる。彼、「キム・イーヒン」は、ゾンビ使いの中でも変わり種フリークスで、ゾンビ召喚以外にも異能の力をボーナス的にもっている非常にレアな人物だ。
あるフリークスは他人のゾンビとゾンビ使いの証、スターを奪う力。
あるフリークスは自分の声であるキーワードを言うと、その声が届いた死体全てをゾンビとして蘇らせる力を。
そして彼、キム・イーヒンは、普通の人間に使役するゾンビを召喚できるように星を他人に宿す事が出来る力を持っていた。
…彼には他に変わった体質もあるが、その星を与える力を使い、強力なゾンビを使うゾンビ使いを量産。部下として使い、強盗、殺人、婦女暴行を好き勝手にさせて、その人と人が争い、血を流す様子を娯楽としているとんでもない外道だ。
そんな彼はこのカフェテリアに飛ばされ、置かれていた自分のリュックの中から食料のパンや水をだし、ばりばり食べていた。
殺し合いと言う状況に放り込まれ、なぜこんな自然体で呑気に食事をしているのか。端から見たら相当肝が座っているか、恐怖で可笑しくなったと思うだろうが、それは違う。
イーヒンは単に、自分が決して死なない自信があるのだ。
(…ヴリュン、ブラッド、他に結構知っている奴要るな。)
パンを片手に、椅子に座りながら支給された参加者名簿を見るイーヒン、この場には彼の部下達も結構連れてきていられたが。彼は部下達の身を心配する素振りも見せなかった。
イーヒンにとっては自分の部下だろうが、使い捨ての聞く召使いのような者で、仲間意識は少しも持ち合わせて居なかった。
事実、最初にいたカラフルなデコレーションをされた部屋で、首輪を爆破され殺された男は彼のよく知る部下の一人なのだが、それに対してすら怒りやら悲しみの感情を感じては居ない。
まさに外道である。
「取りあえず、知ってる奴と合流するか。…そのふふ方が楽できそうだし…楽しめそうだ。」
イーヒンは、人の血が流れる争い事を見るのが大好きな人間だ。この殺し合いは、久暇だった彼にとっては刺激的な娯楽としてとらえられていた。
(殺し合え…良いだろう。殺し合えっていうなら、思いっきり楽しんでやるよ。)
イーヒンがそんな事を考えたとき、彼は外から足跡をきいた。
イーヒンはお得意の仮面笑顔を浮かべ、取りあえずやって来るであろう参加者に接触を計ろうとした。
やってきたのは、サングラスを掛けた白人だった。イーヒンは営業スマイルを浮かべ、やってきた男を抜け目なく観察する。
革ジャンをきて、サングラス、そして何やら手に持っているが、武器ではなさそうだ。暗い街を照らす街頭の光の中、イーヒンと男が対面する。
「こんばんは、僕はイーヒンという者ですが、あなたはタイニーと名乗る男に殺し合いをしろと言われましたか……その首輪を見るに、あなたも巻き込まれたんですね。」
知らない人物が見たら、ほぼ疑わないだろうイーヒンの姿に男は警戒を解いた。
「…そうかい、イーヒンさんよ。アンタも巻き込まれた口か。…お互い大変だな。」
男の言葉にイーヒンは内心男をあざ笑った。
(馬鹿が!…もう少し警戒するだろ。俺ならもう少し警戒して当たるがな。…どちらにしろ、怪しまれてはいないようだ。)
「…そうですね…お互い災難で「イーヒンさん、ちょっと良いかな。」……何ですか。」
話を遮られた苛立ちを巧妙に隠し、男に聞き返す。すると男は手に持っている何かを恐らく筆記用具として支給されたであろう鉛筆をむけながら言った。
「この嘆願書にサインしてくれないか?」
「…………はぁ?…」
男のサイン発言に少し面食らうイーヒン。
殺し合いという異常な状況に突然放り込まれ、可笑しくなったのかと思った。
まともな人間が、この状況で嘆願書にサインしてくれなど、些か疑問に思う。
「なぁ、サインしてくれよ。礼はするから。」
黙っているイーヒンに再度サインを要求する男。
「…言っている意味がわかんないんですが。」
困惑を含んだ声で男に訪ねる。
「おもしろくねぇ冗談だな。ほれ、サインしてくれよぉ。」
「……今はそんな状況ではないと思うんですが………」
………こいつ、頭おかしいのか?
イーヒンが内心でそんな事を考えていたら、男は着ている革ジャンから何かを取り出し、イーヒンの顔に向ける。
ドバ!!
男がイーヒンに向けていた物、銃身を切られたショットガンからでた散弾で、イーヒンの頭が吹き飛んだ。
まき散らされる脳みそや血液、衝撃で吹っ飛んだイーヒンの体は、ゴロゴロと無様に転がりながら道の隅へ消える。
それを行った男、デュークは特に何の感情も抱かないといった風に素知らぬ顔だ。
とても人一人を殺した後とは思えない。
「いろいろ訳わかんねーけど、俺は俺で好きにやるぜ。…俺のワイフは怒らせたら怖いからな。」
虚空に向かって独り言を呟き、イーヒンの荷物には手を着けずそのままどこかに歩いていった。
[一日日/深夜0〜2/中心エリアラクーンシティ内]
[ポスタル・デューク@ポスタル]
[状況]1色々わかんねー事になってるが、とりあえずお使いをしておくか。…家のワイフは怒らせるとうるせぇからな。
[所持品] 改造ショットガン@サタニスター 散弾30発−現在29発
ランダム支給品1〜2
[備考]参戦時期お使い時。制限なし。ラクーンシティの警察署付近のカフェテリアに血痕があります。
[殺人・犯罪記録]
ポスタル・デュークは近所のマーケットに行くときも銃を持つイかれた人物。パソコンゲームの「ポスタル2」にて、妻に頼まれたお使いをする最中に無抵抗の市民を(時たま反撃してくるが)ガソリンをかけて焼死されたり、重火器で蜂の巣にしたり、刃物で体を切り刻んだり、鈍器類で原型がわからなくなるぐらいに女男関係なく殴り殺したりし、プレイ時間一週間でプレイヤーによっては100人は軽く惨殺している異常者
(ゲーム自体はお使いゲームなので、プレイヤーによっては殺人をしないでもクリアー出きるため、プレイヤーの趣味がよくでるゲームである。)
改造ショットガン@サタニスター
悪魔よりのシスター、サタニスターが使っていたショットガン、銃身をノコギリで切っているため、散弾が束で飛び出る。
※デュークはイーヒンが死んだと思っています。
デュークが去った後、イーヒンの頭部を吹き飛ばされた死体に異変が起こっていた。
頭が吹き飛んだ首から、まるでヤモリの尻尾のようにグロテスクな何かが生えてきたのだ。
それは、段々と大きくなり、形を整え、やがて正常なイーヒンの頭になっていた。
これこそがイーヒンの自信の源、イーヒンは、通常の人間よりも体の血液の代謝能力がたかく、例え頭が吹き飛ぼうと、腹が抉れようが、体内に再生に必要なタンパク質が足りていれば秒単位で肉体再生できる、不死身じみた肉体を持っているのだ。
「…ひどい目に合った。もう少し警戒するべきだったな。」
再生したばかりの頭を揺らし、感覚を掴む、彼は、自分の頭を吹き出した男に何ら怒りの感情を持たなかった。
いや、もちろん少しは憤りを感じていたが、頭を銃で吹き飛ばされるなど、彼には過去に何度か経験しているし、そんなことよりも彼は急を要する事があった。
「…タンパク質を補給しないとな。」
頭部を再生するために使った体内のタンパク質を補給するため、彼は歩き出した。
その場には、ただただ派手な血痕が残るだけだった。
[一日日/深夜0〜2/中心エリアラクーンシティ内]
[キム・イーヒン@ゾンビ屋れい子]
[状況]頭部再生の為に使用したタンパク質を補給したい。
着ている服の上着がイーヒン自身の血で塗れています。
[所持品]基本支給品 ランダム支給品1〜3個
[備考]れい子の存在を知る前からの参戦。イーヒンの再生能力は異能ではなく、単に治癒力が、凄まじいだけなので制限は無し、しかしゾンビ召喚術や、星を与える能力、自身の血を死体に浴びせ、強靭な再生力をもつ下部にかける効果などはどうなっているか分かりません。
[殺人・犯罪記録]
自身の星を与える能力でゾンビ使いを量産し、犯罪行為を好き勝手にやらしている。
また、イーヒンを殺し、ボスになろうとしたチンピラをダルマにし、ゴミ箱に捨てるなど残虐な性格。演技が旨く、ある種のカリスマがある。
※デュークを危険人物と認識していますが、デュークの名は知りません。
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