神の使徒と暴力教師のその後
東エリアのにあるとある悪魔寄りのシスターが住む協会前、
上半身が異常に肥大化した筋肉に覆われた巨大な断頭斧をもった外見的には信じられないが女性である参加者と、全身が鋼鉄のような鱗に覆われ、さらに指につけられた指輪から発生している眩いばかりの雷光を纏う凶悪な自称天使が、お互いの肉体をぶつけ合って戦っていた。
「ウォラアアアァァァァ!!」
上半身が異形の筋肉質な肉体に覆われた女性、力丸は手にもつ巨大なギロチン刃をくくりつけた断頭斧を振りかぶり、異形の天使、モズグスにそのはちきれんばかりの筋肉パワーをフルに使ってモズグスの息の根を止めんと先程の攻撃に対する怒りの感情を込めながら断頭斧を叩きつける。
対するモズグスは、その断頭斧の一撃一撃を避けようともせず…いや、よける必要など無いと言うように一撃一撃が力丸に支給された究極のドーピング料理により通常では行き着かない絶対的なパワーを手に入れた力丸の大砲のような斬撃をその鱗に覆われた巨体で受け止めている。
モズグスはこの殺し合いに参加する前、とある身の丈を越える巨大な剣と呼ぶのもおこがましい鉄塊を扱う黒い剣士の鉄塊の一撃に対してもヒビ一つ入らない程の硬度を誇っている。
しかし、いくらモズグス自身の硬度が高いと言っても、少し前の彼には今の力丸の一撃は通ったかもしれないが、とあるマフィアに伝わるリングの内の一つ、雷のマーレリングを装着し、全身にモズグスの属性である雷の死ぬ気の炎を纏った今の彼には力丸の攻撃は余裕で耐えられる物だった。
人間の生命エネルギーが、指につけたリングを通過し、それを超圧縮したものが死ぬ気の炎と呼ばれるエネルギーだ。
死ぬ気の炎はそれぞれ属性があり、雲、嵐、雨、晴、霧、大空の七つがあり、モズグスの生命エネルギーの属性は雷、死ぬ気の炎は、嵐の炎は分解、雨の炎の鎮静…のようにそれぞれ特性があり、モズグスの属性である雷の炎の特性は《硬化》…その雷の炎の特性が、元から固かったモズグスの鱗をより強固に!より堅く強化していた。
モズグスのつけているリング、雷のマーレリングは、レア度Aを越える超希少なリングで、並のリングとは比べ物にならないほど強力で、より純粋な死ぬ気の炎を生成、モズグスの鱗を限界まで強化していた。
リングに死ぬ気の炎を生成するために必要な物、それは強い《覚悟》
モズグスの強い信仰、ひいては神に対する己の覚悟が、リングに眩い雷を灯す。
今のモズグスは、大砲はもとより、近代兵器の砲撃にも耐えきれる防御力が備わっていた。
一方力丸は、ドーピングコンソメスープによりえた超怪力でモズグスを支給された断頭斧で叩ききろうとするが、いくら叩いても、モズグスを覆う強固な鱗を破れず、内心かなり混乱していた。
(なぜだ!!なぜ!!今の私の肉体は究極に強化されているとはっきりわかるのに!!こいつなんて堅さだ。)
力丸の攻撃にびくともしないモズグスに対して恐怖を抱く力丸。このままでは長期戦にもつれ込みそうだが、生憎力丸には時間がなかった。何故なら……
(…薬の効果が!!)
力丸に支給されたドーピングコンソメスープは、タイニーにより時間制限があり、服用してから15分過ぎると目に見えて効果が無くなる。
実際、先程から力丸についていたはちきれんばかりの筋肉は、時間が切れて目に見えて衰えてきていた。
「ぐっはっはっは!!剛力千万!!天誅迅雷!!どうやら神の加護は私に一日の長があるらしいですね!!では!!」
自慢げに叫ぶモズグスに呼応するように、雷の死ぬ気の炎を纏った拳状に変化したモズグスの翼が分裂し、沢山の握り拳になる。
「雷の!神千手砲!!!」
技名とともに、力丸に雷を纏った無数の拳が降り注ぐ。
ドガガガガガガガガ!!
「ぐあぁあああああ!!」
ドーピング効果が薄れ、力丸に容赦なく降り注ぐ拳骨の嵐。
「ぐっはっはっは!!貴女は充分強かったですよ!!さすが神の加護を授かりし人間!!しかし!!私の勝ちです!!」
地面にひざを突き、手にしていた断頭斧を落とした力丸にとどめを刺そうと硬化した翼を振り上げる。力丸はダメージのせいか動かない。
今まさに力丸を叩き潰さんと翼を振り上げるモズグスに、力丸はズボンのポケットに忍ばせていた彼女の最後の支給品のピンを抜き、油断したモズグスの顔面に投げつける。
「ぐぬ!何を…
顔に投げつけられた何かを掴み、確認するモズグス、次の瞬間、受けとめた何かから眩い光と閃光が巻き起こる。
「ぐあぁあああああ!!」
至近距離から強力な閃光が直撃し、余りの刺激に叫び、地面に転がるモズグス。
力丸に支給された品は、肉体を限界までに強化する究極のドーピング料理。
とある処刑人が使っていた断頭斧。
そして、現実に使用されている制圧型手榴弾、《スタングレネード》。
力丸は協会から出る前に、もしもの時のためにスタングレネードを装備していた。
「なんとか逃げられたね…ごぼぉ!」
力丸は、スタングレネードにより一時的に視力を失って悶えているモズグスから自身のバックを回収し、そのまま逃走した。まだ体にドーピングコンソメスープの強化効果の恩恵が残っているのが幸いし、逃走には成功。力丸は己の命を勝ち取った。
しかし、力丸の状況はけして良くない。
モズグスによる神千手砲により、全身に深刻なダメージを追っている。コンソメスープの強化により奇跡的に骨は故障していない用だが、今の力丸には他の参加者と戦うには些か心許なかった。これからどうしようと考えた力丸は、とりあえずここから見えるでかいショッピングモールに向かい、傷の手当てをする事にした。
「…生きてるだけ儲けモンだね。」
[1日日/深夜/東協会エリアショピングモール付近]
[力丸亜砂美@サタニスター]
[状況]全身に打撲、雷撃により軽度の火傷を追っている。
傷を手当てしたい。
モズグスは許さない。
[所持品]基本的支給品 ドーピングコンソメスープ注射器5本=4本@魔人探偵脳神ネウロ
スタングレネード3本=2本
[備考]雷の死ぬ気の炎により、軽度の火傷をとくに上半身に追っています。また、断頭斧を協会前に置いてきており、所持していません。
[殺人・犯罪記録]
全国の小・中学校にて児童18人を殺害した。
「おのれぇぇぇぇ!!!」
一方、力丸に逃げられた後、視力の回復したモズグスは怒り狂っていた。この神の試練にて、初っ端から出端を挫かれた彼の尋常ではない怒りに呼応し、マーレリングがら凄まじい炎圧の雷の炎が生成されている。
「猪口才な手を使い追って得えぇぇぇ!!」
モズグスは力丸が逃走時置いていったギロチン刃の断頭斧を持ち、叫ぶ。
「神よ!!この試練を私は絶対にやり遂げます!!どうか見守っていてください!!」
モズグスは自信から逃げおおせた力丸の顔を思い浮かべる。
「逃げられはしたが!!この試練にて神に認められるのは私です!!」
背中の翼の硬化をとき、飛行体制に移行するモズグス。
「私を見守りたまえ!!神よ!!」
モズグスは翼を振り上げ、大空に飛び立った。巨大な断頭斧をもち、雷のマーレリングをはめたモズグスは、神に認められるため、他の参加者を皆殺しにしようと飛び立つ。
此処に、最凶の戦闘天使が出現した。
[1日日/深夜/東協会エリア]
[モズグス@ベルセルク]
[状況]神の御心に、この試練を勝ち抜く。
ゴッド!!イズ!!ナンバーワン!!
[所持品]基本的支給品 雷のマーレリング@家庭教師ヒットマンリボーン 断頭斧@バイオハザード5
[備考]力丸に殺意を持っていますが、力丸の名は知りません。
断頭斧を所持しています。
空に飛び立ちました。どこに向かうかは不明。
[殺人・犯罪記録]
神の名の下、戦争並の死者を出した信仰心熱い親父。この殺し合いを神の試練だと思っている。
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