ピンク・ダイナマイト!






 漂着一日目。行動報告書概案(仮)
朝(時刻不明)に意識回復後、周囲の状況確認。
漂着者は自分単独。同時に遭難したと思われるテスタロッサ大佐の存在は確認できず。
尚、漂流時に装備の全てを消失。
漂着場所近辺を捜索するも、消失した装備、及びその他有用な事物は一切発見できず。
凡そ3時間の捜索を持って装備捜索行動を打ち切り、以後は飲食料の確保及びベースキャンプの設立を目的に行動を開始する。

 まずは咄嗟の接敵時に応戦するため、及び狩猟行動の成功率を上げるために、簡易的に石槍を一本製造した。
材料は周囲の森林内で採取した、木材、石材、及び、ツタを用いた。
殺傷能力には若干の不安が残るが、現環境下では最善の装備であると判断する。
次に、島の全景を把握すべく、高台の方へと移動を開始。
水源、及びベースキャンプにすべき場所にめぼしを付ける事とする。

 道中、幸運にも水源と為り得る湖を発見する。
だが、同時に俺は、とんでもないものを発見することになる――


               ●


「ぽーよっ!」
「まあまあ、そう硬いこと言わないでさあ〜」
 明らかに迷惑そうに困っているピンク玉ちゃんの頭の上で、私はのんびりとくつろいでいた。
ゴロゴロと、まさに自宅でクッションにのしかかるぐうたら少女のように。
「こんなうら若き女子高生と二人っきりの無人島ライフなんて、ゲームだの小説だのの外じゃあ、そうそう体験できるようなモンじゃあナイよ〜?」
「ぽよ?」
「ああ、流石に宇宙人はギャルゲもしないしラノベも読まないか……じゃあ、まあこれも異文化コミュニケーションの一環と言うことで」
「ぽよ……」
……と、ピンク玉ちゃんの非難(?)を言葉巧み(??)にかわし続ける私なのであった。どっとはらい。


 え? そんなダラダラしてるヒマがあるんなら、とっとと食料なり脱出なりを探して動き出すのが主人公ってモンじゃないのかって?

「……まあ、シビアな現実ってのは、やっぱり目を背けたくなるモンだよね、実際」
「ぽ……ぽよ!」

 おお、ズッコケを解するとは宇宙人の癖に中々……
だが、そう思ったのはどうやら私の勘違いのようだった。

「そこの少女! 直ぐにその物体の傍から離れるんだ!!」
 突然響き渡る男の人の声!
身構えるピンク玉ちゃん! 相変わらずくつろぎモードの私!!
……まあ、正直いきなり真面目な空気になられても急に切り替えられるワケでも無いし。
でも、そんなことには一切構ってくれない男の人も相変わらず。
「何をしている! 早く非難しろ! さもないと、取り返しの付かないことになるぞ!!」
しかし、さっきからこの人は何を真面目に焦っているんだろうか?
こんないたいけな少女と、悪意の欠片も感じないこのオトボケピンク玉ちゃんを捕まえて――

「分からないのか!? そいつは――『自立行動型の移動機雷』――爆弾だッ!!」

――爆弾、とな!?
「そのシンプルなデザインと、体積を最大限にし、積載容量を増すために効率の良い球体のボディ、
 そして近接者への警告の意味を込めたショッキングピンクの概観……間違いない。
 コイツは、AI自律行動式の、最新鋭の移動型機雷――動く爆弾ロボに違いない!
 こんな危険な存在がココにいるとは、ここは軍事実験場か何かなのか!?
 だが、そう仮定したとしても起爆コードが何なのかは分からない……逆に言えば、何時爆発してもおかしくはない!
 さあ、早くそいつから離れろ!!」

「イヤイヤ……それは……ナイでしょ?」
 この愛くるしいピンクのプニ玉捕まえて爆弾だーって言い切るとは……コレはまた中々な……
しかもこの人、ご丁寧に槍で武装、威嚇までしておられます。
まあ、確かに顔は格好良さげかもしれないケド……
「いやー、やっぱラノベとかにあるシチュエーションって、実際に自分が体験すると、正直引くよねー」
「くッ……ここまで言っても離れないとは、彼女には何らかの動けない理由があるのか? まさか負傷しているのか、それとも……」
男の人は、今にも飛び掛ってきそうな程の形相だ。まさに、一分のスキも無いって奴!?
こりゃー、正直アブナ過ぎだろう常識で考えて……
「ピンク玉ちゃんちょっといい? かくなる上は……」
ゴニョゴニョゴニョ。
「クソッ、かくなる上は、実力で制圧、救助するッ!」
そして、しびれを切らした男の人が突っ込んで来たその瞬間!

「ぽ〜よっ!」
 ぼふん!
ピンク玉ちゃんが大きく息を吸い込んだ。
そして、その浮力を身体いっぱいにためこんで――
空へ!
「何ッ! 飛んだだと!? 飛行機能まであるのか!! 撃墜を――だが誘爆の危険性が――クソッ!」
なにやら地団太踏んでそうな男の人を足元に、ピンク玉ちゃんが大空高くへと羽ばたいた(?)
「ふぃ〜、さすが宇宙人、飛べるんじゃね? とは思ってたけど、やっぱり飛べるんじゃ〜ん! ナイスだぞ、ピンク玉!」
「ぽよ!」
「しかし変な人もいたもんだ……あの人も私と同じ遭難した人なのかな〜? それともまさか原住民?
……まーなんにせよ、今後は会わないように気をつけよう……ピンク玉ちゃんも気をつけるんだぞ?」
「ぽよ!」

 この、ちゃんと日本語を理解してるんだか理解していないんだかなピンク玉ちゃんにまたがり、夕日を眺めながら、
冷静に考えれば腹減ったなあ……とか思っている、私なのであった。

 続く!?



【一日目 / 夕方 / D-2 湖のほとり】
【相良宗介@フルメタル・パニック!】
[状態]:健康
[空腹度 / 最終食事時間・内容]: 空腹、乾き / 0日目夜7時に友人と共に食事
[装備]:SRT戦闘服、石槍
[道具]:ラピスラズリの宝石
[情報]:D-3の地形、カービィ、こなたの存在
[出展時期]:ベリー・メリー・クリスマスのラストで、テッサと海に落ちたあと
[思考]:……待っていてくれ、千鳥
 基本:自分の置かれた状況を確認、危険を及ぼす存在の排除
 1:起動爆弾(カービィ)から少女(こなた)を救出
 2:食料・飲料水の確保。
 3:ベースキャンプの設立
4:テッサ(大佐)捜索の継続

【一日目 / 夕方 / D-2 上空】
【泉こなた@らき☆すた】
[状態]:健康、若干疲労
[空腹度 / 最終食事時間・内容]: 空腹 / 0日目夜7時に父と共に食事
[装備]:海水の染み込んだ衣服
[道具]:なし
[情報]:カービィの存在、宗介の存在。D-2湖の存在
[思考]: 基本:救助が来るまで生き残る
 1:カービィと行動。宗介に注意。
 2:食料の確保
 3:かがみ達がいないか捜索

【カービィ@星のカービィ】
[状態]:健康
[空腹度 / 最終食事時間・内容]: 普通 / 0日目夜に食事をたっぷり
[装備]:
[道具]:弁当箱(からっぽ。名前が書いてある)
[情報]:泉こなたの存在(フームみたいな生き物と思ってる)、宗介の存在(危険な生き物だと思っている)
[思考]: 基本:現状況をいまいち理解してません
 1:こなたおもい
 2:こなたと行動
 3:食べ物欲しい
[備考]
身振り手ぶりである程度の意思疎通が出来ます。
空は飛べますが脱出するまでの体力が持ちません



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