変な女に縁のある男






 「そう、これは偉大なるアフラ・マズダ様が与えた試練で……」

 ルルーシュ・ランペルージ――本名ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアは一応、通信端末から連絡を試みていた。
 しかし、此処が既に本土から離れた孤島だと分かっていた以上、無理に期待などしていたわけでもなく、やはり通信が届かない旨のノイズがただ虚しく響くだけだった。

 ルルーシュは溜息をつき、通信端末の電源を切る。
 まさか致命的にもブリタニア軍との戦いの最中に自分が乗っていたKFが海ごと叩き落とされるとは予測できなかった。
 もはや半分機体を引き千切られ金属の塊と化したKFは敵のレーダーには引っ掛からず、漂流した末にこの島の海岸に引っ掛かったという訳だ。
 そして――今頃、自分の指示がない黒の騎士団は壊滅状態なのだろう。――クソ!

 通信端末が海水で駄目になる前に持ってきていた制服に着替え、”ゼロ”としての衣を海に沈めておく。本当は燃やしておきたいのだけれど。
 それからまず北側の海岸から時間をかけて少し南の山の頂上まで登った。大体の島の地形は把握は出来た為、取り敢えず何処にライフラインとなる場所が存在するのかも想像がついた。
 状況としてはまずまず、ただ、これからの行動指針を決める必要もある。

「はい、はい、はい」

 恐らく人が居ない、そして来ないであろうこの島、しばらくは自力で生き残るしかなさそうである。
 食糧と寝床の確保、そして外部との連絡方法(あちらからの無情報での救援はまず無理だろう)。
 今考えられること、それは全て重大な問題で、けれどもそれより何より問題なのは、それは――

「あなたの導きに従い、私には何も恐れるものがありません」

 ――イレブン(日本人)のセーラー服の女。恐らく修学旅行か何か(しかし、修学旅行なんてやってられるご時世だろうか)で、船から落ちたのだろうけど。
 勝手についてきたこの女。しかし、しかし――

「分かりました。はい、はい」

 電波系、と言うのだろうか。
 きれいに切り揃えた前髪を持つ彼女は確かにルルーシュの隣に立っていたのだけれど、誰も居ない澄み切った空に向けてひたすら声を掛けていた。


【一日目 / 夕方 / D-2 北の山頂上】
【ルルーシュ・ランペルージ@コードギアス 反逆のルルーシュ】
[状態]:健康 精神的に疲労
[空腹度 / 最終食事時間・内容]: 空腹 / 0日目夕方6時に外食済み
[装備]:学園指定の制服、銃
[道具]:通信端末
[情報]:島の地形、稲田瑞穂の存在
[思考]:
 基本:自分の置かれた状況を確認。
 1:食料と寝床の確保
 2:外部との連絡
[備考]:C-1の海岸にルルーシュが乗っていたKF(破損。小型のガンダムみたいなもの)が放置されています。
    C-1近くの海にゼロの服が沈んでいます。
    池の近くにいる(と、この時間帯で思われる)こなた達に気付いていません。

【稲田瑞穂@バトル・ロワイアル】
[状態]:電波
[空腹度 / 最終食事時間・内容]: ちょっと空腹 / 0日目夜7時に食事
[装備]:海水が染み込んだセーラー服
[道具]:ガラス玉(しかし瑞穂が神秘の水晶だと信じているそれ)
[情報]:ルルーシュの存在、光の神アフラ・マズダからの何かしらの情報(不明。あてにはならないかも)。
[思考]:
 基本:光の神アフラ・マズダに従う。
 1:???
[備考]:今回のことはアフラ・マズダが与えた試練だと思い込んでいます。



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