無題
エメラルドブルーの波が押し寄せる美しい海岸。
観光客で賑わうでもなく、静かな波音が聞こえ心地よい風が吹いている。
そんな中、その光景に似つかわしくもなく、少女が倒れていた。
「ここは、一体何が……?」
気がついたら砂浜に横たわっていた私は、何が起きたのかと記憶を探る。
多少頭がズキズキしているが、幸いにも記憶喪失になっているなんて事はない。
「そうだ、私はみんなを見捨ててあの島から脱出したんだ」
あの凄惨な実験の中、たまたまボートを見つけて逃げ出した時の事を思い出す。
「だけど途中で転覆して……」
一人で逃げ出したバチがあたったのだろうか。
そう思いながら辺りを見回してみるも誰もいない、どころか気配すら感じない。
無人島……なのだろうか。
どのくらいの規模の島なのかは分からないが、少なくとも辺りに生きた人間はいないようだ。
野生の動物などは……分からない。
最悪、あの凄惨な島に再び流れ着いてしまったという事もありえる。
用心に越した事はないだろう。
そう思い武器を取り出そうとするが、ない。
バックに入れておいたナイフ、銃各種、食糧や救急セット――というかバック自体が無い。
なんてことだろう、こんな事ならナイフくらいパンティーに挿して置けばよかった。
そう後悔してみたが、もはや意味の無いことだ。
あの実験の内容を世に知らしめる為だけに友達さえも見捨ててきたというのに、日本に帰る事すら出来ずにこのざまだ。
「そうだ、フラッシュメモリは!?」
重要な証拠となるであろう、研究データが書かれたメモリ。
それの確認をするために、ポケットというポケットを片っ端から探っていく。
あれだけはバックにいれずに肌身離さず持っておいていた。
だがしかし、そのメモリが見つかる事はなかった。
「そん、な」
このデータさえ日本に持ち帰れなかったら、私が生きて帰っても意味が無い。
一刻も早く探さなくては、残された時間は少ないのだから。
【一日目/朝】
【藤堂晴香@寄生ジョーカー】
[状態]:健康、空腹、乾き/AM6時(脱出直前)に食事
[装備]:濡れ濡れの服
[思考]:
基本:フラッシュメモリの生還
1:メモリ探し
[備考]
ED2直後からの漂流
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