kskロワネタ
このSSはあくまでフィクションであり
KSKアニメキャラバトルロワイヤル本編とは全く関係ありません
従ってスポンサー以外の方のクレームは一切お断りします
「動くなよ、弾が外れるから」(羽佐間道夫の声で)
ドキューン!
弾痕を穿たれた画面(ルパンV世風)にタイトル
【APUTOM!】
電飾を光らせパラシュートを引き摺りながら森を歩くアプトム
「と〜き〜お、とぉきおがふたりをだいたまま〜♪」
なんだかんだで結構気に入っているらしい
「む!」
険しい顔で立ち止まるアプトム
強化された聴力が戦闘の音を捉えたのだ
「あっちか」
人間離れした加速で走り出したアプトムは
次の瞬間木に絡まったパラシュートに引っ張られてコケた
タイプライターを打つ音とともに黒い画面に白抜きでサブタイトル
【フェイト、アプトムに胸キュンする】
「つまらんな…」
退屈そうな悪魔将軍の足元にはボロボロになったフェイト
地力の差もさることながら決定的に不利だったのは
悪魔将軍がスネークボディを使えなかったのと同様
ソニックフォームが制限対象になっていたことだった
真・ソニックフォームが不発に終わり
脱ぐと速い人から只の脱ぎ女となったフェイトの運命はもはや風前の灯と思われたそのとき
口笛による「夕陽のガンマン」(エンリオ・モリコーネ作曲)のメロディとともに
アプトムが現れた
沢田研二のステージ衣装をチカチカさせながら
「なんだ貴様、性懲りも無くまた私と戦おうというのか?」
流石悪魔将軍、アプトムの恰好にも全く動じていない
「俺はボインちゃんが好物なんでね」
フェイト(の胸)に流し目をくれながらニヤリと笑うアプトム
「えぇ!?!」
頬を桜色に染め思わず両腕で胸を抱え込むフェイト
三方向から圧迫された乳房が“むにゅっ”と盛り上がりかえってエロい
「よほど死にたいと見える」
「フッ、このアプトム、一度戦った相手に二度目の負けはない!」
ステージ衣装を引き裂き獣変
長い尻尾を持つ直立したヤモリのような姿となって悪魔将軍に挑みかかる
「どんな姿を取ろうと私の敵ではない!」
だが正面から四つに組み合うと見せて次にアプトムの取った行動は
「カ――――――ッ、ペッ!」
ゲル状の粘液を悪魔将軍の顔に吐きかけるというものだった
それは今は亡きロストナンバーズの同志、獣化兵ソムルムの必殺技「生体融縛粘体」
有機溶剤系接着剤のように相手の体組織と融合して動きを封じるという凶悪なものだ
もっとも見た目をコピーしただけのアプトムの粘液はちょっと強力なトリモチ程度のものでしかない
だが−
「目が、目がぁあああっ!」
悪魔将軍の視力を一時的に奪うという目的には充分だった
「最初からまともに勝負する気がなければ負けもない、卑怯とは言うまいね?」
右手にデイバックとSVDを持ち
左手でフェイトを肩に担いだアプトムは再度姿を変え−今度は森林地帯での高速移動に適した
マルカイトのコピーだ−一目散に逃げ出した
「めいびーねくすとたいむ(またお目にかかろう)!」
「あの、何故私を助けてくれたんですか…?」
十五分ほど突っ走った後ようやく地面に降ろされたフェイトは
変身を解きフェイトのデイバッグを漁っているアプトムの裸体から目を背けつつ尋ねた
「妹に…似てたんでな……」
デイバッグから取り出した学ランに着替えたアプトムが渋い声で答える
長身で筋肉質のアプトムが素肌に学ランを羽織った立ち姿は
「それどこの獣化番長?」と言いたくなるほど絵になっていた
そこから始まるアプトムの身の上話
病気の妹の手術代を工面するため獣化兵に志願したこと
自分がロストナンバーズと呼ばれる失敗作であること
etc
自分もプロジェクトFの産物であるフェイトはすっかりアプトムに感情移入してしまった
ちなみに本当のアプトムの妹はアプトムが家出したあと
病気の母を支えながら夜間大学を卒業しやり手の若手弁護士として活躍している
「アプトムさん…」
フェイトに背中を向け肩を震わせるアプトムに同情心120%の声をかけるフェイト
アプトムはこみ上げてくる笑いを堪えながら心の中で勝鬨をあげていた
(計算通り―――――――――――――――――っ!!!)
【続かない】
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