妄想リピーターロワ「例えその命砕けようとも」
『言い忘れていたが……こう見えても私は、元の世界ではとある平和機構のリーダーでな。
数多くの紛争を、話し合いで解決してきた。この程度の修羅場など、大したことはない』
最後にあのミオという娘に言った言葉を脳内で繰り返す。
私、ヴィンデル・マウザーはあの時クォヴレーの説得に失敗し、魔神の中で息絶えたはず……だが今私はここに立っている。
暗い街道に1人佇み、私はあの時の言葉を思い出す。
≪もう一度チャンスをやる。再び殺し合え、生き延びたいのならな≫
突然目の前に現れた"奴"は確かにそう言っていた。
要するに私は奴にもう一度命を与えられたというわけだ。
ただ殺しあうがためだけに。
今度はあのイカれた球体どもも圧倒的な力を持つ機体もない。
孤独な戦場にただ1人私を放り出した"奴"。
不思議と私はそれに対しそれほど憎しみを抱かなかった。
生きてこの場より脱する。その目的は全く変わってはいない。
だが、かと言って積極的に人を殺す気にもならない。アクセルやミオどもに毒されたのだろうか?
いや、それよりも今はとりあえず生きることを考えよう……
どこに生き急ぐ愚かな者がいるとも限らん。
「……はっはっは………ハーッハッハッハッハッハッ!!!」
……限る限らんもすぐ傍にいたか。
一体何者だ? 顔だけでも見ておくか……
そう思い、声のする近くの公園まで行き茂みに息を潜める。
こら、そこ。紙の色が茂みの色にマッチしているとか言うんじゃない。
目の前で大笑いしていた男はゆうに身長190cmを超える巨漢で、汚らしい衣装を着ている。
だが、何より印象的だったのはその表情。
こんな殺し合いに再び呼び出されたであろうというのに心底笑い狂うその顔に私は僅かな恐怖を覚えた。
恐らくこんな漢に関わったところでロクなことはない。そう思い私は公園から離れようとした。
「ふ……逃げなくてよい。オレは殺し合いに乗ってはいない」
茂み越しに私に向けて漢が話しかける。
まさか気付いていたとは……体躯も合わせ、よほど修羅場を潜ってきたという事か。
仕方ない…乗っていないと清々いうのだ。この距離ならば離すだけでも悪くはあるまい。
「乗っていない、と言ったな。貴様も殺し合いの舞台で死んだのちに呼び出された者か?」
「ああ、そうだ。無念だった」
「だろうな。ならこの場で勝ち残り、生き残ろうとは思わんのか?」
「生きようとするのは当然だ」
「ならば……」
「……ノゥ! 絶対にノゥ!!」
「!!?」
奇妙な言い方をする。一体こいつは何者なのだ?
「《生き延びたいから殺し合いをする》。なんと弱い考え方か。お前もそう思わんか?」
確かに強い弱いと決め付けをするならば弱い考えだろう。
だが………
「………だからどうだというのだ?」
「オレはこれより以前の殺し合いで1人の老人を手にかけた。
それより前はさらに多くの人々を己の欲望のため犠牲にしてきた」
それがどうした。私も何人も手にかけ、実際に殺した者もいた。
「随分と言ってくれるな。人を1人殺したか否か、それだけで築ける信頼も築けぬぞ。
貴様、本当に乗っていないのか?」
「思えばあの時のオレは弱かった……だが、そんなオレを変えた漢達がいてな……」
「……………」
「中でも1人際立った漢がいてな。その男はそんな弱い考えを否定することをオレに教えてくれた」
「……貴様はいったいこの場で何をしようと言うのだ?」
私の問いかけに、漢は不適な笑みで答えた。
「反逆だ………」
【アミバ@漫画ロワ】
[状態]:健康、強い意志
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、未確認支給品(3個)
[思考・状況]
基本:再びこのバトルロワイヤルに反逆する。
1.目の前の男が漢ならば仲間にしたい。
2.仲間にできそうな人物を探す。
【ヴィンデル・マウザー】
[状態]:健康、戸惑い
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、未確認支給品(3個)
[思考・状況]
1.目の前の漢と話す。
2.とりあえず生き延びる。
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